サクラミーツ文化祭に見たもの~光明か、あるいは蜃気楼~②

 ここからはイベントのネタバレを含みます。
 ですから、まだイベントをご覧になっていないという方(なんて読者にいるんでしょうか)、11/1現在、配信チケットがまだ発売中ですので、配信チケットを買ってご覧になってから、それでもまだ読む気が失せていなければ、このままお付き合いください・・・決して、配信チケットを宣伝なんてしていません。


「サクラミーツ文化祭」を振り返る

 この度は、開催前から前回のイベントとは一味違いました。
 まず、会場が一回り大きくなりました。
 そしてゲストについて、前回は、サプライズ登場となった大園さんを除き、事前に松田さん、石森さんがゲストとして登場することが予告されていましたが、今回は当日まで明かされず、昼夜どちらの部もメンバーゲストはサプライズでの登場となりました。
 またコラボしてくださる芸人さんも、当日間近まで明かされませんでした。前回はもう少し事前にアナウンスがあったと思うのですが。
 彼ら彼女らの名前を出さずとも、4人で十分に、番組の名前で十分に、大きくなった会場を埋められるという算段だった。それ位、4人も番組も育っているという、番組側の期待の表れなのでしょうか。
 まぁ、そもそも前回も、ゲストが明かされる前にチケットは完売していますから、あまり意味のない比較かもしれません。アナウンスが遅れたのはゲストのスケジュールがなかなか定まらなかったから、かもしれませんし。

 ともかく、観客増に伴い会場の期待の総量は増していたはずで、しかしイベントは期待に違わぬものとなりました。
 メンバーが客席を歩いて、ファンの間近に迫って入場してきたことに始まり、沼ソング、芸人さんとのコント、ドラマ、バラエティコーナーに、50TAさんとのコラボライブ。
 ゲストメンバーは昼公演が2期生・松田里奈さん、大園玲さん。夜公演が3期生・遠藤理子さん、谷口愛季さん。
 個人的にサプライズだったのは、ニッポンの社長さんが「人類再生計画」、さらば青春の光さんが「公園」と、キングオブコント決勝という大舞台で披露したネタでコラボしてくれたことです。
 「公園」なんて、なんだか沼ソング「痛飛ん」が思い出されますし、勝手に大沼さんとの縁を感じています。
 概要はこんなところ、ここからは、このイベントの中で私が印象的に感じたことについて語って行こうと思います。

・ゲストメンバーの演技力 

 イベントでは、いくつものコント、そして男性ブランコ・平井さんが脚本を書かれたドラマが披露されましたが、面白さと同時に改めて感じたのは、ドラマや舞台などで演技仕事をしているメンバーの実力です。
 近頃は藤吉夏鈴さんの役者業が目覚ましいですが、彼女をはじめ、ドラマや舞台に出演されているメンバーに比べれば、「サクラミーツ」の4人は、やはり演技が少し拙い印象があります。
 どうしても「演じている」「台詞を読んでいる」感が拭えません。不自然さが消えないと言いますか。
 朴訥に話すその様は、リアルと言えばリアルですが、きっと「自然に見える」演技というのは、自然に、飾らずにやっているわけではないのでしょう。日常にそれがあったなら不自然に見えるくらい外連味のある表現が、舞台の上では「自然に見える」のかもしれません。
 また、役者っぽい雰囲気を放ったり、役者っぽい立ち回りができる人は何だか演技が上手く見える、というのもあると思います。意地悪な言い方ですが、演技の上手いメンバーにはそれができるのではないでしょうか。
 あるいは、4人が役に近づこうとした結果なのかも、とも思います。
 アニメ作品の実写化で評判の良いものはおよそ、キャラクタービジュアルの完全再現を目指すのではなく、現代に、実世界に、役者に合わせてアレンジした装いになっているものです。だからこそ、顔や声が違っても、そのキャラクターに見えてくるのかもしれません。
 ある程度、役者本人に役を寄せる、そんな技術もリアリティには必要なのでしょう。
とすると、この度の不自然さは、芸人さんの本ネタ、芸人さん脚本のドラマ、用意していただいた役に沿おうという真摯さゆえものだったのかもしれません。
 何せ増本さん脚本のコントではその不自然さが薄まりますから。

 演技の素人が何を偉そうに、と自分でもツッコみたくなります。しかもコントの演技に対してそこまで批評的にならなくても、と。4人の演技力は、笑いを生むには十分でしたし。
 すみません、イベント中に上手いな、と思わされるメンバーがいたもので、つい比較気味に描いてしまいました。
 例えば松田さん。
 さらば青春の光さんのコントにゲスト出演した松田さん。その時の演技は流石だなぁ、と思ったものです。
 彼女も演技仕事が向いているメンバーの一人なのではないかと、私は密かに思っています。と言うのも、バラエティ番組などに出演されて、全力でバラエティをしている時の彼女はいつでも、“いい意味で”どこか芝居がかっているように見えるからです。
 常に表情豊かでオーバーにリアクションし、ツッコみ、いじられ、おちゃらけてみせる。当人曰く、共演者曰く、あれが素、偽りない姿らしいのですが、するとつくづくエンタメ向きです。
 今回のコントでもそうです。きりっとした表情で、よく通る声で台詞を捲し立てて、すると台詞のおかしさがより引き立ちます。子供たちに手刀をお見舞いする時の気の抜けた掛け声、大げさな挙動なんて、どうぞ笑ってくださいと言わんばかり。
 テレビで見る松田さんのあの大袈裟さが、とかくコントによくお似合いです。

 大園さんの演技も印象に残っています。
 大園さんは増本さん脚本のオリジナルコントに参加しました。昼夜両公演で同じネタが披露され、昼公演に大園さんが演じた役を、夜公演では遠藤さんが演じました。
 比較対象があったことで、大園さんの演技における機転が際立ったように感じます。
 お二人が演じた様子を並べると、台詞が厳密に定められていたわけではないのだろうこと、ただし言わねばならない必要なキーワード(「帰れ」あるいは「出てけ」)はあったのだろうことが推察できます。
 舞台に登場した後、いつ、どんな風にそれを言うか。登場後、流れですっとキーワードを放った遠藤さんに対し、大園さんは一拍間を置き、キーワードを粒立たせて叫んでいました。その方が面白く聞こえるというご判断でしょうか。
 ドラマ出演経験のある大園さん。何せこのイベントの数日前までコメディの舞台に出演し、アドリブ連発で大暴れしていたくらいです、それらの経験も活きているんでしょうか。
面白さを追求した結果、あんな間と声量になった。意外とボケたがりな彼女ならあり得る話かもしれない、と思った次第です。
 しかし、遠藤さんも笑いの量では負けていません。それは「後輩が先輩を弄る」という、同期にはできない技があったから。それが増本さんの台本だったのかは定かでないですが、彼女ならではの笑いを作ったのではないでしょうか。

 谷口さんは、男性ブランコさんとのコントに参加しましたが、彼女は顔で見せてくれたと思います。目を引くほどお綺麗な真剣な表情、活舌が悪いと言いながらも誰よりもハキハキと台詞を述べる、それらがしっかりとした前振りになっていました。目力が強すぎて、浦井さんに対してはガン飛ばしてるんじゃないかと思ったほどです。
 個人的には何となく、3期生の中では演技に強いメンバーの印象があります。

 そして、おそらく観客に一番驚かれたのは、ドラマ内でサプライズ登場した、幸阪さんの演技ではないでしょうか。
 人とは価値観、倫理観の異なる人外を演じた幸阪さん。
 清楚な佇まいながら不気味にも見える存在感。人を弄ぶ非道な言動を微笑み交じりで放つ邪悪さ。低めの声でゆっくり話す幸阪さんが実にハマっていました。
 平井さんは当て書きしたのか、マリノ様をご存じなのかと勘繰ってしまったくらいです。

・メガネっ子増本綺良

 この度の平井さん脚本のドラマにて、増本さんは黒縁メガネのクールな女の子を演じていました。この時の増本さんのビジュアル、私にはとてもツボでした。
 ちなみに、年始の「サクラミーツ新年会」においても、平井さん脚本のドラマでの増本さんは黒縁メガネのクールな女の子でした。
 思い返せば、サクラミーツ本編において男性ブランコさんと4人がコントをしたとき、増本さんの役どころは黒縁メガネのクールな女の子でした。
 黒縁メガネのクールな増本さん、平井さんのお気に入りなんでしょうか。

・脚本家増本綺良

 漫才、コントなどのお笑いにおいては「ニン」が大事である、という話を芸人さんのトークで聞いたことがあります。
 「ニン」とは「人」のこと。即ち、その人の人柄、人間性がネタの中で見えること、ネタに反映されていること。人柄、人間性にあった役を演じ、台詞を放つことで笑いが生まれるのだというのです。
 ここで言う人柄、人間性、とは、何も本人の本当の人柄、人間性とは限らないようで、「その芸人さんの見た目や話し方、そういう外見的な印象や本人のキャラクターにネタがマッチしていること」「その人が演じている役が言いそうなことを言っていて、やりそうなことをやっていることが大事」なのだそうです。
 普段から抜けている人が鋭いツッコミをしようとしても、聞いている側に違和感が残る。マッチョがツッコミに回ると、マッチョの時点でちょっとボケに見えるから、本来のボケの威力が減って見える。なんだとか。
 なるほど、そういうものかもしれないな、と思わされます。
私たちの日常にも、近い話はあるのではないでしょうか。いつもふざけている人が真面目な話をしても「本当か?」と疑って真に受けない、とか、普段物静かな人が急にボケたりすると驚きが先に来て笑えない、とか。
 改めて芸人さんのネタのすごさ、演技力の高さが窺えます。ごく限られた時間の中で、自身が演じる役の「ニン」を伝えるためにビジュアルや仕草まで作り込んで、その上で笑いに繋げているというわけなのですね。
 「サクラミーツ」の4人は演技が拙い、と先述しましたが、それは「ニン」が合ってない、ということだったのかもしれません。芸人さんが用意してくれた役に自らを当てはめようとするから違和感が残る、ということだったのではないでしょうか。

 翻って、増本さん脚本のコントでは、増本さんが作ったコントだからこそ4人の演技が自然に見えたのだろう、と思いました。
 「サクラミーツ新年会」でも筆を執った増本さんですが、その時のコントは、ゲストメンバー含めて彼女たちの個性や特技が織り込まれており、本人役も同然のキャラクターを演じる彼女たちは実に自然でした。
 ものすごく極端ではあるけれど、そういうことを言いそうだな、やりそうだな、と思わされたコント。だから面白かったのかも、と思い返されます。
 4人を応援し続けたBuddiesにも、彼女たちのキャラクター、即ち「ニン」が伝わっています。だからこそ、それが前振りになっていて面白かった、それが説得力をもたらして面白かった、そんなコントだったのではないでしょうか。
 この度増本さんが書いたコントも同様、テレビなどで見る本人のキャラクターそのまま、といった口ぶりの役で、武元さんなんてもうほぼ武元さんでした。
 各位の個性を活かすこと、これは増本さんも意識されていたそうで、コント後のトークパートではちらりとそのこだわりを語っています。肉襦袢を着せるならだれが一番面白いか、熟考の末に出した答えは井上さんだったと。
 確かに、4人の中で一番力強さから遠い、当人の特徴として華奢であることが皆に伝わっているから、あえて逆を行く。これもまたキャラクターを活かした、Buddiesの持つパブリックイメージを逆手に取ったコントだったと言えると思います。
 コントを作れること、それだけでも凄いことですが、増本さんが芸人さんに唯一勝り得るところがあるとすれば、それは櫻坂46メンバーをより活かすことができる脚本を書けることではないでしょうか。

・武元さんのMC力

 登壇する時はおよそ全編に渡りMCを務めた武元さんですが、その淀みない進行はお見事でした。
 場面によっては狩野英孝さんを交えて進めることもありましたが、コメントを振り、次の段階へ進み、客を促し盛り上げる。ライブに比べて規模が小さいイベントということもあるからでしょうが、それにしてもテンポがいいMCです。
 恐らく、MC力はグループ一ではないでしょうか。
 グループでのMCと言えば、松田さんも素晴らしいです。朝の情報番組に携わっていることもあってか、必要十分をしかと聞き出す姿勢が感じられます。またその爽やかな声質と、キャプテンらしいキャラクターもあって、彼女のMCはとかく気持ちいいものです。
 もし松田さんがバラエティ番組のMC台に立つならば、名アシスタントとなるでしょう。比べて武元さんは、よりMCっぽい気がします。
 強めの声と関西弁が、バラエティっぽさをより強めてくれます。その声で他のメンバーにツッコむ様は、ひな壇芸人を捌くMC芸人を彷彿とさせます。
 本人が弄られがち、適度にツッコまれどころを持っている点も良さではないでしょうか。メンバーがボケやすくなる、弄りやすくなる、だから武元さんもツッコミができる。だからMCパートがお笑いになる。MCという中立的立場にいながら自身の個性も発揮できる。
 遠い未来では単独MC仕事をしているかも、そんな風に夢想してしまいます。

・気遣いと絆

 「サクラミーツ文化祭」から遡ること約半月、武元さんはプロ野球公式戦の始球式に臨みました。彼女が投じた白球の行方、ご存じの方も多いでしょう。彼女曰く、過去最も大きく自身が扱われたネットニュースになったとのこと。
 イベント内のトークで明かされましたが、始球式後にメンバーが集まった場で、山﨑さんを筆頭にメンバー一同でこの件を弄り倒したのだそうです。
 その流れを踏まえたのか、「サクラミーツ文化祭」における増本さん脚本のコント、大園さんが参加した昼公演にはこの一件が織り込まれ、大園さんをきっかけにコント内で武元さんは弄られ、増本さんがポケットからボールを取り出して、当時を再現する流れまで作りました。
 トークパートにおいて武元さんは弄りを振り返り「いいねん、うちは始球式のやつやられたし、井上はマッチョになったから、うちら綺良ちゃんに焼肉奢ってもらうねん、約束した。」と語りました。
 会話の前後の文脈から推察すると、武元さんの発言は、
「綺良ちゃんの脚本の中で、私は始球式の一件を弄られ、井上は恥ずかしい格好をさせられて、それを私たちが許容したことに対するお礼、あるいはお詫びとして、綺良ちゃんは私たちに焼肉を奢ってくれることになった。」
という意味だと思います。
 この推察が正しいと仮定して、「武元さんの始球式弄りはコントの中に最初から組み込まれており、大園さんがアドリブでぶっこんだわけではない」と私は考えていたのですが、「サクラミーツ」番組内でイベントを振り返った際の増本さんのコメントから、どうやらこの推察はほぼ当たっていると確信が持てました。
 昼公演における武元さんの始球式弄りはグッズ紹介コーナーでもう一度行われ、弄った回数は合計2回となりました。
 しかし、大園さんに代わり遠藤さんが参加した夜公演においては、同コントにて、この始球式弄りのくだりがなくなっています。同じ時間帯に差し込まれたのは、遠藤さんのキャッチフレーズにちなんだ一コマ。
 では夜公演ではその弄りが無かったのかといえばそうではなく、グッズ紹介コーナーにおいては昼公演と同様の展開となり、計1回、始球式弄りが行われました。

 この違いはなぜ生まれたのか、真実など知る由もありませんが、私なりの合理的な理由付けは、昼公演のゲストが2期生で、夜公演のゲストが3期生だったからではないか、というものです。
 つまり、増本さんをだいぶ買いかぶって、もとい信用して言えば、増本さんが後輩を気遣ったために生まれた差異なのかな、と感じたのです。
 先輩を弄る台詞や展開となると立場上、多少の抵抗感もあろう。それでも先輩が書いた脚本とあればしかと演じるだろう。それでひびが入るような関係ではないはずだが、それでも僅かながら戸惑ってしまうのではないか。だったら、観客に自己アピールもできる台詞に変えたほうが良いのではないか。
 遠藤さんの台詞を考えるにあたり、増本さんはこんな風に遠藤さんを気遣ったのではないか。
 ・・・爆笑が確約された弄りネタを封印した理由を、強引に捻り出してみました。まるで根拠のない妄想なのですが、優しく気の利く増本さんなら、こんなことを考えるかな、とその「ニン」を想像して思ったのです。
 いずれにせよ結局、遠藤さんはアドリブで独自に武元さんを弄っているわけで。「そこ曲がったら、櫻坂?」でのきらこ塾の教えはしかと後輩の胸に刻まれているようです
 では、なぜ大園さんが参加した昼公演で、増本さんは脚本を通じて武元さんを弄ったのか。それこそ同期の絆、「サクラミーツ」の絆なのではないでしょうか。
 容赦なく互いに弄りあえる間柄。あなたに言っても許してくれると信頼できる、あなたに言われるなら構わないと信頼している関係性が二人の間に、四人の間に、いや2期生の間にあるからこそ、事実始球式直後に全員で爆弄りした実績があるからこそ、コントに織り込むことができたのではないかと・・・これまた妄想しています。
 もしかしたら、昼夜全く一緒の内容では両方見ている人もつまらないだろう思って台本に変化をつけた、だけなのかもしれませんけど。

 同期の絆、というかチームワークを感じた瞬間がもう一つ。それは、グッズ紹介コーナーでの一幕でした。
 夜公演において、3期生含めてメンバー一同が登壇して行われたグッズ紹介。スウェットを紹介する流れの中、井上さんが一枚広げて客席へ向けると、谷口さん、遠藤さんは他の1枚を広げて掲げ、カラーバリエーションを伝えていました。
 この様子に、武元さんは「できる後輩や。さっきの(昼公演の)松田と大園は何もしてくれなかった。」とツッコんでいます。この時、3期生二人は先輩らを気遣った、手伝おうと動いたのでしょう。
 イベントの配信が終了した後、会場では芸人さんを交えた記念撮影の時間になりましたが、そのタイミングになったと見るや、舞台中央にあったケーキをすっと片付けるなど、二人は確かに、できた後輩ムーブをしていました。
 ただ「松田さん、大園さんは、それができない人物だった」とは思いません。最早気を遣うような間柄ではない、という言い方もできるでしょうが、それでも気を遣えるお二人だと思います。松田さんなんて、朝の情報番組よろしく、すっとサポートに回りそうじゃありませんか。
 きっと、気遣うことを忘れるほどに、ただメンバー同士でわいわいしているのが楽しかったのではないでしょうか。気遣いがよぎらぬほどにじゃれあっている、それも絆の表れなのかな、と思ったのです。
 対して、3期生二人はグッズ紹介で楽しく盛り上がっていても、頭の片隅には冷静さがあったのでしょう。どれほど仲良くてもあくまで先輩、そんな緊張感を忘れていなかったからこそ、スムーズにフォローに動けたのでしょう。それは先輩に対する敬意の表れだったと思います。

 このグッズ紹介においても武元さんの始球式弄りが、この時は昼夜公演共に行われました。グッズに潜ませたボールをメンバーが見つけ、それを武元さんに渡して、始球式の再現が始まりました。
 ボールを握り、舞台上手側に立った武元さんは、「ちゃんと投げるから」「向こうを(下手舞台袖を)見ていてくれ」と散々強調し、二つの意味で大きく振りかぶってからボールを投げます。
 放たれたボールは弧を描き、確かに舞台袖に消えていきましたが、メンバーはボールが手を離れた瞬間から武元さんの足元に近づき、きっとそこに投げ込まれたはずのボールの足跡を探し、武元さんはその様子にツッコみました。つくづく見事な連係プレーです。何度も弄ったとあって、ネタが洗練されています。
 夜公演においてこの流れが起こった際、武元さんがボールを投げた瞬間の、メンバーの動きの違いが興味深いです。
 井上さん、大沼さん、増本さんは勿論、ボールに見向きもせず武元さんの足元へ駆けていったのに対し、谷口さん、遠藤さんはボールの行方を目で追い、それが舞台袖に消えてから、2期生が動き出してから一歩遅れて、武元さんの足元に近づいています。昼公演で松田さん、大園さんがボールに目もくれなかったのとは対照的です。
 このワンシーンに、2期生と3期生の弄りの練度の差が感じられ、完成度が高くなるくらい弄れる、2期生の絆を垣間見た気がしました。
 反面、弄ることに不慣れなのかまだ純粋なのか、ボールを見送った3期生二人の素直な反応は初々しく、成長して弄り上手になるのもよいけど、このままでも可愛らしいかもな、と思ったものです。
 まぁ、谷口さんは武元さんの足元から目をあげた後、追い弄りしてみせて、武元さんに後襟を掴まれてしまうのですが。

・芸人さんの華

 基本的にはコントの間のみ舞台上にいた芸人さん達でしたが、狩野英孝さんだけは例外で、「沼TA」を終えた後、しばしクロストークが行われました。
 流石は山ほど舞台に立ってきた芸人さんというところでしょうか。まず声量が違います。そして、テレビの中では弄られキャラの狩野さんですが、この場では実に軽妙で、メンバーにツッコみ、俯瞰でツッコみ、その腕前を見せてくれます。
 記念撮影の時間に改めてゲスト芸人さんが勢ぞろいして、ごく短い時間の中で客席を沸かせ、一笑い掻っ攫っていく。
 櫻坂46はアイドルですから、そんなことをする必要自体が無いのですが、タレント力の差がまざまざ見えた瞬間ではありました。

 
 さて次の投稿では、このイベントについて見方を変えて、我が推しメンを中心にして語って行こうと思います。つまり、更に面倒くさい文章になるということです。

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