Perfect Days vs Godzilla−1
「哀れなるものたち」の前に見ていたのがヴィム・ベンダース監督の「Perfect Days」すっかり忘れてた。
何か訳ありでボロアパートにひとり暮らししている60代の中年男性(役所広司)が主人公。渋谷区中心に点在するオシャレなトイレの清掃員をしている。
毎日同じルーティーンをこなし、ありきたりの日々に静かな喜びを見出し淡々と生きて行く姿を描く。当然、同じシーンが何度も繰り返される。水曜日と木曜日と金曜日、同じ時間に起きて植木に霧吹きで水をやる。アパートの前の壊れかけた自販機で缶コーヒーを買う。年季の入った軽自動車で高速に乗って仕事へ向かい、陽の高いうちに帰途につき暖簾をあげたばかりの風呂屋で汗を流す。
まあ、他にもいろいろ細部に渡る描写はあるんだけどね、そのあたりは多くの方々がいろいろなところで語っているので割愛させていただく。
で、毎日のルーティンが繰り広げられる映像が続くのだけど多分同じ場所のシーンは一気に撮ってる気がする。私が監督ならそうするね。あ、みんなそうするか。
トイレ掃除の仕事現場だけでも3日分とかね。
「シーン12 4日目の夜 トイレの前」
「シーン15 5日目の朝 トイレの前」
「シーン20 6日目の昼 トイレの前」
みたいに。
調べてみたらなんと撮影期間は15日!ほらね、やっぱり。
思ったとおりだわ!
鼻を膨らましてみたけど、役所広司曰く「日本映画は20日くらいで撮り終えるものが結構ある」らしい。
そうなんですか?ああ、そう言えば安藤サクラの「百円の恋」も一週間で7キロとかダイエットして役作りしてた気がする。日本のスタッフも役者もすごい時間単価高いわ。
いやいや、でも年末に観た「Godzilla ー1.0」はもっといろいろかかってたしね、お金も時間も。
で、はたと考える。
映画の興行収入(売上)に対する制作費(仕入)ってどのくらいが妥当なんだろう。
制作費が高額になればなるほど宣伝文句に謳われるし集客効果もある。低額の場合はあえて話題にしないのかもしれない。
唐突だが、ここで飲食業と比較してみる。
一等地にある賃料お高めの重厚な店構えの高級店で高級な食器で高級食材を使った一流シェフが提供する高級料理。(さて何回高級と言ったでしょう?)
その売価は当然店側に決める権利があり、それを払っても良いと思う者だけが味わうことができる。
翻って映画業界‥‥配給会社で価格に差があるワケもなく全国一律2,000円(2024年2月現在)
様々な条件次第では1,300円まで下がることもある。(オーバー60はいつでも最低価格)
観客動員数が増えれば興行的にはあたりなのだろうけど
気になるのはその利益率。上にあげた2本の映画のそれは決して同じではないだろう。そしてさらに気になるのはその利益の行先。
役者のギャラはクランクイン前の契約で決まっているのだろうから増収した場合はやはり監督に行くのだろうか?それとも制作会社への分配金とか最初から取り決めがあるのだろうか?
うーん、最近は映画の中身より関心が湧くそこの仕組み。
どなたか詳しい方がいたら本当のところを教えていただきたい。
というわけで、金をかけなくてもいいものはできるのだ、ということがよーくわかった映画鑑賞であった。
映画って本当にいいですね。
それでは みなさん、サヨナラ サヨナラ サヨナラ