
第2回「そいつ」10月❷
週一で、同じ映画を見る。ただそれだけ。
観る映画は「遊星からの物体X」、つまり「THE THING」です。
ルール
毎週1回「遊星からの物体X」をみる
毎週1回みて、気づいたことを書く
木曜または金曜の通勤時間で見る
ネタバレとかは気にせず書く
通勤中。ほぼほぼ電車内での視聴となる。デバイスはiPhone se(3G)。
イヤホンはAppleの有線イヤホン。
画面は小さく、音質についても良好とは言えない。
製作陣が期待する映画館という環境からも程遠い。この点については留意。
あくまで「通勤中のiPhoneでの体験」という狭苦しい体験ということは気をつけないといけないかもしれない。
第ニ回目 10/13通勤電車
習慣化までの道のり
(10/13までの8日間にわたし自身の変化を簡単に。)
10/6
仕事の昼休憩などに感想をノートに書き記す。前回の記録のことである。
10/7
この時点で、すでにもう一度見たくなってる。というか何回も見ると決めたら、すぐ見たくなるものなのかも知れない。ここで見たら、すぐ飽きそうだなと思い我慢する。余計気持ちが募る。
代わりに最高の映画見るしかないと思って、「マリアブラウンの結婚」を映画館で観る。ここで語れないことが辛いほど面白い。しかし、遊星からの物体Xについてまともに語れない人間が果たしてファスビンダーの最高さを本当に語れるのか。
一つ言えることは禁THING中は、このくらいいいものでないと満足できない。
10/8
妻とCLIPSを使って架空のホラー映画のトレイラーを撮ってみる。
謎の狂犬に襲われるというだけの設定で撮ってみてゲラゲラ笑う。全然うまくいかないのが楽しい。怪物の怖さを出すのにカメラの向きを変えたり、シーンを増やしたり削ったりする。全然臨場感が出ない。「恐怖が間違いなくやってくること」「恐怖の要因がどこにいるのかわからないこと」「恐怖に直面した人間の恐怖の顔」が足りてないと思う。恐怖を文字にすることも難しいが、同様に撮ることも難しいのだと学んだ。
10/9
ライブハウスでバンド演奏する。なぜこんな話を挟んだかというと、実は遊星からの物体XのTシャツを着て演奏した。誰にも気づかれない。せっかくなので友達にも自慢してみたが、理解してくれたのは1人であった。「意外にもみんな見てないのかも知れない」という印象的な経験。友達に「毎週観ることを始めた」と報告する。続けなければと感じる。
10/13
ついに通勤中に鑑賞。
当たり前だと思ってることを整理
前回の記録は、数日前にファーストコンタクトを見返してたこともあり、主導権という一つのことを考えながら見てしまった。
今回は「わかったと思ってるつもりのことをもう一度見返してみる」という姿勢で鑑賞。
疑問点や、今後の映像作成遊びに参考になりそうな点を見てみようと考えた。
この頃のジョンカペの面白さは「光の当たり方」だとは思うのだが、そこに絞ってみる…というとこまで背伸びはできないと思う。まず、わかったつもりを壊してくべきだと思った。記録がつまらなくなってもいい、疑問を出しまくろうと思った。
やってくる「そいつ」の音
冒頭のヘリで思うが、ホラー映画は「やってくる」シーンが重要だと思う。ヘリの映像を遠・中・近と並べて、プロペラ音で主役たちに近づいてることを感じさせる。
何者かとは特定できないまま、近づいてくる時の臨場感。ホラー映画って当たり前にこういうことが出来ないと撮れないのかもな、としょうもない感想から始まる。
実際、CLIPSではこの音の距離感みたいなものが全然作り込めないので、BGMに頼らざるを得ない。音の距離感って難しいなと思ってみていたが、ふと、いやでも犬小屋での物体Xの叫び声、なんか変だなと思う。なんか遠い。この映画の音で感じる一番の違和感。
基地のマッピング
通信室破壊のシーンで、マクレディがチャイルズに指示を出す。「地図室から…」。地図室の存在に初めて気づいた。
もしかしてノルウェー隊の映像を見てた部屋がそうなのか…?そう思うと、基地ってどういう構造なのかなと思い、出てくる部屋を書き出す。
娯楽室、通信室、厨房、医務室、研究室、倉庫、地図室、火薬室、あとは各人の寝室(2人で一部屋)。それぞれの繋がりがわからない。
ネットで調べるものの出てこない。もうちょっと海外サイトとかを調べるしかないかも知れない。
6時間後という感覚
マッピングについては、正直解明できない気もしてくる。肝心なことではないというか、オタク心がくすぐられる程度だなと思い始める。
空間の疑問をもつと、時間のこともよく分かってないことに気づき、巻き戻して書き出す。
1日目 昼に犬とノルウェー兵がくる
夕方までノルウェー基地へ行く
晩飯を食ってると犬が変異
2日目 昼にノルウェーの発掘地へ
夜、初めて仲間がそいつに感染
3日目 朝、ブレアを外の道具小屋に匿う
晩、決戦。
そもそも3日間だったことに気づく。2日くらいと思ってたけど、1日たりてなかった。この時間感覚に追いつけてない理由は、昼間のシーンの短さだと気づく。
当たり前だが、この映画で重要なのは「暗闇」であり、夜である。物体Xが実際に動き回るシーンは少ないが、「どこかからやってくる」のは夜でしかない。どうしたって昼間は印象が薄くなる。それにしても短すぎないか?
そこでマクレディのセリフに気づく。
「6時間もすれば…」このワードは2回出た。最初のノルウェー基地にヘリを飛ばす時、そして3日目の決戦前だ。
もちろん6時間という偶然は、ご都合主義的なものかも知れないが、そもそも南極の冬、日照時間の短さ、極夜という設定があった。ふと角野唯介の本を思い出す。日照時間の少なさ、そのわずかな日照時間がいかにサバイバルに重要なわけだから、マクレディたちにとっては重要な時間感覚な気がしてくる。
とはいえ、映画の中の人物と観客の時間感覚、そしてソレを行ったり来たり時々飛び越えたりする映画作品の時間の流れの操作の上手さのおかげで、昼間の時間がいい意味で印書が薄い気がしてきた。
これは夜の真っ暗さに対象とした、昼間の徹底的な真っ白さも重要なのかも知れないなと思う。
来週に向けて
0.5倍速を試してみる
音だけ鑑賞、音無し鑑賞したらどうか。
光の赤、光の青、昼の白を考える
顔、そして視線
マッピング
カメラの位置
BGMと効果音のそれぞれなるタイミング
それぞれのヤられ方
など、少し見方を変えてみれるといいな。無理だったら普通に楽しむ。好きな映画のいいところは、普通に楽しめること。
とりあえず来週もみます。