ドイツ逃避行2024 ❺ベルリン2日目
ドイツに行きたしと思えども、ドイツはあまりに遠し。
されど、戯言ならべる暇などない、いざ逃げよ。
10/16(水)ベルリン2日目
2度寝して800起床。
朝方5時頃に宿主のパートナーが帰ってきたっぽく、ガチャっと音がした。そこで一瞬目が覚めた。
2度目の起床の頃には、誰も宿にいなかったのでシャワーを浴びて、準備を済ませた。
今日はできるだけ博物館をまわるために、行きたい博物館の候補を挙げる。夜はカーリーさんの大学時代の友人と一緒に、オーケストラを観に行く予定となってる。
正直、ガチガチに予定を組んだりするのが2人とも苦手なので、なんとなく気の向くままにメモの博物館を回ればいいかなー程度の感じ。なので失敗も多い。
とりあえず腹ごしらえをすべく、近隣のカフェをググり、良さそうなところをピックアップ。
9時頃、宿を出る。
鍵が閉まってるか確認すると、宿の玄関のドアに貼ってあるポスターに気づく。というか昨日の帰宅時も少し気になっていた。
大きな文字で「CHE BERLIN」。
QRコードをかざして調べてみると、なにやらベルリンで見つけられるラテンアメリカ的なイベントやお店をまとめる活動をしてるっぽい。ラテンアメリカの読書会やアーティストライブのことなどを特集したり企画しているみたいだ。考えてみるとキッチンにアルゼンチンと書かれた看板やボンビージャがあったんだった。中南米が好きっぽい。その場でCHE BERLINのインスタを漁ると、この宿の飼犬マルチーズが出てきた。あれ!どうやらこの活動のマスコット的存在のようで、マルチーズ推薦のカフェ発見!あの子が推してるなら、いいじゃん、ここ行こう!と、朝食のカフェを変更。
Googleマップに頼りながら、駅に向かう途中、前方から見覚えのあるマルチーズが…。横には宿主のパートナーの女性が。向こうもなんとなく顔を覚えてくれてたらしく、挨拶する。CHE BERLINのことを聞くと、あれ私の活動なの!と。今からマルチーズオススメのカフェに行ってみるね、と伝え、分かれる。
930頃、Symple Café到着。
ドリップコーヒー、クロワッサン、ハムチーズ入りのパン、フラットコーヒーを頼む。美味しい。
でもカーリーさんのフラットホワイトは忘れられていた。フラットホワイトのことがだんだん好きになってきた。
10時頃カフェを出発
地下社会博物館へ向かうために、Husemann Str駅からトラムに乗る。駅に向かう途中、ドイツのベスパ率の高さに改めて驚く。高校生の頃、ベスパに憧れていた。それはModsにではなく、フリクリに憧れて。そんな2000年代を生き抜いた僕は、ドイツのアニオタたちに昔のアニメの話をできないでいる。
話が脱線したが、トラムは無事、Bernauer str駅に到着。U-bahnに乗り換えないといけない。
乗り換え途中で、ベル壁スポット(前回も出てきたベルリンの壁跡地)を発見。
1988年生まれの僕からすると、一年後には壁が崩壊している。2024年のいま、分断の時代を語れる人が減ってるのかも。当たり前のように境目を毎日超えている。
そのリスクがヒヤッと楽しいくらいの越境ならまだいい。今回の海外旅行のように。
むしろ越えることのできない境目や、観ないようにしてる境目。考えないようにしてる境目を毎日、目の前にして、まあ仕方がないと壁に沿って歩かされてるのかもしれない。僕はまだ境目のこっちだから大丈夫、と向こう側の声を聞かないようにしてるような気もする。
コロナ禍で外出を自粛となり、人の移動を規制されて、内側に閉じこもる時代は本当に憂鬱だった。越境、簡単なことではないけど、だからこそやってしまうタフガイありたい。
戯言終了。
u-bahnに乗って、Gesundbrunnen駅到着。駅から割と近いところにあるベルリン地下社会博物館へ行く。全然目立たないところにあった。到着して、受付と話す。
ところが、なんとツアー予約しないと見れないとのこと!これが無計画の最悪なところ。
話を聞くと、英語のツアーは明日あるけど…といわれ、今日のツアーは全部埋まってるらしい。
仕方なく撤退…。40分ものロス…、ベル壁スポットがあったとはいえ、これは2人ともショック。
駅に戻って、写真系の美術館に行くことに。動物園近くに2つあるのでそこに向かう。
Gesundbrunnen駅から、RE快速で向かい、ベルリン中央駅で乗り換えることにした。乗り換えの電車に乗って一駅越えたあたりで、隣のお兄さんが突然機会を取り出し大きな声で車内を回り始めた。
乗車券チェッカーだ。初めて出会ったな。昨日買った24時間チケットを見せて、オッケーとのこと。周りの人を見ると、スマホのアプリを見せていた。調べると、BVG(ベルリン市交通局)のアプリで、乗車券を購入できるらしい。なんつう便利さ。
不良っぽい子もアプリを見せていて、意外にキセルをしないんだな。
席が空いたので腰掛け、乗車券チェック初めてだねーとカーリーさんと話すと、突然、あれ!?なんでアレクサンダープラッツ通り過ぎた?
アレクサンダープラッツは東ドイツ側。またもや、アタクシやりました、、。線の名前と時間だけ見て急いで飛び乗ってしまったため、東西が逆の方向に。
ここで2人ともダウナー状態に。目的地に一生辿り着かないのかもしれない。
1100頃。とりあえずWarschauer Straße駅で降りてみる。
もうここは開き直るしかないかなと思い、何かの縁で降りたこの駅を散歩してみることに。川沿いのようなのでホルツマルクトのような面白い広場があるかもしれないと思って、ググるとUrban Spreeというイベントをよくやってるイベントスペースがあるらしい。水曜昼間なので期待しないが散歩をしてみることに。
案の定イベントはやっていない。かなり閑散としていて、人とあまりすれ違わない。
歩いてると、通りのの角に大きな自販機を発見。secret packsなる文字。
説明を読む限りでは、AmazonやDHLで配達先不明になった迷子の商品を、宛先を全て消した状態で買い取ってガチャポン的に売ってるらしい。怖いもの見たさで買おうかと思ったけど、本当にいらないものを持ち帰るのを想像したら辛すぎてやめた。しかも、イベントもないこんな閑散とした日には辛すぎ。
通りを歩いていても、イベントがないとそこまで華やかな通りではない。壁のグラフィティもちょっと趣味が合わなかった。
するとiPhoneとマイクを持ったオジサンに突然声をかけられた。なにやらインタビューをしたいらしい。
「Friedricisheai地区はCOOLだと思いますか?」
カーリーさんは、今来たばかりでわかんないけどまあ良いんじゃない?と答えて、僕はもう少しクールなところがベルリンにはあるのでは?と答えてもらった(そのくらい自分で言えよ)。インタビュアーは、君たちはクロイツベルクのほうがお好きなようだ、と答えた。フリードリスハインとクロイツベルクはいま一つの区になってる。クロイツベルクは西側。
なんか適当なこと答えちゃったなと思ったけど、最後に名刺を渡された。RBBというベルリンの有名なテレビ局だった。
いまのところなんかそれっぽい番組はネット上には上がっていない。もしかすると適当なこと言いすぎて、使われなかったのか。それにしてもあんな閑散としたところで、COOLかどうかインタビューしてて大丈夫なのかな。なんにせよ面白い体験をした、電車乗り間違えたのもなんかの縁ですな、ありがとうございました。(居酒屋トイレのかわいい地蔵のカレンダーみたいな感想だけど。)
もう一度warschauer straße駅に戻り、電車で動物園近くに向かうことにした。
1200頃。
ヘルムートニュートン写真美術館へ。ミュージアムパスを使う。
うーん、なんかしっくりこないな。すごいんだろうなとは思うものの。ヘルムートニュートン自身の見た目が好きだな。女性の肉体を強烈に切り取っていく、実際に女性は美しくかっこいいとは思う。今こういう、ある種、消費的なヌードにNOが出やすいものの、これが面白さとして良いとか悪いとかよく分からないところ。プロセスは大事にして欲しいけど。うーむ、と時間をかけて見ている。
西武っぽいなと思ったら、西武やパルコの昔のポスターも展示されていた。
2階に上がるとヘルムートニュートン以外にも保管・展示している写真が並ぶ。
壁があった場所当時といまを全て撮った画集とかおもしろかった。
1250頃、近くのC/O BERLINという、こちらも写真系の美術館へ。ミュージアムカフェがあるので昼飯を。
僕はオープンサンドとチャイラテ、カーリーさんはスープと紅茶を頼む。シェフがいないからちょっと待っててね、とのこと。シェフ昼時に外すの?10分後、ご飯が届く。
特にカーリーさんの頼んだスープが美味しかった。セロリ・花・ケールのスープにトリュフソースをかけたものらしい。複雑で味わい深かった。
カフェの外では30分間、口論しているカップルがいたけど、僕らが席を立つ頃には仲直りしていた。
1330頃。
80〜2000のベルリンをテーマにした写真展。複数人のカメラマンによる、様々な時代の写真が載る。作風の違いも面白いけど、それぞれが時代を経るごとに取り上げるものが変わってくのも面白かった。
2階では、バングラデシュの写真家Sarker Protickの写真展。バングラデシュの炭鉱とその人々や環境を取り上げている。ポストコロニアルなテーマのようだ。採石場を俯瞰した写真や、採掘場に残された鉄骨を接写するなど、ぱっと見では具体的ななにかわかりづらいものの、なにか消費され尽くして剥き出しになったものを撮ってるかのよう。
説明を読みきれなかったが、写真の説得力がすごくて、見入ってしまった。
帰り際に、ミュージアムショップに寄る。
ポストカード2枚と、ドイツ語で書かれたAIについてのポケットサイズの本買った。展示の写真集が欲しかったけど、持ち帰りを気にして諦めた。
ちなみにこの建物の屋上では養蜂の巣箱が設置してあった。ベルリン市内では蜜蜂を守るために公共施設のあちこちに巣箱が設置されてるらしい(本で読んだ)。
蜜蜂が絶滅すると2〜3年で人類は滅ぶと聞いたことがある。マヤ・ルンデの「蜜蜂」ご参照ください。なんにせよ、蜜蜂さんには常日頃から敬意を払おう。
1530頃出発。ドイツキネマテーク博物館(ドイツ映画博物)に向かう。
全く記憶にないけど、メモによるとここでも乗り間違えたらしい。記憶にないレベルで乗り間違え回数を増やしてる。
Potsdamer Platz駅にて降車。駅を降りると日本人らしい女性2人を見かける。もしやと思ってググったら、昨日ライブを見損ねたHYPER GALの方々だった。見れなくて残念だけどヨーロッパツアー頑張ってください!と背中に念を送った。
15:50頃。
Potsdamer Platz駅ソニーセンターにあるドイツキネマテーク博物館へ到着。チケットはもちろんミュージアムパス。
3階から展示が始まり、降りてくる仕組みらしい。エレベーターで3階に上がると、警備員さんに「地下にロッカーがあるからぜひ使って」とのこと。
仕方ないのでエレベーターで地下に。
8階くらいまでだったか、フィルム保管のための事務所など結構回数が多いビルだけど、エレベーターが2台しかない。なのでエレベーターが結構待つ。
地下に降りて、必要な荷物以外ロッカーにしまって、エレベーターを待って、再度3階にあがる。やっと見れると歩き出したら、カーリーさんがチケット落とした!となり、もう一度、地下へ…。エレベーターを待つ。
地下でチケットを見つけ、3階に3度目。エレベーターを待つ。
もう2人ともヘトヘト…。こっちが悪いけど、このエレベーターシステム、もうすこしなんとかならないかな…。
ということで、やっと見れたけど、いや、展示はもう本当にすごい!ぜひ一度は訪れて欲しい博物館。
まず大きな構成としては、①映画②テレビと分かれてる。そのかわり展示の殆どは映画が占めており、テレビの方は巨大なモニター映像体験、あとPCでアーカイブを漁れる感じ。
①映画については、記憶の限りでは…
❶展示の導入
❷フィルムの始まり(古い映写機、リュミエール兄弟等)
❸1920年〜ドイツ映画(カリガリ博士からのドイツ表現主義)
❸1930〜映画の移り変わりと技術の進歩(トーキー、音楽、撮影技法、スタジオ)
❹メトロポリス!
❺マレーネ・ディートリヒ
❻ナチのプロパガンダ映画
❼亡命した映画人
❽戦後 東西ドイツ映画
❾近年のドイツ映画監督の紹介
➓当館のこれまで・今後の活動
ざっくりとはこんな感じ。それにしてもすごい量、、。そして飽きさせない展示技術。
実物や、クオリティの高い模型もすごいし、その展示方法自体のメッセージ性も秀逸。
ナチ映画のコーナーでは、真っ暗な倉庫のような場所で、中央に展示があるだけと思いきや、壁側に大量の引き出し。取手を引いてみると、引き出しの中から当時のプロパガンダ映画が流れ始める。
あとは別の展示で、映画が音声・音楽を同期する為にどうやって撮影しているかを体験する展示。左右2つのモニターとヘッドフォンが置いてあり、左は完成した映像、右では撮影現場の映像。
で、これ、Babylon Berlinなんですよ!!しかも、Zu Asche,Zu Staubを劇場で歌うあのシーン!
もう、カーリーさんと2人でわーってはしゃぎましたよ。
実際、本館の宣伝幟とかも、バビベルが使われていた。テレビドラマながら、映画級に投資したドイツ屈指のシリーズなので、いかにドイツ中がこのドラマに愛と期待を感じてるかがわかる。
というかこれ読んでくださってるみなさんも絶対見て欲しいです。ドラマ見ないわたしですらコレは面白いと思います!
濃厚すぎて頭やられた。
1800閉館までいた。およそ2時間。
お土産売り場で、バビベルシーズン4のDVDを購入。多分リージョンコードは行けそうだけど、PAL形式なので再生できない気がするけど、もう賭け。(バビベルシーズン4日本語で早くやってくれ!最終シーズの作成始まったよ!)
あれこれ書籍を選んでいて、本当に意味不明だけど、クラフトワークの本(英語、ペンギンブックス、案の定Kindleあり)を買ってしまった。なんでだろ、いいけど。
1830 頃。この後、ベルリンフィルのホールに行く予定。カーリーさんの大学の同級生で、ドイツに移住したNさんからのお誘いで見に行く。少し時間があるので近隣のカフェ The Barn Caféで時間潰し、紅茶とハーブティーと、なんかケーキを食べた、記録を残し忘れた。
待ってるうちにNさんと合流。こんな風にオーケストラを誘ってくれて、案の定とても明るくいい人だった。相手の話を丁寧に聞くことも上手だし、明るい話も苦労話もキャッキャっとしてるのに引き込まれるような話し方をする人で、本当に魅力的な人だった。(人物評とか失礼すぎるとは思いますが、すみません)。
ドイツでの生活やお仕事のことを聞いたり、コロナ禍での移住、育児、仕事などなど、勝手な想像ながらめちゃくちゃ苦労があるけど必死に立ち向かっていた。なんか勝手に感動。そして勝手に応援している。
あれやこれやと話しているうちにコンサートホールに着き、写真パシャパシャ。今日は読売フィルによる来独公演で、ベルフィルではない。そのため、日本人のお客さんや着物を着た地元民がチラホラ。
ホール内もすごい、オーケストラで中央に舞台があるのは初めてだった。後で本で読んだけど、当時は新しい試みとして音響担当の方もかなり苦労したっぽい。
Nさんが、チケット予約する際にコンマスのバイオリンの対角線上を選んでくれた、という狙いを教えてくれた。なるほど、意識しよう。
伊福部昭:舞踊曲「サロメ」から“7つのヴェールの踊り”
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 作品36
伊福部がやっぱ興奮したな、重厚さと変拍子な感じ。
アンコールも二曲やって、武満徹と、もう一曲(失念)。
武満徹、めちゃくちゃよかった。
心なしか、アンコールはだいぶのびのびとハジけていた印象。それがまた合っていた。
みんなでよかったなーと興奮しての帰り道。Googleマップをみると、公共交通機関が少し遅れがち、理由は警察の保安活動と。
なんかこわいなー、と言いつつ、またねーとお別れした。
近隣のことを調べながら帰ると、宿付近にバビベルのロケ地発見。まさにzu asches zu staubのシーンで使われたところ。
Theater im Delphiという劇場らしい。
駅から歩いて10分、行くしかねぇ!
2330到着…案の定、夜だしやってねえ!
なんだよーと思ってトボトボと歩いてると、もう一個劇場を発見。
brotfabrikというらしい。
どうやら、レストラン、シアター、映画館、さらにはイベントスペースとして活用している場所。何気なく交差点にこんなものが堂々とあり、みんなが使ってるのは羨ましい。平日夜にはもう色々終わってたけど。
宿につき、シャワー浴びて就寝。
夜飯あんまちゃんと食ってない、旅行なのに。
どうやらバイデン大統領が明日ベルリンに来るらしい。都市部は通行止めなどが増えるらしい。
次回、ベルリン3日目。
カーリーさんの恩人J&Wとの再会。ベルリンを散歩しまわります。