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記憶の記録16

高校の夏休み期間に、自動車免許を取得した。
高校の入試以上に緊張したものである。

1年次だったか2年次だったか記憶が定かではないが、夏休み明け、久し振りに登校するとクラスメイトが1人減っていた。
バイクを無免許運転し自損事故を起こして死亡した、とのことだった。
元々やんちゃな子ではあった。不良少年というやつだ。教諭陣にも反抗的で絡むこともしょっちゅうであったし、授業にも出たり出なかったり。絶対に仲良くなりたくないタイプだった。
完全な自業自得の結果ではあるが、二度と顔を見られないんだなと思うとなんともいえない気持ちになった。

退学する生徒もいた。単位が足りず諦める子、家庭の事情などで断念する子、妊娠し結婚するため学校はどうでもいいという子など、理由は様々だ。
卒業時にはどの科も、入学時の半数ほどになっていた。

クラスメイトのうち、同じ中学だった女の子とは学校内では大体一緒にいた。
単純な私は、その子を友達だと思っていたのだが、卒業一週間前から無視されはじめた。
そこで初めて「ああ、私のこと嫌いだったんだ」と知った。
ほかに知っている子がいなかったから私と一緒にいたのは分かるが、4年間も付き合わせてしまい申し訳なかったな、と思った。
同時に、それなら1人で過ごしてくれればよかったのに、とも思った。その強さはその子には無かったのだ。

クラスメイトの中ではもう1人、ほかの中学から来た女の子と付き合いがあった。
クラスでは基本的にずっと1人で過ごしていた。それで平気そうだった。
付き合うようになったのは部活で一緒になってからだ。仲良くなってからは高校近くのその子の家に遊びに行ったりもした。猫がいてかわいかった。
その子はアニメや漫画、小説が大好きだった。借りて読んだものは封神演義やオペラ座の怪人の原作(翻訳されたもの)やNANAなど多々ある。
高校卒業後は年賀状をしばらくやり取りして、何度かお茶しに行ったくらいで、交流は自然と無くなってしまった。

定時制でも部活動はある。運動部が夜のグラウンドで汗を流したり、囲碁将棋部などの文化部もいくつかあった。
当時、ある部活(忘れてしまった)の中に、部になる手前のクラブのような、イラストや漫画を描くような集まりがあった。アニ研・漫研的なものだろうか。
そこには先輩の女子(といっても年齢は同じ)が2人いて、私の他に2人所属したことで部へ昇格した。
基本的にはケント紙やコピックなどを使ってアナログで描いていた。ファンアートやオリジナルなど、各自好きなものを描き、自由に過ごした。
それぞれ好きなものは違ったが、同じ”オタク仲間”だという居心地の良さがあった。これは同人誌即売会など、オタク系のイベントでも感じる空気感だ。胸いっぱいに吸いたくなる。

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