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記憶の記録 脇道3

黙々と手を動かして成果を積んでいく、というと倉庫のピッキングも好きだった。
空調無しのトラックが直接つけられる大きな倉庫で、ペット用品やごはんのピッキングを1年ほどした。小売店にはおなじみの折り畳みコンテナを組み立てて台車に積み、端末を持って倉庫内を端から端までぐるぐる歩き回る。
コンテナを乗せるだけの板にキャスターがつけられただけの台車で回るのも好きだったが、コンテナが3列乗る大きいほうの台車を引き回すのも割と好きだった。
夏は汗でびしょびしょになるし、冬は寒くて鼻炎がしょっちゅう出ていたし、どんなに掃除をしていてもすぐほこりっぽくなるし、案外力仕事(10kg超のものも結構ある)で大変ではあったが、体を動かすのは苦ではなかった。ほかの人達が嫌がって放置していたことも、自分が黙ってやることに自己満足していたりもした。

一度、事務職を経験してみたいなと思って、経理系の事務として採用してもらったことがある。
マニュアルがあるから知識・経験は要りません、という謳い文句の求人にひとまず応募し、派遣として大きなBPOセンターに入った。そこは県中心地にある7階建てのオフィスビルのほとんどを使っていて、毎日何百人と出勤してきていた。世界的にも有名な巨大会社のBPOだった。
配属されたのは小さなチームで、PCが操作できれば初見でも出来るマニュアルがあるとはいえ、やはり普通高校レベルの教育をしっかり受けていないときついなぁと痛感した。
マニュアルの文章は理解できる。先輩に言われたことも分かる。ただ脳の練度が低いというか、地頭が悪いというか、「私頭悪ぃ~~~」とひしひしと感じた。最初の半年はミスしまくりで迷惑をかけまくった。申し訳なかった。
その後チーム編成が変わったりして、少し余裕が出来、他の忙しいチームを手伝ったりもした。
そのうち契約社員として直雇にしてもらったが、異動先のリーダーと折が合わなかった上、残業が多く、結局適応障害のような症状が出始めたので辞めてしまった。
同じ忙しいにしても、時間に追われるのは嫌いだな、と痛感した仕事だった。

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