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記憶の記録 脇道2

高校在学中、いくつかの仕事を経験した。
大抵はアルバイトという形で、いわゆる誰にでもできる仕事ばかりだった。

最初は小さなスーパーマーケットだった。そのあとも色々なスーパーで、早朝や深夜の時間帯、大きい会社のオープニングスタッフとして、などそれなりに経験した。
最初のアルバイトがレジ業務だったこともあり、そのあともレジ業務を中心に採用された。接客を伴う仕事はかなり苦手意識を持っていたが、「えいっ」と勇気を出してやってみれば、ある程度の期間はどうにかなった。
心底好き、とまではならなかったが、よくしてくれるお客さんとは二言三言交わす余裕が持てるまでになった。
レジは基本的には流れ作業だと思う。バーコードを読み取るレーザーが反応する位置や角度を経験から覚え、プリセットを頭に叩き込み、ひたすら黙々と手を動かせば、自分がした”仕事”が目に見える数字として残る。
たまにやたら偉そうなお客さんや、商品の並べ方に妙なこだわりがあるお客さんなどもいたが、総じて楽しい仕事だった。

病院のリネン管理は1年半ほどした。
市民病院の入院病棟、一般の外来や救急外来のシーツ、寝具、毛布などのリネンや、職員の白衣や入院患者さんの着替えのクリーニング、入院患者さんの家族向けの布団の貸し出しなども請け負っている会社だった。
同僚2~3人と地下のリネン室で寝具にカバーを掛け、入院病棟のリネン庫へ補充するためのリネンを台車に乗せ、そのあとは1人で各病棟を回る。
ある程度時間は決められていたが、基本的に1人で仕事のペースを決められるため気が楽だった。
寝具にカバーをつけて積み上げていくのが好きだったし、汚れたリネンを回収して種類ごとに分け袋にまとめて積み上げるのも好きだった。いわゆる汚れ仕事だし、感染リスクも無くはなかったが、黙々と取り組み結果が目に見える、という点でスーパーのレジ業務と共通の楽しみがあった。
ただひとつつらかったのは、入院病棟の師長さんの中で怖い人がいたことだ。患者さん絡みで直接問い合わせなければならない時は、それはそれは嫌だったし疲れもした。

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