ショート×ショート(燻製 注意報)

スマホのアラートが鳴る。

雷注意報が発令される

けれども私のいる場所は曇っているだけ。

風もない

夏だもの、かんかん照りの日に火を焚くのは正直辛い。

火を焚くには曇りがいい。

「天気予報当たんないからね」仕方ないよと彼は呟く

庭の金木犀の木を切った。死んだ祖父のお気に入りの木だった。秋になると一斉に咲く、私も好きな木。ただ、大きくなりすぎたのだ。

その薪、枝、葉を使って燻製を作る。

今回は鶏肉にした

薫る煙にむせこむ

銀ボウルを被せ待つ、遠くに雷鳴が聞こえた。

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