0618「サポーターに近づく」
いまさらながら、先日話題になっていたこのnote。少々違和感がある。というか正直あまり好きではない。
クラブがマーケティングの観点を持ってファンをセグメント分けすることは当然だが、それをわざわざファンの目につく場所に公開する必要があるのか。
スタジアムを一体にしようと本気で考え行動しているファンがこのクラブにもいるはずだ。
それがあろうことかクラブの内部から、スタジアムに集まったファンに対してサポーターだとか、お客さんだとか区別宣言されてしまうというのは、もし私が当事者なら本当に残念に感じてしまうと思う。
そもそもJリーグ自体創立から30年経っていないし、もちろんJリーグ創立後に加盟したクラブもたくさんある中で、まだまだクラブが街に根付いているとは言い難い。そこにあるのが当たり前で昔からあり、この先もずっとあるという感覚がない。
だからやれ自分はサポーターだとかあなたはファンだとか、意味のない重み付けをしてしまうのではないか。
オリンピックに出る日本人選手を応援するときに自分はサポーターだとか、あなたはファンだとかいちいち言わないように、その街のクラブは当然のように全員から応援され、そこには興味や思いの強さの違いがあるだけなのが自然であり理想だと思う。
そのためには何代にも渡って家族がずっとファンで自分の子どももファンになっていく、という日常が必要で、これはJリーグができたばかりである以上、時間をかけて続けていかなければならない。
そうしてそれが当たり前になったとき、スタジアムに足を運ぶ全てのファンが等しくサポーターと呼ばれる時がくるのではないか。
つまりクラブ経営で一番大切なことはファンが継続してクラブに興味を持ち続けることに呼応して、クラブを経済的に潰さないこと、さらなる喜びを提供すること、それを継続することであり、クラブの側からファンに楽しみ方を強要したり熱量を期待することではない。
思い出すと恥ずかしい話だが、以前北海道コンサドーレ札幌の野々村社長に「クラブ経営の立場から見て、サポーターに期待することはなにか?」と質問したことがある。
答えは、「十分ですよ。この仲間がもっと増えたら良いかな」だった。