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「海洋深層水の勉強だけして帰りなさい」と言われた気がしたので、伊万里市のことはちょっとだけ②

前回、全く海洋深層水に触れずに終わりましたので、今回こそ、伊万里のまちはちょっとだけにします。
フリじゃないですよ。


いざ海洋エネルギー研究所へ

前回の記事は時系列も前後させたりしてるのですが、今回は時系列で。
朝、宿泊先で起きて窓の外を見るとJR伊万里駅から出る一本の電車が

Romancing佐賀

ズルい笑
よく見るとブラックモンブラン装備してるし🍦
朝からご当地ネタが飛んできて、それを横目に準備をして目的地の佐賀大学海洋エネルギー研究所伊万里サテライトへ出発。

MR(松浦鉄道)

富山にもあるので、乗るとき意識してなかったんですが、伊万里駅はJRと在来線がスイッチバック(正確には違うらしいですが鉄道マニアではないので割愛します)してます。
そんなこんなで目的地に到着です。

海洋エネルギー研究所(IOES)

海洋エネルギー研究所の研究内容

海洋エネルギー研究所さんで今回視察した研究内容は以下のとおりです。
・海洋温度差発電(OTEC)
・海水淡水化装置
・波力発電
・潮流発電
・海洋深層水環境模擬実験装置
・水素製造、貯蔵(現在研究停止中)
・リチウム抽出(現在研究停止中)
海洋深層水が直接関係してくるのは、海洋温度差発電海水淡水化装置でしょうか。水素製造、貯蔵とリチウム抽出は個人的に興味があったのですが、現状、製造コストがどうしても割高になるので中止しているのだとか。残念。リチウム抽出とか島耕作でやってましたよね。

海洋温度差発電と海水淡水化装置

海洋温度差発電の仕組みは、温かい表層水と冷たい深層水を利用した発電システムです。
どの発電もそうですが、乱暴な例をあげた説明すると、扇風機の羽を逆回転させることでモーターも逆回転して、そうすると電気が発生します。
その羽の部分をタービンってものだと思ってください。
海洋温度差発電は、このタービンを表層水で温められて気化した作動流体(アンモニアと水の混合物)が回し、その気化した作動流体を冷たい深層水で再び液化します。
発電には温度差が表層水と深層水で20℃は必要とされており、滑川市では過去にも海洋温度差発電を見ていたそうですが、年間を通しての発電が難しいとのことで諦めています。
ただ、温めるために使う表層水を工場等の排熱を二次利用して温めれば十分可能だと思うので、自然環境の要因だけでお蔵入りにさせておくのはもったいないですね。
海水淡水化装置は、海洋温度差発電で温めるために使用した表層水を減圧(ほぼ真空)して沸点を下げて蒸発させて、深層水で冷やして蒸留することで淡水を抽出しています。
海洋エネルギー研究所さんでは海洋温度差発電、淡水化装置等を組み合わせたH-OTECをマレーシアに輸出しており、海洋温度差発電の発電コストを淡水化した水の販売収入でペイするモデルがあるそうです。

海洋温度差発電と淡水化装置の模型

海洋深層水環境模擬実験装置

深層水を取水した後、海に戻したときの環境への影響はどれくらいあるか。表層水と深層水は混ざらないとされているが海中で対流しているのかなど、上下6層で温度を変えて環境を観察する装置もありました。
行ったときは実験していなかったので、多く目のアクリル水槽でしかありませんでしたが、取水した海水の排水時の影響を考えるのは確かに大事ですよね。
他にも目的はあるようで、深層水が自然に上流へ流れている(湧昇)ポイントが世界にはあるらしく、そこは海水に栄養が豊富でいい漁場になっているそうです。そういった湧昇を人工的に深層水を表層にまいたときの拡散の様子なんかも調べることあるのだとか。
富山県でも水産試験場で大昔に研究したことがあるそうですが、あまり効果が得られなかったとかですぐにやめたそうです。やり方の工夫が見つかるといいですよね。美味しい魚🤤

深層水の特徴

ここで、一旦深層水って何なのを補足しておこうと思います。
深層水は、水深200mより下にある海水で、以下の特徴があります。
・低温安定性
 太陽光や外気の影響がないため、低温の状態で、温度が年間を通してほとんどかわらない。(富山湾の深層水は2~3℃程度)
・富栄養性
 
太陽光が届かず、植物性プランクトンとそれらを捕食する動物性プランクトンもほとんどいないため、リンや窒素などの無機栄養塩が豊富に含まれている。
・清浄性
 
表層水と混ざることがないので、生活排水など外的環境による汚染がなく、最近が極端に少ない。

深層水のポテンシャル

海洋エネルギー研究所さんでは、マレーシア以外にも国内で久米島においても海洋温度差発電を行っており、そこでは今後、民間事業者の参入等で発電量は増えていくとのことでした。
また、久米島では海ぶどうやビニールハウスの温度調整にも2次利用されているそうです。
1つの分野ではなかなか採算が取りにくいところを2次利用できる分野などで補いつつ、一方方向的な利用ではなく、循環を意識したシステムを構築することだ重要そうですね。
特徴にも書いたポテンシャルが3つもあるので、一度くみ上げただけで、最低でも3度おいしいところまでしていきたいですね。

じゃあ我らがまちでは

今回の視察は、深層水の水産や観光利用以外の部分を見てきました。
今までは、どうしても観光分野で利用してきて、近くの入善町さんも牡蠣の清浄化といった水産分野で利用しているので、そちらばかりに意識がいっていました。
それも大事だけど、工業、エネルギーなど、分野にとらわれず複合的に利用していくことが大事ですね。
これだけ夏が暑いので、空調関係で使えないか、使ったあとに料理屋の生けすや展示用のアクアリウムに使えないかとか。
まだまだ模索中なので、今度は深層水を利用している企業さんの取り組みも調べていきたいと思います!

海洋エネルギー研究所さんの視察は午前中で終わったので、伊万里駅まで戻って、前回の投稿の、観光案内所で聞いて行ったら休館日事件に見舞われます。
そのあと、午後は佐賀市まで移動してOpenAさんが監修された佐賀城公園一帯を歩きまわってきたので、その記事を次回書いて九州編の備忘録を占めたいと思います。
佐賀城公園一帯、すごく素敵でした。
その辺どう素敵だったのかちゃんと言語化して残せるのか不安ですが、練習します!

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