実践してみて有益だった本|「枝D〜ボールも自由も奪い取る術」
勤務する学校も夏休みに入り、ちょっと時間にゆとりができ、ある本を読み直したんです。
その本がこちら。
サッカー(フットボール)の本です。
この本を呼んだのが3年前。
この本を読んだことがきっかけで、私の指導の根本が書き換えられました。
そして、確実に選手(生徒)も私も変わった!
という手応えを感じています。
ボールに行かないという仰天の発想
『枝D』って何?
という方は、まずはこちらをどうぞ。
まあ、ざっくりいうと、サッカーの守備の理論。
意図的にボールを奪って攻撃をするための理論と私は理解しています。
この本の最初でど肝を抜かれたのが
ボールに行かない
という言葉。
普通は
「もっと厳しくボールに寄せろ!」
って声をかけると、私も
「そんな緩いディフェンスで練習しても、試合のテンションにはならないし、試合本番で苦労するぞ!」
と言って、
「もっと厳しくあたれ!」
と煽る指導をしていました。
しかし、守備のみならず、フットーボールでエラーが起こる元凶は
ボールにいくこと。
この意識から離れること。
これはサッカー指導におけるコペルニクス的展開だと私は感じました。
ボールに行かないと流れでサッカーを捉えるようになる
ボールに行かない
これを意識すると、サッカーの捉え方が、流れで捉えるように変化しました。
これは、指導者である私自身はもちろんですが、これを実践する選手もそうなるのです。
一番の大きな変化は、攻守の連動性が、自然とできるということです。
今までのように、指導者が煽って、ファーストディフェンスが厳しくいくけど、それに連動するのはせいぜい1人か2人。
そのため、ディフェンスラインの練習を取り入れたりしていたのです。
しかし、枝Dは基本3人➕1。
そもそもグループで奪うことが前提となっています。
しかも、ボールにいくのではなく、次の展開を予想して1番から4番までの役割が決まっています。
これを一度指導すると、奪う再現性がめちゃめちゃ上がるんです。
その結果、力の差のある相手と試合をしても、枝Dが発動するとボールを奪って相手ゴールに迫る展開が必ず生まれてきました。
私がいうことと言えば、
「ボールにいくな!」
ぐらい(笑)
今までなら、
「厳しく寄せろ!」
と言いつつも
簡単に抜かれたら
「一発で行くな!」
って、
どっちやねん!?(笑笑)
みたいな、曖昧なことを言ってたんですね。
ところが枝Dをトレーニングするようになって、「ああだ、こうだ!」とコーチングする言葉は激減。
枝Dは流れの中でボールを奪う構造になっているので、自然と周りをみて連動するようになるんです。
漫画の力も借りて、落とし込んだ枝D
枝Dの発案者内田さんが、「枝Dのことを書いている漫画がある」と発信していたのがこちら『ティエンポ』
枝Dのことがとてもわかりやすく、しかもストーリーも楽しめるので、
部の指定文庫にして、私の持っている『ティエンポ』を貸し出して呼んでもらいました。
選手自身が学び、その必要性を感じてもらう。
漫画は勉強感なく、楽しみながら枝Dを学べる最適なツールだと感じています。
枝Dで育った3年生にみられる成果
今の3年生は1年生の時から枝Dで育った選手です。
入学してきた彼らはざっくりいうと「下手」な部類の選手達でした。
しかし人数はだけは、学年最大11名が入部した学年でした。
一年生のリーグ戦でも勝ち星なし。
その年のリーグ戦も全敗。
2年生になっても勝利まであとわずかのところまで行くも結局は勝ち点なし。
2年間全敗。
そんな彼らが、3年生になって大爆発。
現在6勝2敗で2位に勝ち点1差。
優勝を目指して頑張っています。(2部リーグB)
成果1 声を掛け合ってサッカーをしている
ベンチから私がいうことは、良いプレーがあったら
「ナイスプレー!」
と声をかけるくらい。
あとはピッチ上の選手たちに委ねることができます。
それができるのも、ピッチ上で起こっていることについて互いにコミュニケーションをとってサッカーをやっているからです。
ハーフタイムにベンチに戻ってきても、
ああだ、こうだと考えていることを口にしている選手たち。
私は、その声を聞きつつ、アドバイスを加える。
後半は、さらにギアをあげて戦う。(勝っていても負けていても)
そんなチームになりました。
成果2 自分達で厳しさを要求するようになった
かつては、私が声を荒げた時だけ、厳しくやるけど、私がいなければ緩くなるみたいなジレンマがありました。
しかし、枝Dの指導を通して、サッカーを流れで見るようになった私たちは、ワンプレーで一喜一憂することなく、淡々とサッカーをやりきるようになってきました。
さらに、負けた試合では「もっと普段から厳しくやらないと、実力が上のチームとは戦えない」と肌で感じ、練習に互いに「こんな緩いんじゃ練習にならない!」と互いに要求するようになりました。
成果3 サッカーを観る目が育っている
枝Dを取り入れてから、試合がうまく行かない時は、大体が
1番がはまらないか、1番のあとが続かない(または準備ができていないのに、1番だけが反応している)というシンプルな結論に至ることが多いことがわかりました。
先日は、サテライトリーグという公式戦出場30分未満の選手たちのリーグ戦があった時、3年生は、アシスタントレフリーや、監督、コーチとして試合の運営に関わりました。
この時の対戦相手は強豪チーム。
かなりの点差がつくことが予想され、結果的には2−7の大敗です。
しかし、3年生の監督・コーチたちは、ハーフタイムに、相手のワンボランチとうちのチームのポジションの噛み合わせがあっていないことに気づき、ポジション変更を指示し、後半から枝Dを見事に発動させました。
枝Dが発動すると、良い形でボールを奪えます。
監督・コーチたちが意図した通り、相手GKからのパスを連動して、奪い連続して2得点を挙げたのは圧巻でした。
ベンチにいた私を含め、3年生首脳陣はしてやったりの表情で
見事に枝Dを発動してボールを奪い得点を決めた1年生達に
「ナイスプレー!ナイス枝D!」
と声をかけていました。
あれこれと教えたつもりはないけれど、気がつけば、サッカーを観る目が育っていた!
これも、
ボールに行かない。流れでサッカーを捉える。
という枝Dを実践してきたからこその成果だと感じています。
終わりに
2年間勝利から遠ざかっていたチームが爆発的に勝利を重ねています。
枝Dだけではなく、身体操作にも注力を注いできた成果が、一歩目の速さやルーズボールの奪取率の向上にもつながっていると思います。
とはいえ、我らの主戦場は2部リーグBの実質は3部リーグ。
中体連では地区のトップ4のチームとの戦いでは枝Dを発動しきれずに敗退。
実力の差をいやというほど思い知らされました。
しかし、敗退を糧としてさらに成長したい!
そんなことを自然と口にするようになった3年生。
その後の練習でも率先して練習を引っ張る姿に、頼もしさを感じています。
選手達に響くものがあったから選手達は成長し続けているのだと思います。
心に響くものを伝える
そんな環境を用意することが、指導者は大切なのかもしれません。
そして、このことはサッカー指導に限らず、人生をより良く生きる上でとても大切なことなのかもしれません。
これからも、選手達の成長を見守りサポートし続け、フットボールに限らず、人生の新しい景色を観ていこうと思います。
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