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Dream On(文月)

── 遠い幻を見つめてる月灯り

1st EP収録のアルバム曲「Dream On」
ソウルフルな歌唱とジャズピアノの伴奏が特徴的なチューン、過去に発表してきた作品の中で私が最も好きな一曲でもあります。今回はこちらの楽曲について、制作のエピソードや思い出話などを綴っていこうかと思います、よろしくどうぞ。(楽曲解説の記事はおよそ一年ぶりですが、皆様存在を覚えていましたか?笑)


着想

制作は「Rabbeats Harvesta #01」後の2022年10月頃からスタートしました。翌年頭のEPリリースは当時から視野に入れていたので、それに向けたアルバム曲作りの中で生まれた一曲です。

R&BやAOR的なサウンドで曲を出したい! という希望を募らせていた私の意向により、基本的にはそれらのジャンルへの憧憬が強い作風です。ロックなサウンドを土台にしつつ、ピアノやベースライン、ワウをフィーチャーしたギターによって、フュージョン / ジャズの要素も強く入っています。

各パート演奏難度が高くライブでの披露回数も少ないレア曲ですが、先述の通り私にとってSoirée随一のフェイバリットチューンでもあり、演奏の際はとてもテンションが上がったりします。上記は先日ボトムラインで披露した際の映像。ぜひご覧ください!

構成

Soirée作品の例に漏れず、変則的な構成を採用している一曲です。(お気付きの方も多いと思いますが、我々の楽曲は殆どにおいてサビが二回しか出てこなかったりします。)

エレピ独奏のイントロに途中から合流するリズム隊、シンコペーションのキメで流れが変わり、メインのギターリフへ……

我ながらとても美しいイントロだと思っていて、発案の際には現場でテンションが上がったのをよく憶えています。この  E♭→Fm→Gm→B♭ のキメは曲中でも何度か出てきますが、特に2サビ突入前のセクションは、流れを変える良いフックになっているのではと思います。

そして何よりこの曲の醍醐味と言えるのがアウトロのピアノソロ × 英詞のフェイク。制作段階では「正直ちょっと気取りすぎたかな?」と不安でしたが、素晴らしいフレージングと歌唱により、とても良い感じになったかなと。ライブでもお客さんの反応が楽しい部分で、このセクションを気に入ってくださっている方は多いのでは。

アウトロの英詞は公式に掲載したことがないので、ここで初公開(?)しておきます。

Are you aware?
Just you can connect my heart
Just you can reflect my light 
If you still hear me baby, I meant to say "Dream On"
Don't wanna be awake to feel no more pain

原曲のピアノ演奏は昨年末のライブでもお世話になった平手裕紀さん、エレピと生ピアノを混ぜた音色で、細かいリズムパターンやオブリまで気を配っていただきました。本当に素敵なフレーズばかりなので、着目して聴いていただくと楽しいと思います。

ボーカルパート

この曲の持つ雰囲気をしっかり押し出してくれていると思うボーカルパート。昨年末のライブでこの楽曲を初披露した後、翌日すぐにスタジオで録音をしています。

低音域が豊かなAメロ、詰め込み気味のメロディが印象的なBメロ、二段階のサビ→アウトロの英詞と何処もエモーショナルに歌っていただいて、身内ながら率直にとてもかっこいいなぁと。笑 (いつもありがとう!)

ボーカルのマオさんはThe Chill City Clubでのレパートリーなどからこの手のジャンルを歌っている姿を思い浮かべるリスナーさんも多いと思いますが、実際そのイメージをとても発揮してもらえたと感じます。メロディラインや音域的にはSoiréeの中でも割と簡単な部類の楽曲だと思いますが、こういったニュアンスを出すのは中々難しいところじゃないでしょうか。(歌えない私からすればみんな凄いけど←)

ギターアレンジ

最後はギターアレンジ。手癖がブルースやJ-POP然としている私に、思いつきのフレーズでジャジーな雰囲気を出すことはできなかったので、どれもしっかり練って弾いたフレーズです。笑

RECで使用したギターは2本。イントロのリフやサビのワウカッティングなどはいつものJazzmaster、あとのフレーズはセミアコのSheratonで弾きました。割合としては8割くらいのフレーズがセミアコの音ですが、ホロウ感の強いサウンドで中々マッチしているのでは。我ながら好きな音色感です。

音源だと割と聴き取りにくいですが、Bメロのカッティングパターンが個人的にお気に入り。該当箇所のInst音源を置いておくので、ぜひ聴いていただけたら。

歌い手とピアノに捧げた一曲なのでギターは終始バックに徹していて、印象的なフレーズはそう多くありません。とはいえこういったフレーズがミュージシャンの粋なのでは とも考えていて、グルーヴに身を委ねて弾いてみるのも中々一興だったりします。

まとめ

以上、こだわりが沢山詰まったミュージシャン的一曲のご紹介でした。

私自身まだまだ音楽的知見があるとは言えないので背伸び的な部分があることも否定できないですが、とはいえこういった意匠の強い楽曲は制作していてとても楽しく、今でも聴き返すことが多かったり。上記のMVも、簡単な作りながら冬の街中の雰囲気が曲にマッチしていて中々素敵なので、よろしければご覧ください。

最後に、タイトル「Dream On」の意味について。
英会話的スラングとして、非現実的で朧げな夢を抱いている相手に対し「せいぜい夢見てれば!」と嘲笑するようなニュアンスの言葉です。

夢を見ることって馬鹿げていて、自分本位で、周囲の人に理解されないこともあるかと思います。だけどきっと、誰もが普遍的な人生の中にも希望を持ちたいと切に願っているから、そういったモノを強く握りしめて生きている人が、ちょっと美しく見えたりするのでしょうね。 

(23.10.19 文月兎)


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