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【機材レポート】Soirée Streaming-Live 2023 -Playback-(Special)

3月18日にYouTubeにて無料配信されたSoirée初の配信ライブ「Soirée Streaming-Live 2023 -Playback-」。スタジオ一発録りで収録された今回のライブは、録音系統を含む非常に多くの機材を全てチーム内で回して対応する手作り感溢れる現場で撮影が行われました。今回はそんな配信ライブ現場で使用された機材たちを、エンジニアを担当した亀山淳弥さんの解説と共にご紹介します。

・収録回線について

収録現場に設置された簡易RECブース

今回の録音では機材の関係で、独立した録音機器を2つ使っています。一番シンプルなのは1つの録音機器に同時に音を録音する方法ですが、今回の楽器編成では以下の本数のマイクやケーブルの使用を予定していました。

Vo - x1
Gt - x2
AG - x2
Key1 - x2
Key2 - x1
Ba - x1

Drums
-Overhead x2
-Snare x1
-Kick x1
-Toms x1

このように同時に録音するためには最低でも14本の音が出る回線を作らなければいけません。またマイクを使用する際には適切な音量で録音するためにマイクプリを通さなければいけないので、そのためのチャンネル数が今回使用予定の機材では足りませんでした。

不足している状況を解決するために、ドラムとそれ以外のパートを別々の機材で同時に録音して、後の編集で合わせるという方法で録ることになりました。

・AIF(オーディオインターフェース)

録音に使用された2台のAIF
TASCAM US-16x08(写真下段)・ZOOM LiveTrak L-8(写真上段)
現場PAにはYAMAHA MG166cxが使用された

ボーカルの返しとしてTASCAMのAIFに一度入った音声を返し用に現場のモニタースピーカーに送ったのですが、マシンスペックの関係で途中から現場のスピーカーにノイズが乗ってしまいました。ZOOMのAIFの方であればDAWを通さないでAIFに入った音声を直接出力が可能なので、そちらでVoを録音した方が良い環境づくりができたなというのは反省点です。

AIFはそれぞれMacBookに接続
録音DAWはLogic Proが使用された
ZOOM LiveTrak L-8はスタンドアロン運用も可能なMTR
当日はDAWに接続、ドラム録音のみで占有した
TASCAM US-16×08は外部アプリを用いて
EQやエフェクトのコントロールが可能

・マイク

使用マイク、当日持ち込んだものは以下の通りです。

SHURE 55SH Series Ⅱ - Vo.
SHUREの定番、通称「ガイコツマイク」
Behringer c-2(ペア) - Dr. overhead(写真上中央)
Airのステレオ録りに使用
・SHURE PGA81-LC - AG air
AGはこれに加えラインでも録音されている
・Zennheiser E609 - Gt. amp(写真左)
写真右上はスタジオ備品のSHURE SM57

残りの必要なマイクはスタジオのSHURE SM57, SM58をお借りしました。今回はドラムが一番壁奥だったので、マイクの被りが少なく録音できたと思います。

神谷誠汰(Dr.)が使用した TAMA Starclassic ドラムセット
スネアはローピッチのものが使用された
タムなどの録音はスタジオ備品のSM58が使用された
Rqbe(Gt.)が使用した YAMAHA APX600
低音のよく出るパワフルなサウンドの個体
文月兎が使用したギター。手前から
・Gibson Les Paul Traditional
・Fender American Professional Ⅱ Jazzmaster  
最奥 YairiのAGはリハーサルでのみ使用された
文月兎が使用した Marshall JVM
クランチChでセット、歪みの音色はペダルで作られた
文月兎が使用したペダルボード。左から
・Vivie WildCat - Overdrive
・Bogner Ecstasy Red - Distortion
・Jim Dunlop TM95 Cry Baby - Wah
パワーサプライ(写真左上)はRevol Effects製を使用

・その他

キーボードとベースはラインアウトがあるので、そちらから直接AIFに録音して、AGは途中にZOOM A3を使って片方の音声をAIFに、もう片方を現場のミキサーに送っています。モニター環境としては、普通のライブのようにサイドと足元のスピーカーからVo, Key, AGの音声が出ている状態でした。

関=所(Key.)が使用したキーボード。
Roland FA-08(写真下)・Roland FA-06SC(写真上)のツイン
チャンネル数の都合から、シンセ音色メインの
FA-06SCはモノラルで出力された
笠井亨(Ba.)が使用したFender Jazzbass
USA製の5弦ベース
ペダルのZOOM B1X onはエフェクトを通さず
ボリューム / チューナーとしてのみ使用
ここからAIFへライン出力されている

マイクセッティングやシステムトラブルなどその他の細かいところもありますが、今回のStreaming-Liveではこのようなセッティングで行いました。基本的に音響系はものが揃わなければ「録音する」という目標自体が達成できないので、事前準備の占める割合が大きいです。

大きい会場なら、何メートルの長さで何本のケーブルで足りるのか、電源の位置はどこなのか、借りられる機材は何なのか、など考える必要があります。もちろん撮影が有れば動線や写りも意識した形にしないといけません。リハーサルスタジオであればマイクやスタンド、ケーブルもある程度融通が効く場合が多いのでとても楽です。

事前準備やセッティング、オペレーション、撤収まで含めてとても大変で気を遣うところも多いですが、その分達成感の多い役割でもあります。

・総括

録音規模に対して考えれば、機材量は案外コンパクト

機材全体で見てみますと今回の持ち込みはAIF / PCそれぞれ2台+マイク数本でそれ以外はスタジオ備え付け機材を使用させて頂いたので、バンドという録音規模に対してはかなりフットワークが軽い機材量だと思います。複数の音声が同時に録れる機材も時代と共に小型化、軽量化、そして安価になった事で個人レベルでの所有や運搬が可能となりました。

また、レコーディングスタジオで使うような高価な機材も後の編集段階でソフトの上でかけたりするなど、編集の工夫で出来る範囲も広がってきています。録音に限らず楽曲制作にも通じるところがありますが、今から音楽を始める人にとって、それぞれに合った物を選びやすい環境になってきたと感じています。Soiréeの活動でも、制作頻度を増やすために個人でレコーディング環境を整えるのは現代らしい制作スタイルでとても良いなと思ったりしました。

(23.03.22 亀山淳弥)

以上、亀山淳弥さんによる配信ライブ機材レポートでした!持ち込み機材によるセルフレコーディングや撮影のいちノウハウとして、参考になる点が少しでもありましたら嬉しいところです。最後までお読みいただきありがとうございました!

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