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私立恵比寿中学(2)


 ”私がエビ中と再会した後のはなし”




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 「仮契約のシンデレラ」「自由へ道連れ」を発見してから一年近くの月日が経過している。言ってみれば、私が私立恵比寿中学を意図的に無視しようと決め込んだ期間である。
 

 気がつけば世の中が新型コロナウイルスの脅威にさらされ始め、数多くのエンターテインメントが自粛せざるを得ない状況へと追いやられていた。
 この春行きたかったライブ、演劇、イベント等々、すべての予定が中止もしくは延期となり、文字通り私(たち)の楽しみはウイルスによって根こそぎ奪われてしまったといえる。


 このような状況下において、どうにかファンの人たちに思いを届けたいと考えた様々なアーティストが、三月を迎えたころから徐々にそれぞれの形で配信などのサービスを始めた。
 

 それは、本来行うはずだったライブを無観客にして生配信するものであったり、過去のライブ映像をYouTubeで配信するなど、既存ファンの需要を少しでも満たすためのサービスであることは容易に想像できるだろう。


 しかし、こうして始めたことが”stay home”している人の目に偶然触れ、新規のファンを多く獲得しているアーティストも多いのではないだろうか。何を隠そう私もその新規となった一人である。


 前回の投稿にもあるように、私は今のところ幅広い知識を薄く持つことを意識している。そのため、様々なアーティストが配信を行う度に、その魅力に気がつく良い機会だと思って配信を覗いていた。
 

 この期間に改めて好きになった、そして新しく好きになったアーティストは数多く存在するが、その中でも久しぶりに「これは完全にはまる」と確信したのが私立恵比寿中学である。


 

 きっかけとなった動画は2020/3/8に公開された「MUSiCフェス ~私立恵比寿中学開校10周年記念 in 赤レンガ倉庫~」のライブ映像である。(期間限定配信のため、現在は非公開)
 初めて「仮契約のシンデレラ」を聴いた日から随分と月日は経過していたが、それこそエビ中に関しての情報はほとんど収集してこなかったため、ライブを通しで鑑賞したことはもちろん無かった。
 


 いわゆる自粛期間に突入してからエビ中として初めて配信されたライブ映像で、せっかくの機会だからと公開された二日後にその動画を拝見した。時間に余裕があったため、どうせなら初めから全編観るつもりで、もし飽きたら途中でやめようかという軽い気持ちで再生した。
 

 


 この選択がすべての始まりである。


 

 overture(エビ中の場合はebiture)と共にステージへ颯爽と姿を現すメンバー。
 その後、怒涛のテンションでかなりの楽曲数を生歌で披露していき、あっという間にライブを鑑賞し終えた。本当にあっという間だった。


 たかがライブの映像を一本観ただけ、メンバーのパーソナルな部分を知っているわけでもなければ、エビ中の歴史を追ってきたわけでもない。しかし、正直に思ったことを言うならば、誤解を恐れずに言わせていただくならば、私はこのライブ映像たった一本で「日本一のアイドルかもしれない」と思ってしまった。それはもうほとんど確信めいたものでもある。


 もちろん各人にそれぞれの「日本一のアイドル」が存在することは百も承知の上である。そこを否定するわけでは無い。ただ、あまりにも衝撃的だったのだ。ここまでライブとしてのクオリティが高いことってあり得るのかとさえ思った。生歌で踊り続けエンディングまでその質が下がらない。(安本さんの声が枯れたのは”味”ということでご愛嬌)


 エビ中という名を耳にしたことはあれど、その実力について知っている人は世の中にどれだけいるのだろう。これは絶対に一人でも多くの人たちに魅力を伝えるべきだ。そう考えた私は、まず自分がその魅力を知らなければならないという使命感に駆られた。



 一年前に「はまる」ことを一度断念した自分に失望すると同時に、それでも今ここでまたチャンスを得たことに安心もしていた。もしかすると、知っているたった二曲だけでエビ中を語る薄っぺらい人間になっていたかもしれない。そんな妄想が恐ろしく感じるほどの魅力がエビ中にはあった。


 何はともあれこうして私はライブ映像を鑑賞し終えた次の瞬間から、私立恵比寿中学について知り尽くすことを決意する。まずはグループの大まかな歴史、メンバーの名前、ライブで気になった曲のダウンロードなど、基本的な情報を洗いざらい調べ、YouTubeなども隅々まで確認した。
 

 

 ちなみに「仮契約のシンデレラ」「自由へ道連れ」に続いて、私が三番目に虜となった曲が「シンガロン・シンガソン」だ。調べていくと、この曲を提供したのはMrs.GREEN APPLEの大森元貴で、ミセスファンの私は歓喜することになるのだが、この曲もまた天才としか言いようがない完成度となっている。



 やはり、それなりに長い歴史を歩んできたグループなだけあって、知り得た情報を整理するのに苦労もしたが、時系列を円滑に理解するにあたり非常に役立ったコンテンツがある。それが、お笑い芸人の流れ星がMCを務めるエビ中の冠番組「エビ中++(たすたす)」だ。
 

 まず冠番組をすべて見ておけばとりあえずは大丈夫だろうと考え、スターダストチャンネルに入会したのち、全部で102回分ある放送を三月中にすべて見終えた。これにより八人体制のエビ中について大まかに把握しながら、もちろん「エビ中☆グローバル化計画」も当然のように視聴した。
 

 八人体制以前については公式の教材が少ないため、YouTubeの力を存分に借りた。逆に「エビ中++」以降に関してはかなり調べがついたので、実際手元に置いておくべきコンテンツなどを買ったりもした。
 

 ちなみに購入したものは『HISTORY 幸せの貼り紙はいつもどこかに』と『大学芸会2018 in 日本武道館』の二つで、まだまだ増えていきそうな予感である。
(※8/5 発売『ファミえん 令和元年 in 山中湖』購入)
(※11/25発売『エビ中 秋麗と轡虫と音楽のこだま 題して「ちゅうおん」2020』購入)
(※12/16発売『バンドのみんなと大学芸会2019 エビ中のフルバッテリー・サラウンド』購入)

 

 こうして寝ても覚めてもメディアを漁り続けた私は、エビ中との再会を果たしてから約三か月で、立派な”エビ中ファミリー”としての仲間入りを果たしたのだった。
 

 初めて観たライブ映像で、なぜ星名さんは一人お立ち台の上でパフォーマンスをしているのか、なぜ「Family Complex」で歌声が詰まったのか。歴史を辿ってきた今、同じ映像をもう一度確認すると非常に感慨深いものがある。



 メンバー全員、本当に個性的で魅力に溢れた六人なのだが、私立恵比寿中学を布教しようとするならば、まずはやはり楽曲の良さをアピールすることが一番手っ取り早い。

 エビ中は曲のふり幅がとにかく広く、聴いていてまず飽きることがない。アルバムに関して言えば、特に「エビクラシー」「MUSiC」「playlist」の三つを聴き比べればそのふり幅は一目瞭然である。


 そしてこれらを聴き終えた後に「中辛」「中卒」へと歴史を遡っていくと「まだこんな引き出しあるの!?」とさらに驚くことができる。私はこのような、徐々にエビ中の原点へ逆戻りするような聴き方をあえておすすめしたい。


 そしてなによりいちばんおすすめしたい楽曲の聴き方は、とにかくライブの映像を観ることだ。すべてのアーティストに共通することではあるが、特にエビ中の場合はライブでこそ真価を発揮すると断言できる。大事なことなのでもう一度言うがエビ中はライブである。

 初めからアルバムに手を出すのはハードルが高いという人は、とりあえずYouTubeでライブ映像を観てほしい。汗だくになりながら笑顔で歌い踊りまくる彼女たちの姿は、最高にかっこよく感動すら覚える。


 また、過去に「恋するフォーチュンクッキー」「サイレントマジョリティー」「プロミスザスター」などの名だたるアイドルソングが一位を獲得してきた、アイドル楽曲大賞というランキング企画がある。
 その第八回(2019年)メジャーアイドル楽曲部門で、エビ中の「星の数え方」が見事一位を獲得している。ちなみに「星の数え方」は、霜降り明星のオールナイトニッポン0でフィラーとして使用されていた。
 (※第九回(2020年)メジャーアイドル楽曲部門においても、エビ中の「ジャンプ」が一位を獲得し二連覇達成!また、アルバム部門では「playlist」が一位を獲得!)

 アイドル楽曲大賞のアルバム部門で堂々の一位を獲得した「playlist」だが、はっきり言って桁違いの完成度となっている。全くカラーの異なる制作陣が各々の楽曲を提供しているにもかかわらず、その全てを”エビ中”として完璧に昇華させた奇跡の一枚。現代のアイドルシーンにおいて右に出る者はいないほど、ずば抜けて優れた作品と言っても過言ではない。



 とにかくエビ中の良さの一つは間違いなく楽曲にある。数多くのアーティストがエビ中に対して楽曲提供をしており、どんな曲でもエビ中色に染め上げて歌うことができる。
 歌唱力に関しては言うまでもないが、それに加えて魂のこもった表現力はもはやアイドル界で右に出るものはいない。「魂を込めて歌う」の一つの正解がエビ中にはある。

 

 「キレのないダンスと不安定な歌唱力」からスタートしたエビ中だが、今やそのキャッチフレーズは見る影もない。歌が上手な子たちをスカウトして結成されたグループではないからこそ、現在に至るまでの努力がより一層感じられる。



 

 YouTubeでエビ中の動画を見ていると、どの動画にも必ずと言っていいほど「もっと知られてほしい・売れてほしい」「知らないなんてもったいない」といった類のコメントを見かける。

 私もそう思う。もっと多くの人に魅力が伝わるべきだと思う。たくさんのアイドルがひしめき合う群雄割拠の現代において、ファンだけが良さを知っていればそれでいいというスタンスも悪くないだろう。
 ただ、個人的なエゴを押し付けるようではあるが「頼むから爆売れしてくれ!!」と思っているのも事実である。


 ファミリーになって早三か月、私はこの短い期間で細かい史実を除きエビ中のほとんどを知った。言い方を変えれば、猛勉強をした。ここまでできた原動力は、何と言っても私立恵比寿中学が最高に面白いグループだからだ。

 

 そして、私にとってはエビ中の全ての歴史がまだごく最近のことであるため、古参のファミリーよりも記憶や感情が新鮮である。そのため「エビ中++」を全て見終わって現在の時間軸に戻ったとき、松野莉奈さんや廣田あいかさんがいないことに当然ショックを受けるし、メンバーが髪を染めたりして急に大人びているし、展開の速さについていけないこともある。

 しかし、今までエビ中とそのファミリーの皆さんが一緒に辿ってきた歴史があるように、これから先は私もエビ中と同じ歩幅で歩んでいけるということがとても嬉しい。



 結局何が言いたいのかというと、とにかく一度でいいから私立恵比寿中学に目を向けてほしい。彼女たちの存在を認識してほしい。本当にそれだけです。まじで凄いから、お願いします。


 


 心からお願いします!!!!!!

 

 エビ中を何卒!!!!!!



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追記

 

 最後に、私が「シンガロン・シンガソン」のMVを眺めていてふと気になったことを一つ。
 メンバーそれぞれが、うつ伏せ寄りのソロショットで抜かれているカット。どのメンバーのどのカットを見ても、寄りになると必ず本人たちの手と靴があり得ない角度から画角に入り込んでいる

スクリーンショット (4)

 MV中の一つの表現と言われればそれまでだが、この唐突で不思議なカットに言及しているコメントや考察が全く見当たらなかったため、ますます気になって眠れない日々が続いている。

 もしこのカットについての個人的な考察もしくは解釈を知っている方などいれば、ぜひ教えていただきたい。

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