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アンティーク家具の塗り直し DIY04
こんにちはツグミ工芸舎のソイです。
今回はアンティーク家具の塗装の塗り直しのお仕事をいただきましたのでその工程を記録します。家具塗装の参考にしていただければと思います。
今回は折り畳み式のアンティークテーブルの塗り直しです。
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この塗装を剥がすのによい道具があります。スクライパーです。1mm厚の鉄板です。この鉄板を砥石で研いで直角を出したら、鉄の棒で強く擦り付けて引っ掛かりをつくります。目でみても掛りができたかどうかよくわかりませんが、指で触れて引っ掛かりがあれば大丈夫です。
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これで木材の繊維方向に擦ることで塗装を剥がします。スクライパーを45°くらいに傾けて擦ります。小さなカンナ屑が出るような感じで表面が削れます。ヤスリを使うより早くてきれいな仕上がりになります。
固い木材の場合は固く絞った雑巾で表面を少し湿らせてから削るとうまくいきます。
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テーブル表面にある深めの傷は水を含ませたティシュ等を傷の上にのせてしばらく待ちます。10分程。これで膨らんできたら、乾かして回りと同じ高さになるように削ります。膨らまない場合は全体を削り緩やかなへこみにして傷を取ります。
今回は漆で塗装します。
表面に細かい紙ヤスリを掛けて塗料の付きをよくしてから塗装します。
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拭き漆のやり方は漆をテレピンオイルで溶いて塗ります。始めは漆の量に対して2~3倍の量のテレピンで薄めます。2回目、3回目とテレピンの量を減らし、最後はほとんど薄めないで塗ります。塗り方は筆で塗っては布で拭き取るだけですので難しくありません。1度塗ったら1日待って2回目を塗ります。空気が乾燥していると乾かない!という、普通の塗料と真逆の性質がありますので、冬に塗る場合むろが必要です。
3回程塗ると落ち着いた光沢がでます。もっと重ねて塗るとピアノのような光沢になっていきます。今回はアンティーク家具なので3回くらいの光沢がちょうどよいかと思います。
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#400の紙ヤスリで表面を滑らかにしてから2回目の漆を塗りました。色が濃くなり落ち着いた感じになってきました。
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3回目で光沢が出てきました。今回はこれが乾いたら納品します。あまりピカピカにすると脚の部分のアンティークさと釣り合いがおかしくなりますので。
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いかがだったでしょうか?
家具の塗装の参考にしていただければと思います。
漆は1度固まったらもう溶かすことはできないといわれるほど強い塗膜をつくります。抗菌作用もありカビの発生も押さえます。家具だけでなく、お椀や箸にも昔から使われ安心で環境も汚さないのでおすすめです。かぶれにくい漆というものもあります。下記リンクから購入できます。
キッチンにある木製のお皿やスプーン、箸など、塗り直して使うのもまた楽しみです。
こ今回使った漆とスクライパーはこちらから購入しました。
漆: 伊勢型紙おおすぎ
スクライパー: オフコーポレーション