空っぽをつくる
こんにちは。ツグミ工芸舎のソイです。
今日は作業中に思い付いた、自分は今、「空っぽ」をつくっていることについて書いてみようと思います。
「空っぽ」ってつくれてしまうんです。
今まで、自分は木工小物の制作をしてきたという認識で仕事をしてきましたので、今日はこの思い付きにちょっと自分自身驚いてしまいました。
器をつくるってことは同時に、内側の何もない空間、たべものが入るスペースを作っている、ということです。
空っぽをつくる。
形のあるものをつくることで、形のないものに形を与える。
形のあるものが、形のないものを見えるようにしている。
物質を使って、空を表現している。
いろんな表現の仕方があります。
モノづくりを通して、学べることはたくさんあります。
特に手道具を使っての制作では、まず、とても時間がかかります。少しずつ行程が進んでいきますので、作業中にはたくさんの思い付きがあります。想像はその材料を育てた自然のことにまでおよびます。
100年も前に芽を出したひとつの種が、一本の大きな大木となり、その塊が板になり、家具になり、器になるり、箸や匙になる。そしてその素材は人に使われることでさまざまな経験をし、最後にはまた、土に帰っていく。
わたしたちとよく似てますね。
自分のこれまでとそれを重ねることで、モノへの愛着は生まれるのかもしれません。
空っぽはつくられました。そこに何をどう盛るか?バトンは使い手に渡されます。
空っぽを埋め、食べてまた、空にする。
そのどんな繰り返しも興味深く、静かに観察している器とわたしたちの暮らしのなかで繰り返されるさまざまな出来事。
この器は、ひとつひとつの出来事にその都度浮き沈みしている自分自身から一歩下がって、良し悪しの判断の外に立ってみては?などと思っているのかもしれません。
あれこれ、結論のない、あんなこと、こんなことを考えながら、今日も制作しています。
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