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心の糧
L'essentiel est invisible pour les yeux.
大切なことは、目に見えないんだよ。
サン=テグジュペリの言葉。
これをアンティークカトラリーのバングルに刻印されたお客様がおられた。
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私は、ジュエリーはファッションだけじゃなく、
大切な想いを込めたり、受け継いだりする、自分を支えてくれるようなお守りになると嬉しい、と思っている。
もちろん、身に着けて素敵で楽しい気分になることは、当然の話で。
なので、この刻印のご注文をいただいた時は、しびれた。
この言葉が刻まれることで、本当にお守りのようなジュエリーになる気がした。
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その上、このカトラリーは1890年代につくられたもので、まさにサン=テグジュペリが生きていた時代に使われていたと思われる銀食器なのだ。
それもあって、この言葉をオーダーされたのかな?
そうであったとしても、なくても、とっても素敵なことだ、と、また心が震えた。
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2016年にパリの蚤の市でみつけたカトラリーで、
当時、私は銀食器の美しい彫刻に夢中で、クリニャンクール蚤の市の銀食器屋をくまなくパトロールして、最も美しいと感じた4本を連れ帰ったのだった。
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パリから東京にきたフォークは、甲府でバングルに変身して、
生まれ育ったフランスの素敵な言葉を刻まれて、今は日本のどこかにいる。
そしてまた、その旅はつづいていくんだと思う。
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フォークの模様部分のみをカットして曲げただけのバングルで、私がデザインした要素は全くないジュエリーだけど、
少し遠のいていた、大切に思っていたジュエリーの本質を思い起こさせてくれた。
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そのお客様には、今も感謝しかない。
想像以上に、人として素敵な方だと感じ、それがプレッシャーとなり励みにもなった。
刻印の依頼内容だけでなく、いただく短いメールの端々に、魅力的で温かい人柄と知性をうかがい知ることができた。
実は、ご注文を頂く前から、偶然にもお客様のSNSをフォローしていて、勝手に癒されていたことを後から知って驚いた。
お会いしてもいないのに不思議だ。
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続けていれば良いこともあるものだ、とこのご縁に救われた気分だった。
当時、オンラインサイトは止めた方が良いのかも、自分ダメだな、と後ろ向きなことばかり考えていた。
まだまだ、趣味の域を脱しない、オンラインサイトではありますが、
このことを心の糧として、今なお続けている次第です。
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そして、今ふつうにある日常が当たり前でないことを感じている、この一週間です。