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晴れた日に傘を貸し、雨の日に取り上げる

京大卒元メガバンカーの総一郎です。

今日はまたまた銀行員らしいお話をしたいと思う。

みなさんは『半沢直樹』というドラマをご覧になったことが有るだろうか。

『やられたらやり返す、倍返しだ!』

という堺雅人演じる主人公:半沢直樹のセリフが流行語大賞を受賞するほど大バズりした。
2013年に絶大な人気を誇り一世を風靡したドラマだ。

ドラマの撮影は三井住友銀行・三井住友信託銀行の日本橋支店を使ったとか使わなかったとか。
原作の池井戸潤氏は元三菱銀行ご出身らしい。

ちなみに僕はシーズン1の一部だけしか見ていないが、小説はいくつか読んだ。

ドラマでも小説でも大袈裟に描かれていると言われるが、実のところ結構リアルに描かれていると感じる部分の方が多い。

全部は、というよりむしろほとんど見ていないのだが、ざっくりとしたストーリーは腐った銀行の上層部という悪役を、半沢直樹がコテンパンにするというものだ。

たぶん。
#雑すぎ
#間違ってたら教えてほしい

作中でも有ったと思うが、銀行を悪役として描くときに

『晴れた日に傘を貸し、雨の日に取り上げる』

という表現が使われる。

前フリが長くなったが、今日はこれが実は「優しさ」かもしれないというお話をしたいと思う。


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▼晴れた日に傘を貸し、雨の日に取り上げる
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以前【銀行員だからできるカフェ経営にまつわるお金の話】という記事を書いた。
https://note.com/soichiro_k/n/n12ab50dc827a

そこで詳しく触れたが、企業が銀行からお金を借りるのは何故か?というと、当たり前だが「お金が足りないから」だ。

事業を始めたり、事業を回したりするには「大きなお金」がいる。
ただ、「大きなお金」を貯金してから事業を始めていたら日が暮れてしまう。
あっという間にビジネスチャンスを逃してしまう。
だから、今はお金が無いから、銀行から借りて、利子を補って余りある稼ぎを作って銀行に返すのだ。

逆に言えば、銀行は「利子を補って余りある稼ぎを作れる」と判断して初めてお金を貸す。
つまり、銀行がお金を貸さないということは「利子を補って余りある稼ぎは作れない」と判断しているということだ。

”晴れた日に傘を貸し”、つまり「利子を補って余りある稼ぎを作れる」と判断して金を貸し、

"雨の日に取り上げる"、つまり「利子を補って余りある稼ぎは作れない」と判断し、金を貸すのを辞めるのだ。


『晴れた日に傘を貸し、雨の日に取り上げる』


まるで銀行が喰いっぱぐれないように金を無理やり巻き上げて、借金をした人の人生をぶち壊すかのように使われる表現だが、要は「もう潮時ですよ」と告げる厳しくも "優しい" サインなのだ。

「融資をしたところで絶対にコケて多額の借金を背負うだけですよ」
「これ以上融資を続けたところで傷口を広げるだけですよ」
「これ以上融資を続けたところで延命措置でしかないから、むしろ早めに事業を畳んで次のビジネスに向かった方が良いですよ」

というメッセージなのだ。

銀行だってボランティアではない。
利子を稼ぐビジネスをしている。

貸している企業が儲かってより多くの利子を返してくれた方が良いに決まっている。
いたずらに金を巻き上げたりして企業を倒産に追い込んだって、もらえるはずの利子が減って何も良いことは無いのだ。

もちろん自分の成績のために、そもそも「利子を補って余りある稼ぎは作れない」であろう企業に無理やり貸付けて、やっぱり立ち行かなくなって融資を切り上げるハゲタカのような銀行員もいるかもしれない。

ただ、そんなものはもう昭和の時代の話だ。
令和の現代ではわりと健全だ。
と思う。


物事を別の角度から眺めると、全く違う景色が見える。
世の中の常識や通説の実態は、実は全く想像の及ばないものなのかもしれない。


PS(追伸)   
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