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海外駐在を経験したからこそ銀行を退職した理由

京大卒元メガバンカーの総一郎です。


昨日、中国駐在時の先輩から「転職を考えている」と相談された話をした。
#昨日の記事はこちら
『○○な状態でしか見えない景色がある』

中国駐在という経験は僕の中で非常に価値あるものだったし、その環境を与えていただいた銀行にはとても感謝している。

ただ、思い返せば、退職を決める理由の一つにもなった。

今回は海外駐在を経験したからこそ銀行を退職したその理由をお伝えしたい。

#写真は中国で住んでいたタワマンについていた砂浜付きのプール
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▼海外駐在を経験したからこそ銀行を退職した理由
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銀行を含む日本の「大企業」と呼ばれる会社はとにかく福利厚生が良い。

海外駐在についてはそれが顕著(けんちょ)だ。

日本を離れて、日本よりも過酷な環境で働いてもらうのだから「我慢料」として手厚い福利厚生が与えられているのだろう。

事実、僕は社会人3年目にして転勤の引越代で100万近く、毎月も日本の月給にプラスして数十万、夫婦だったので月40万もするタワマンの50階に月5万で住み、中国語の語学学校に会社の金で通い倒した。

シンプルに手取りの年収が倍くらいになったうえ、福利厚生などを考えたら3倍ほどの価値を受け取っていたはずだ。

中国の主要都市は全くもって過酷な環境ではない。

むしろ日本よりもITが進化していて住み良い。

にも関わらず、名残りなのか何なのか、これだけ手厚い福利厚生が与えられていた。

「我慢料」の意味を成していない。

ただの「ラッキー」「勝ち組」なのだ。

とはいえデメリットももちろんある。

そういったニンジンをぶら下げられているためあまり文句は言えないのだが、労働環境は過酷だ。

日本の労働基準法に準拠していないため、「残業代」という概念が無い。

必要とあらば日付が変わるまで働く。

僕は研修生として行ったのである程度守られていたが、先輩や上司たちはなんなら家にシャワーだけ浴びに帰ってそのまま連日働いていたことも有る。

当然それだけ会社に入り浸っているので社外の交友関係は希薄だ。

日本の大企業の駐在員同士の交流等が有る程度で、現地人の友達などを作る人は稀だ。

拘束時間が長すぎて物理的に難しい。

等など、挙げていけばキリが無いほど他にも多くのデメリットが有るのだが、長くなりそうなので今回はここまでにする。

本題の「海外駐在を経験したからこそ銀行を退職した理由」に移りたい。

上記の通りデメリットも多いのだが、福利厚生やら経験値やら、どれをとっても基本的にはトータルプラスと感じる人も多い。

だからこそそのニンジンにしがみつく人も当然多い。

僕もしがみつきたいと思った。

しがみついて「人生勝ち組」になりたいと思った。

が、結局は2年弱の駐在を終えて日本に帰ってきた。

そうすると給料や福利厚生は中国とは比にならないくらい寂しいものになる。

中国語を身につけ、海外経験や専門的な分野での知識も少しばかり身につけたのに、給料は半減。

「自分は何のためにスキルアップをしたのだろうか?」

「スキルアップをするより、海外にしがみついた方が給料が上がるじゃないか」

ということに気づいてしまった。

思い返せば、そのことに気づいて現地にしがみついていた大人たちは中国にもたくさんいた。

スキルアップよりしがみつく方が ”美味しい” と気づいている人は、当然スキルアップよりもしがみつく努力をする。

だから、(別にこれは国内でも起こることなのだが)「この人はこのパフォーマンスなのになんでこんなに給料をもらっているんだろう?」という人がたくさんいた。

国内とは金額の桁が違うのでよりその違和感を大きく感じるのだ。

そんな「無能なのにニンジンにしがみついている大人たち」を見て、憧れという感情を全く抱けなかった。

逆に、「こうはなりたくないな」「こうなってはいけない」と思った。

もし同じレベルの暮らしを手に入れたければ、2・3年後の次の異動でもう一度海外を希望するか、転職や副業をするしかない。

そう考え動き出し、今に至る。

ここは話すと長くなるのでまた今度にするが、

「ぬるま湯」と認識してそこに浸かり続けるのか、気づかずに浸かって抜け出せなくなってしまうかは大きく違う。

僕はもう少しで後者になりかけた。

駐在期間がもう少し長かったら後者になっていただろう。

別にどちらが正解とかは無い。

何を優先するか?は人それぞれで、後者の方が幸せと感じる人もいる。

いずれにしても自分の意志で主体的に選び取りたいものだ。


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