ノルマンディー2019年産3次募集馬レビュー(牝馬)
先日公開した牡馬のレビュー、たくさんの閲覧と感想有難うございました!
おかげでツイッターのフォロワーが10人増え、公式バッジが付くまで一歩前進しました(してない)
そして、無料で公開しているにも関わらず何故か課金をして下さった数名の皆様には厚く御礼申し上げます。すごくモチベーションあがります。
そんなこんなで牝馬も書いてまいります。
イッツマインの19 牝馬 920万円 昆厩舎
今回募集となった3次募集9頭の中で唯一の岡田スタッド生産となった本馬。それなりの頭数が揃った追加募集で、岡田スタッド産の募集が1頭のみとなったことに関しては少々驚いた。活況な市場でかなりの頭数が捌けているのだろうか。ますますバイヤー系クラブの色が濃くなっていっているように感じる。
さて、マツリダゴッホといえばご存知岡田スタッド生産馬で、グループとしても生産頭数も多い。サンデーサイレンス直仔としては、飛びぬけた競争成績・産駒実績ではなかったが、それでも安価な種付け料からするとコスパの良いファンド向き種牡馬だったと言える。
ノルマンディーオーナーズクラブとしても、2011年~2018年産駒トータルで32頭が募集され、勝ち上がり率は41%、手当込賞金で1億を超えた募集馬が5頭出ており非常に優秀な数字を出している。
なお、全体に目を通すとノルマンディーオーナーズクラブで過去に募集された頭数は312頭。そのうち手当込賞金が1億を超えた馬は全体で12頭だ。そう考えると32頭で5頭を輩出していることの優秀さがより際立つだろう。
参考までに、高級ブランド「ノーザンディープ」のクラブ馬におけるコミ1達成率も出してみたが、こちらも21.4%と高い数値になった。
こちらは1億をはるかに突き抜ける産駒が多く出るため、1億というラインを設定して比較するのは誤りのようにも思えるが、ゴッホ産駒より5倍以上の平均募集価格を誇るディープインパクト産駒と比べるとゴッホ産駒がいかにコスパが良いかお分かりいただけるはずだ。
ハイリスクハイリターンのディープとローリスクミドルリターンのゴッホと言えるのではないだろうか。
しかし、大抵の種牡馬と同じく、ゴッホ産駒も牝馬となると数字が落ちる。
過去に募集されたゴッホ牝馬のうちコミ1達成馬はアリンナ1頭のみで、その他産駒は現状5000万円あたりが天井となっている。
また勝ち上がり率も、ノルマンゴッホ牝馬平均33%に対してノルマン牝馬全体平均37%とコスパに優れているとは言えない。
つまり、よほど馬が良いと思わない限りはゴッホ牝馬に手を出すのは危険なのだ。
さて、本馬はどうか
少々気になるのが、本馬が現在オカダスタッドに在厩しているということだ。例年ノルマンディー募集馬見学ツアーの会場となっているオカダスタッドは景色も良くとても好きな牧場だ。
しかし、育成場としての使い方にはかなり疑念を抱いている。
デアリングタクトを擁する現4歳世代は近年のノルマンディーおいて比較的当たり年と言えるが、全体の勝ち上がり率34.1%(やっぱり当たり年じゃないや低いわ)に対して【2歳春段階でオカダスタッドにて育成を進めていた馬】は18頭おり、勝ち上がりはバンクオブクラウズ・スペロデアのみとなっている。数字にすれば勝ち上がり率11%だ。
バンクオブクラウズとスペロデアが出ているのであれば良いのでは?と思われるかもしれないが、バンクオブクラウズはその後ノルマンディーファームにて3か月、NSRで2か月乗り込みをしたのちに初入厩している。またスペロデアもオカダスタッドを出てから初入厩までに小野町、吉澤Sで計5か月の乗り込みを必要としている。
つまり、オカダスタッド退厩時の仕上がりがあまりにも心もとないのだ。
まだ結果が確定していないためここでは言及しないが、現3歳もオカスタ育成馬の成績はあまり芳しくない。(一応アステルカーラとアイルビーザワンが勝ってはいるものの、前者は2度の骨折、後者は地方交流勝ちとスッキリしない)
ひとつ言わせていただくと、オカダスタッドが悪だと言っているわけではない。数年前までであれば、このような極端な数字になっていなかったように思うしオカダスタッド、ノルマンディーファーム、小野町がそれぞれの役割をこなしてある程度の成績を挙げていた。
オカダスタッド⇒前期育成
ノルマンディーファーム⇒中期育成
小野町⇒後期育成
とてつもなくザックリ言うとこのようなイメージである程度分業化されていたものが、現在のイメージでは
オカダスタッド⇒前期・中期育成
ノルマンディーファーム⇒前期・中期育成
小野町⇒中期・後期育成
のように、牧場ごとに複数のタスクを処理するような状況になっているように思えるのだ。
恐らく、個々の牧場のキャパはもう限界なのだろう。育成に時間がかかり、仕上がりも甘くなる。甘くても次に送り出さないと自分たちがパンクしてしまう。そういう状況だ。
それもこれもクラブの人気が上がり、どんどん募集頭数を増やした結果だと考えている。会員増と募集馬増が育成全体のバランスを崩壊させつつあるように思えてならない。募集頭数を増やすため、馬房を増やした。負荷をより高めるため坂路を延長した。それは良い。ただ、乗り手は増やしているのだろうか。乗り手の質は向上しているのだろうか。1人当たりの担当頭数を増やしているだけではなかろうか?ここ近年のマネジメントに少々疑念が残る。
募集馬レビューで書くことではないが、ノルマンディー会員は会費1100円を3300円にしてでもリソース増強を訴えていくべきだと思うが、まあこういった意見は多くの方には受け入れられないだろう。
話がズレたが、本馬について見てみよう。
まず目立つのが極端な曲飛だ。私はこの飛節を見た時に、現4歳のチェアリングソングの馬体を思い出した。今までノルマンディーで募集されたマツリダゴッホ産駒で、ここまでハッキリとした曲飛の馬はチェアリングソングくらいだろう。
(チェアリングソング募集時)
曲飛だというだけでとても似ているように見えるが、馬体の完成度を見るとこの2画像にはそこまで大きな差が無いように見える。しかし、チェアリングソングは1歳秋、本馬は2歳初夏の画像なのだから本来本馬の方が圧倒的に見栄えしなければならない。
小柄な牝馬だけに、仕上がりが遅いという事はないだろうが、調教ペースがあまり上がってきていないことが馬体の完成度からも見て取れる。足元もまだ水っぽく、ここから順調に育成が進んでも、能力を発揮できるのは早くても2歳冬になりそうだ。
歩かせてみると、トモの緩さが目に付く。ピッチは速く、競馬に行って加速力はありそうだが中身が完成するまでは時間がかかりそうで、一刻も早くノルマンディーファームに移動してほしいと思わせる。オカダスタッドの坂路では負荷が足りないだろう。
厩舎は昆厩舎
追加募集の安価な馬で昆厩舎とは驚いたが、同じようなシチュエーションでアレスが出ていることから変に勘ぐる必要はないだろう。
もちろん、非ノーザン系厩舎としては最上級の存在であることは事実だが、昨今ノルマンディーは昆厩舎からの転厩が多い。クセが強い人だからこそ、ノーザンに頼らずとも活躍馬を出せてきたのだが、そういう意味では明確なコンセプトを持つノルマンディーと相性が良いということは無いだろう。
よっぽど結果を出せないかぎり、すぐすぐに転厩になることは無いだろうがこの厩舎で長く活躍して引退するイメージも無い。
エターナルサーガの19 牝馬 加藤和宏厩舎 760万円
先程のイッツマインで散々春先までオカダスタッドにいる馬ってどうなのよと言ってしまったのだが、こちらも春オカスタ馬である。
昨年の八戸市場で165万円で購入され、今回3次募集最安値の760万円でラインナップされている。
昨年セリで落札されたときの印象としては、「バトルプラン産駒らしく均整のとれた馬体」「このまま大きくなって、筋肉量豊富な馬になってくれれば」というものを持っていた。(その後、3次募集が始まるまでこの馬の存在は忘れていた)
さて、ノルマンディーでバトルプラン産駒といえば、3歳のエストラテーガだが現状緩く、身体がしっかりしてこず、まったくと言っていいほど結果が出ていない。私は出資者なので当然この馬のポテンシャルを信じているし、まったく諦めていないがこの馬もオカダスタッド育成馬だったという事は触れておこう。
バトルプランの父エンパイアメーカーはかつて日本で繋養されていたが、フィリーサイアーの印象が非常に強い。
実際に調べてみると、エンパイアメーカー産駒はAEIこそ牡馬に負けているものの勝ち上がり率は牝馬の方が高く、フィリーサイアーの印象もあながち間違っていない。
しかし、その仔であるバトルプラン産駒にはこの印象はまったくあてはまらない。バトルプラン産駒の牝馬勝ち上がり率は僅か16.7%、AEIは0.43とかなり低い数値に留まっているのだ。これは、よほど馬に自信が無ければ買えないのではないだろうか。
公式で紹介されている測尺を見てみると、体高が160㎝で牝馬としては十分なサイズに見える。しかし馬体重は446㎏と比較的軽めだ。438㎏のイッツマインが同じくオカダスタッドに在厩していることを考えると、馬体の成長具合を見た上で、成長を阻害しないように負荷の小さなオカダスタッドで乗り込んでいるのだろうが、オカダスタッドの18秒ペースでこの程度の馬体重に留まっているのであれば静内(ノルマンディーファーム)や小野町に移動した後、一度ガタッとくることは想像に難くない。そして、そのリカバリーと調教負荷に慣れるまでの時間がまたかかることまで想定して出資をしなければならないのだ。
今回の募集画像を見てみよう。全体の均整はとれており、また皮膚の薄さは素晴らしい。
ただ、馬体重からイメージしていた通り、馬体は薄く明らかに筋肉量も脂肪も少ない。この負荷でこの見た目であれば、馬体重の維持に苦労するタイプになるのではないかと考えるのは自然なことだろう。
バトルプラン産駒ならばダートでの活躍をイメージするのが自然だ。いやいや、ブレスジャーニーやライオンボスなどの芝で走る馬も出ているじゃないかと思われるかもしれない。しかし、前者はダイナカール一族で後者はダート馬でも対応可能な新潟千直巧者だ。
実際に、ブレスジャーニーとライオンボスを除くとバトルプラン産駒はこの8年で芝レースを4勝しかしていない。牝馬に限ると、昨年中山芝1200Mの1勝クラスを勝ったドクターデューン以外芝で勝ち星を挙げたことがないのだ。
動かしてみると、可動域が狭く動きに伸びやかさが無い。そうなると、芝よりもダート寄りだなと感じてしまうが、ダート馬としての筋肉は現状身についていない。公式のカタログコメントが芝ダートどっちつかずになってしまうのも無理はない。
厩舎は加藤和宏厩舎だ。近年の成績を見てもお世辞にも良い厩舎とは言えず、またノルマンディーとの相性も良くない。
クラブとして、この馬をどう評価しているのかが透けて見える厩舎選択になっている。
テーオーティアラの19 牝馬 蛯名利弘厩舎 1080万円
先日行われたJRAコンソレーションセールにて購入された1頭。
JRAブリーズアップセールを何らかの理由で欠場した馬を売り切るためのセールだったが、上場された6頭のうち岡田スタッド関連が2頭落札したのは驚いた(岡田牧雄名義で落札されたハルノヒダマリ19は今回ラインナップされず)
さて、本馬がブリーズアップセールを欠場した理由が「鼻出血」である。
鼻出血には外傷性と内因性のものがあるが、内因性のものは習慣化することがあり良くないとされている。今回、テーオーティアラの鼻出血がどちらのものだったかについては言及されていないが、近況コメントでも「再発していない」という言葉を使っている以上、ほぼ間違いなく内因性のものだったのだろう。
“軽度”の内因性鼻出血が果たして予後にどの程度の影響を与えるかは定かではないが、潜在的なリスクとしては承知しておかないといけないように思う。手術をすれば一時的にでも良くなる可能性のある喉なりとは違い、鼻出血は再発すれば出走制限や、最悪の場合引退も余儀なくされるからだ。
本馬の父、アイルハヴアナザーはノルマンディーでも多くの活躍馬を輩出しており、ダート中距離で堅実に稼ぐ一口出資においては非常に信頼のおける種牡馬だった。そういう意味で、母国に帰ってしまったことが残念でならない。
そんな父の日本でのラストクロップとなるのが本馬だが、 アイルハヴアナザー産駒の牝馬成績はどうだろうか。
アイハヴアナザー産駒の牡馬の勝ち上がり率が34%なのに対し牝馬の勝ち上がり率が28.7%と、勝ち上がり率に関しては申し分ない。
しかしAEIでは大きな差がみられる。牡馬のAEIが1.02なのに対して牝馬は0.43と半分以下の数字となっている。
先程紹介したバトルプラン産駒の牝馬AEIも同じく0.43なのは偶然だと思うが、やはりダートを主戦場とする種牡馬において牝馬は圧倒的不利なのだ。
牝馬も活躍する競争馬とはいえ、純然たるパワーには性差がある。ダートの上級条件に行けばいくほどその性差は大きくなるが、日本のダート戦線は牝馬に優しい設計になっていない。牝馬限定戦が多く設定されているのは2勝クラスまでになり、3勝クラスを突破できる牝馬はそう多くない。
ダート牝馬で多くの賞金を得ようとするのであれば、①3勝クラスやその先の牝馬限定地方交流重賞で勝ち負けできる能力を持つか、②2勝クラスの牝馬限定戦で毎走のように掲示板に入る(そして絶妙に勝たないさじ加減)という非常に高いハードルを越えなければならないのだ。ましてやこれがダート短距離に出たら最悪である。牝馬限定の短距離地方交流重賞などほぼ存在しないので、魑魅魍魎が集う牡馬との混合戦で結果を出さなければならないのだ。
では本馬の馬体を見てみよう
すらっとした手脚に薄い皮膚、やや薄めのトモと恐らく画像だけで本馬をアイルハヴアナザー産駒だと見抜ける人はそう居ないだろう。
アイルハヴアナザーの文字列とは少しイメージの違う、芝馬のような体をしている。
キビキビとした歩様で、前肢の可動域はそう広くないものの背中もある程度使えており体の使い方としては悪くない。ある程度クッションの効いた繋ぎからは、芝でもと少し思わせてくる。
とはいえ、筋肉量は不足しており、ダートで上級条件まで行こうと考えるのであれば更なる強化が必要になってくる。
前述したバトルプランと比べると実はアイルハヴアナザー産駒の方が芝での実績がある。
バトルプラン産駒の芝勝率は2.9%なのに対してアイルハヴアナザー産駒は4.2%ある。さらに、芝で実績を出すアイルハヴアナザー産駒は中距離で活躍することが多く、極端な瞬発力が求められるコース・馬場では分が悪いが、粘りのある末脚を武器にする産駒もしばしば出てくる。
本馬も、そうなると非常に面白いのではないかと思う。
厩舎は蛯名利弘厩舎で、クラブ馬を預かることはそう多くなかったが、最近のノルマンディーでは昆厩舎から転厩してきたアレスやブラックジェイドを預かるなど、少しずつ関係性が出来てきている。
しかしながら長く成績は低迷しており、過度な期待はできない厩舎のように思う。
ハロックラインの19 牝馬 茶木太樹厩舎 1200万円
母ハロックラインは名牝ホワイトウォーターアフェアの孫にあたり、その母にハービンジャーという血統背景から本馬を注視されている方も非常に多いように思う。
しかし、父ハービンジャー産駒と岡田スタッドの相性が良くない。岡田スタッド生産のハービンジャー産駒は過去6頭デビューし、中央での勝ちは僅か1勝のみとなっている。その中にはクラブ馬だったウィルビーハッピーも含まれており、出資者の方であれば「緩いままでなかなかカチッとしてこない」とヤキモキしたことを思い出すはずだ。
なぜ、岡田スタッドがハービンジャー産駒の育成を不得手としているかは正直掴みきれないが、岡田スタッドが逆にマツリダゴッホ産駒やアイルハヴアナザー産駒の育成を得意としているように、牧場によって種牡馬ごとの得手不得手はあるものだと思っている。
プラスのデータもある。ノルマンディーにおいて母父キングカメハメハは非常によく走るのだ。
(太字は現役馬)
半数以上が勝ち上がり、更に上級条件で活躍する馬も多く出ている。単純に母父キングカメハメハが優秀だという事もあるとは思うが、牡馬レビューでも示したように、父としては苦手としているキングカメハメハが母父となるとこうも頼もしくなるのだから、馬は本当に面白い。
では馬を見ていこう
こちらが昨秋にオータムセールで購入した時の本馬だ。
ボリュームは足りないが、品があり前後のバランスも良く成長を楽しみに待ちたい気持ちが湧いてくる。個人的には好みの馬体だ。
しかし
こちらが募集画像である。
あれ?変わって無くない?ととてもがっかりした。背丈は多少伸びたように思えるが、半年以上たっても肉付きはさほど変わらず、大きな成長が見られないのだ。
もちろんハービンジャー産駒で、芝での活躍を期待しているのだから、ダート馬のようなムキムキの馬体が欲しいわけではない。ただ、芝にしても幼すぎるのだ。
動きをみると、馬体の未完成さが良くわかる。トモに力が無く、非力感の伝わる歩様だ。ハービンジャー産駒にしては繋ぎが緩すぎず適度なクッションをしている点は良いが、これではいつ完成するのか先が思いやられる。
(調教動画で本馬と併せているクラリティスケールの身体を使えないチョコチョコとした走法を見てちょっとゾッとしてのはここだけの話だ。自分の出資馬があのフォームで走っていたとしたらもっとショックを受けただろう)
厩舎は茶木厩舎。開業したてで、まだどのような厩舎かイメージが掴めないが、所属馬は適度に馬券に絡んでおり、今後の活躍が期待できる。
ちゃきたいき厩舎ということなので、大樹レーシングが預託し太樹厩舎のタイキ○○が出走するとなると何となく面白そうなのでいつか実現してもらいたい。
Wine Trainの19 牝馬 杉山晴紀厩舎 2,480万円
なんだかんだで毎年のようにやってくる○外。マリアズハートがOPクラスで健闘しているため、何となくノルマンディーの○外が走っているというイメージを持っている方もいるかもしれないが、わりと苦しい結果となっている。
総募集頭数13頭のうち、勝ち上がりが5頭、その中で複数勝利を挙げたのが、マリアズハート、ブランメジェール、ウォリアーズソウルの3頭のみとなっている。
高価な外国産馬という事もあり、ファンドとしてトントン~プラスラインに乗っているのはマリアズハートのみとなっているだろう。
また、一口を長く続けている方であれば承知の事実だが、○外は内国産と比べて出られるレースが少ない。混合戦しか出走することが出来ず、特に牝馬の場合牝馬限定戦を使うことが出来ない。この牝馬限定戦を使えないという事は、特に勝ち上がりを目指すうえで内国産牝馬と比べ大きなハンデとなる。
(マリアズハート募集時)
ノルマンディー○外で唯一ファンドとして成功しているマリアズハートは、こういった苦難にも負けずOPクラスで活躍しているのだから本当に素晴らしい馬だ。
マリアズハートは募集時、暴力的なまでのトモのボリュームやセリ動画のインパクトで多くの方が出資を検討されたと思うが、やはり出走制限の大きい○外牝馬という事で見送った方も多くいたように思う。長い目で見ればその判断の方が良いと思えるほど不利なのだ。
コントレイルの母ロードクロサイトと血統背景が似ているため、将来の繁殖として期待して出資するという方もいらっしゃるだろう。
しかし、ノルマンディーにおいては基本的に「繁殖狙い」という考え方は危険だ。ノルマンディーはクラブで馬を募集する際、「将来の繁殖用」として馬を仕入れてくることは基本的にないように思う。その馬自身が会員に楽しんでもらえるか、結果を出せるかという目線で馬を仕入れている。
しばしば一口クラブ(特に牧場系)では、結果として明らかに繁殖目的の牝馬を募集し、会員に代金を負担させておいて引退後牧場の繁殖とするようなことがまかり通っているが、いい意味でノルマンディーにはその視点は見えない。
良い意味でも悪い意味でも血統背景ではなく、その馬自身が一定の競争成績を挙げなければ容赦なくオークションで売るのがノルマンディーなのだ。
実際に、過去ノルマンディーにおいて競争実績が無いものの岡田スタッドにて母になったのは私の知る限り2頭だけで、シーデイライト(未勝利)とクイーンズトゥルー(中央未勝利)だけである。
シーデイライトは兄弟にサンライズマックスとビッグロマンスという2頭の重賞馬を持つ馬であったし、クイーンズトゥルーは言わずもがな、逆に繁殖になっていなかったら暴動が起きたであろう馬である。
2頭とも兄弟が重賞馬と、それくらいダイレクトに良血でないと当馬の活躍なしに繁殖入りは難しい。なので、本馬を繁殖目的で出資するというのであれば、少なくとも2勝は出来る能力があると確信しないとダメなのだ。
本馬を見てみよう
マリアズハートとは明らかに毛色(毛の色じゃないよ)の違う募集馬である。ムチムチだったマリアズハートよりも筋肉量は少なく、一方で質の良い筋肉をラップのように薄い皮膚がピチッと覆っているようなイメージだろうか。
パワーというよりも、スピードと瞬発力を身上としていそうなタイプに思える。
背中の使い方が上手なので、身体の収縮をつかったバネのある走りが出来そうだ。
しかし、本馬は極端な前傾姿勢が気になる。前傾姿勢であることで、例えば坂路などでは好時計を出せるだろうが、恐らくフラットコースや競馬場となるとあまり長い距離を走ることが出来ない。皆さんも自分が走ると思って想像してみて欲しいが、前傾姿勢ではダッシュは効いてもそのままの姿勢で長い距離は走れないのではないだろうか。マイルまでもてば万々歳である。
厩舎は杉山厩舎。なんといってもデアリングタクトの厩舎であるが、この時期の追加募集でよく空き枠があったなと感心する。
ノルマンディーは数をガンガン使う方針だが、一方で杉山厩舎も今やそれなりに発言力のある厩舎であるため、本馬はさほどガンガン使われないのではないかと思う。
前肢に負荷のかかる体型をしている本馬なだけに、その方針で結果を出せれば最高だが…
なお本馬は検疫中で、小野町引き渡し後も3か月は小野町から動かせない為、栗東近郊に移動できるのは早くても秋になることは申し添えておこう。
以上で3次募集レビューを終了とさせていただきます。
文量だけの駄文にお付き合いいただき本当にありがとうございました!
よろしければまた感想など教えていただければモチベーションに繋がります。
牡馬、牝馬通してみてみましたが
現状牡馬からはキモンクイーン、牝馬からはワイントレインを候補に入れています。
キモンクイーンの柔らかいムチムチの筋肉、ワイントレインの繊細な筋肉に惚れました。
とはいえ、両馬ともにウィークポイントが明確なためギリギリまで検討しようと思います。
ご購入いただき、本当に本当にありがとうございます。
500円で美味しいお魚を買って捌いて食べます!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?