AI×アニメの現在と未来
はじめに
こんにちは!はじめまして!株式会社G-VIS代表の中山です。
弊社は画像生成AI技術を活用した漫画、アニメなどのコンテンツ開発に日々取り組んでいます。
一緒におもろいコンテンツ作りたい方、クリエイターの方、生成AIに興味ある方!ぜひお気軽にお声がけください!
X:@sohya_3
前回の「AI×WEBTOONの現在と未来」というnoteが好評で嬉しかったので、今回はアニメについてもまとめて見ました。
もし間違えてる部分や追記した方がいい内容があれば教えてください!
目次はこんな感じです。
ではどうぞ!
1. アニメの制作工程
アニメの制作工程はざっくり上のような感じです。
図を拝借してきました。「動画」というのが中割りで、「仕上げ」が着彩工程です。
こうした工程の中で、約 200人 もの人が関わりアニメが作られていきます。
制作コスト
とてもわかりやすかったのでこちらを参考にさせていただきました。
コスト部分をざっくりまとめると、
1話あたり1300万円〜3000万円
1クール12話あたり制作費だけで1.5億〜3.6億円
ここに、放送・宣伝費に4000万円使えば、
1クールで最低でも2億必要だということがわかります。
ただし、最近だと制作費の高騰もあり、1話あたり2000万円以上かかることも多いため、宣伝費合わせて大体1クールで3億円かかります。
1分あたり 100万円 以上かかると言っても過言ではないです。
テレビで無料で見られるのがすごすぎますね。感謝。
制作期間
1話あたり大体1ヶ月かかると言われています。実際には並行して違う話も進めたりするため、制作期間自体は半年〜1年くらいですかね。
アニメ化作品の順番待ちなどを含めると制作決定から放送まで 2年待ち ということも少なくないです。
2. 商業アニメへのAI活用の現状
背景画像生成
https://about.netflix.com/ja/news/the-dog-and-the-boy
背景画像に全編通して生成AIを活用した有名な事例です。
少し前の事例なので、現在はもっといろいろな活用事例がありそうです。
例えば、実写画像を元にアニメ調に変換したり、ラフを元に生成する場合、テキストからの生成などが考えられます。
実写→アニメ調変換例
ラフ→アニメ調変換例
中割り生成(動画工程)
キーフレームの中間を生成AIによって補完する工程。
RIFE VFIやToonCrafterによる動画中割りの生成があります。
RIFE VFI
↓以前弊社がRIFE VFIを使って中割り生成した例
多少のちらつきなどが発生する可能性はあるが、中割りを増やしたりすることで破綻のない動画にすることができます。
当たり前ですが、キーフレームが多ければ多いほど破綻は少なくなりますし、間が空いたり変化量が大きくなると破綻が出てきやすくなります。
Or2さんのAI中割りの例などがわかりやすいです。
(なぜか表示できないのですが、すごくいいので見てみてください↓)
https://x.com/Or243532406/status/1816805671586898237
ToonCrafter
Or2さんのものをToonCrafterを使って中割り生成したのが以下の事例です。
かなり生成精度が良いのがわかりますね。RIFE VFIよりこちらの方が良さそうです。
着色(仕上げ工程)
着色に関しては、生成AIに限らずさまざまな取り組みがなされています。
以下の例ではコードも公開されており、おそらく技術活用が一番進んでいる工程です。
人の目によるチェックや修正が必要とはいえ、かなり工程が楽になるのではないでしょうか。
22秒以降がわかりやすいです。
3. 個人制作アニメへのAI活用
一昔前だと、StableDiffusionのMotionLoraとか、安定性、汎用性の面から実写変換などが流行っていましたが、最近の動画生成AIの精度向上が著しく、生成も容易なため、最近はサービス利用がメインかと思います。
ちなみに、商業アニメと個人アニメに一応分けてはいますが特別深い意味はないです。ざっくりそれぞれに向いてる技術だと思ってわけました。
MotionLora
Stable DiffusionのMotion Loraを紹介しておきます。
キャラの一貫性を高く保つことができる手法。大きい動きや長いシーンの生成には向かないです。
生成リソースをかなり消費するためハイスペックなPC環境が必要。
実写AIアニメ変換
実写動画を介することで、安定性を担保したものになります。TikTokとかでもよく目にしますね。
以下のはStableDiffusionを使用しています。
実写変換サービスとしてはDomo AIというのが一番有名で、多くの方が目にしたのではないでしょうか。
個人的には生成過程で色々いじって調整できるStableDiffusionの変換の方が好みでした。
動画生成AI:Luma Dream Machine
動きや精度を含めてガチャ要素はありますが、いいのが引けるとパッと見じゃAIだとわからないレベルに来ています。
開始フレームと終了フレームの指定ができて、中割り生成に使うこともできる。
生成された動画の精度はかなり良い。
LOOP機能も実装されたため、わりとなんでもできる。
今一番アツい動画生成AIですね。
TDSさんがたくさん検証していてとてもわかりやすかったのでいくつか紹介します。
背景の動画にも使えそう
表情遷移もだいぶ綺麗
こちらもめちゃくちゃすごい。
4. AIの抱える課題
著作権等の問題
「類似性」と「依拠性」がキーワードです。
生成された画像に対してどれだけ人間の創作性が加えられているのかなどが重要で、生成AIを活用したからといって全てが違法とはなりません。
適切に活用していけばクリエイティブにおいて非常に強力なツールとなるでしょう。
詳細な部分は政府が発表している資料等について確認してください。
まとめ部分だけ引用しておきます。
令和5年6月 文化庁著作権課「A I と著作権」https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/pdf/93903601_01.pdf
経済産業省「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/ai_guidebook_set.pdf
Animechain.ai
アニメ制作会社などから許可を得て学習した画像生成モデルを開発し、ブロックチェーン技術と掛け合わせることで、素材を提供してくれた会社やクリエイターに還元できる仕組みを整えるプロジェクトです。
学習素材がたびたび問題視される画像生成AIですが、その問題を解決する素晴らしいプロジェクトだと思います。
5. AI×アニメの未来
気軽に簡単なアニメを作れるようになってきて、個人や少人数での制作の高頻度化が起こるだろうと思います。
そうした中で、短い動画でも受け入れられやすい、スマホに最適化された縦型ショートアニメーションがより一層当たり前になっていくのではないかと考えています。
現時点でも日本では、おぱんちゅうさぎやあさみみちゃんなどのマスコットキャラをベースとしたアニメや、私立パラの丸高校などのギャグ系のアニメが多いですね。
ただ、こうした単話ごとのアニメだけでなく、webtoonや縦型ショートドラマのように、ストーリーのある連載形式のアニメが今後どんどんと増えていくと思います。
それこそ、webtoonを縦の構図のままアニメ化したものなどは、中国でもよくみられており、この流れは日本でも確実に来るでしょう。
最初の数話無料、途中から課金が必要という単話購入の課金形態で、今のwebtoonやショートドラマと変わらない課金形態です。
例えば、以下の画像のような感じです。下のリンクから見れます。
また、中国のDouyin(TikTok)でも、以下のように連載形式のコンテンツが見やすくなっています。
今後TikTokも連載コンテンツを見やすくなっていく可能性がないとはいえませんね。
以下のものはおそらくAI画像生成を使った作品。
モブキャラではあるが普通に受け入れられており、AIの漫画・アニメへの利用が広がっていくであろうことは想像に難くないでしょう。
なんとなくこれからのアニメの広がりを感じられたのではないでしょうか。
今後数年で、もしかしたらテレビアニメのような高いクオリティのショートアニメがどんどん見られる時代が来ると思うとワクワクしますね!
webtoonやこうした連載ショートコンテンツから特大IPが生まれるのかについて僕なりの考察はしたりしているのですが、まだまだ荒削りな部分もあるのでぜひ多くの方と議論したいです!
ぜひ上記以外の話題でもなんでも、誰でもお話しさせてください!
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最後まで読んでくださりありがとうございました!!