フリー配布サンプルボイス原稿・1
【ナレーション・朗読/絵本の読み聞かせ風】
タイトル『赤い鈴』
その昔、山間部にある小さな農村に、リィンと言う名の少年が住んでいました。
リィンは、とても素直で明るい少年でしたが、たったひとつだけ、他の人とは違うものを持っていました。
それは、この国の中でも、王族とごく一部の人間にしか現れないという、白い翼と、黒い翼。
この国では、背中に白い翼を持った人は、その国に天使を導くと言い伝えられ、大切にされていましたが、黒い翼を持つ人は、その国に悪魔を連れてくるとして恐れられ、国民のほとんどの人から嫌われていました。
しかし、この村で生まれたリィンの背中には、黒い翼が現れてしまったため、悪魔を恐れた村人たちは、昔からのしきたりに従って、まだ幼い子供のリィンを、村のみんなで殺してしまいました。
しかし、村人たちに殺されてしまった後、黒い翼を持っていたリィンの亡きがらが、その場に残ることはありませんでした。現れた翼が白くても、黒くても、その背中に翼を持つ人たちの運命は、変わらなかったのです。
代わりに、リィンがいつも肌身離さず持っていた、小さな赤い鈴のペンダントだけが残されました。
赤い鈴を見つけたリィンのお父さんとお母さんは、亡きがらの残らなかったリィンの代わりにその鈴を埋めて、リィンのお墓を立てました。
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