「現金はゴミ」と言われるのはなぜ?
2009年のリーマン・ショックを予見し、株価の暴落を回避したヘッジファンドの帝王 レイ・ダリオ氏(ブリッジウォーター アソシエイツ創設者)は、コロナ・ショックが起こる2020年1月から「現金はゴミ」と主張しています。
彼の主張は、一般的に○○ショック後に起こるデフレ(経済後退による物価収縮)が予想されるコロナ禍においても一貫している。
それは、新型コロナウィルスによる経済不安を受けて、各国中央銀行がこぞって量的緩和政策を行い(貨幣をどんどん増刷)、自国国債を買い入れて、市中への資金供給を増やしているからです。また、国債を中央銀行が買い入れることによって、市中金利は下がります。
①「貨幣がどんどん刷られて増える」ということは、今ある現金の価値は相対的に下がりますし、
②「金利が下がる(←コロナ禍においては実質”ゼロ”金利)」ということは、銀行に預金しているだけでは現金がほとんど増えない、
ということになります。
これはなにもドルだけの話ではなく、日本銀行や欧州中央銀行(ECB)も同じ政策をとっているため、
日本円やユーロにおいても同じことが言えます。
要するに、全世界で現金の価値は下がっていると言えます。
現金の価値が下がると、行き場を失ったカネは、歴史的にみて相対的に価値が増える(※)といわれる株式や債券、不動産、そして有限資産である金や銀(またはビットコイン)というコモデティーに流れることになります。
※株式投資の名著「株式投資の未来」では、1900~2003年の約100年における、株式・長期国債・短期国債の平均実質リターンを調査した結果があります。その結果は、年平均リターンが、株式が6.5%、長期国債が1.7%、短期国債が1.0% とされています。尚、金価格は100年間でほぼ変わらず。
「タンス預金を今すぐやめろ」と、レイ・ダリオはコロナ前もコロナ後も、一貫して警鐘を鳴らしていますが、今一度自身の資産ポートフォリオを見直してみるのが良いかもしれません。