生成AIの活用アイデアを展開しやすくするためのUXパターンを作るワークショップ
こんにちは、マネーフォワードエックスカンパニーでサービスデザイン・UXデザインをしているSoheiです!
生成AIの活用について絶賛勉強中ですが、生成AIはできることが多く、様々な活用方法があるからこそ、自分たちが企画側として価値あるものに落とし込むのって難しいですよね…。
そこで、生成AIを活用したサービスを企画しやすくするためにさっさーさんと一緒にUXパターンを作り始めました(UXパターンの定義については後述します)。
「ユーザー目線で生成AIを活用した検討方法が難しい」「事例をキャッチアップしたがどのような切り口でまとめたらよいか分からない」方の参考になれば幸いです!
UXパターンとは?
UXパターンとは、「多様なユーザーにとっての共通の価値のパターン」と定義しています。
どのような「状況」、どのような「課題」があり、どのような「価値」があるかを記述してパターン化することで、ユーザー目線での生成AI活用アイデアや仮説を出しやすくなると考えています。そのため、主にアイデアを展開するときに活用することを想定しています。
ワークショップの事前準備
①事例収集
自分たちのインプットのためにも生成AIを活用した事例をスプレッドシートに4名ほどで集めました。合計30個くらい集まりました。
②整理する切り口の検討
UX観点で活用しやすくするために、価値の抽象度と時間軸の2軸で整理し、時間軸は「利用前」「利用中」「利用後」「利用時間全体」の4区分、価値の抽象度は構造化シナリオを参考に「バリュー」「アクティビティ」「インタラクション」の3区分でマトリクスを定義しました。
ワークショップの流れ
ワークショップ当日は価値の抽象度 × 時間軸の2軸でUXパターンを整理することをゴールに、参加人数は7名(運営側含む)、時間は1時間、Miroを使って実施しました。
1.生成AI活用事例の確認
最初に、事前準備で集めた事例を参加者全員で確認します。
2.活用事例からユーザー目線で価値を抽出
次に、価値を抽出します。UXパターンとしてまとめるので「ユーザーの目線で記述すること」「多様なユーザーに共通する価値として記述すること」を意識して抽出してもらうことを促しました。
例えば、文章から漫画を生成できる事例から抽出したい価値は、漫画を作れる価値、ではなく、ユーザーがアウトプットできない形のアウトプットを作れる価値、の方が適しています。
価値を抽出するのは意外と時間がかかるので、似たようなカテゴリで担当を決めて進めました。
3.抽出した価値を共有
抽出した価値について参加者全員が共有します。
事例が多い中ワークショップ後半でグルーピングも控えているので、このタイミングで共有します。
4.抽出した価値を価値の抽象度と時間軸のマトリクスにマッピング
抽出した価値を、価値の抽象度と時間軸のマトリクスにマッピングします。
生成AIの生成する性質もあってか、時間軸は利用中が最も多く、利用後や利用期間全体はほぼないことが分かりました。
5.似ている価値のグルーピング
最後に、マトリクス内で共通している価値をグルーピングして完成です。
このとき、関係性がありそうなものは線で繋げました。
ワークショップの結果
参加者からは「AIってこんなにできるんだってインプットにもなってよかった」「AIの価値について考える時間とても楽しかった」「まだ価値が集まってないところに価値を作りたい」と学びになった、という感想をいただきました!
一方で、「それぞれの価値がどこのレイヤーにはまるのか考えるのが難しかった」という声もあり、整理する切り口を再検討しました。
ワークショップ後
UXパターンのまとめ方
ワークショップ後、UXパターンをまとめました。UXパターンはアイデアを展開するときに活用するものだからこそ、デザイナーだけでなく企画に関わる人全員で活用できることが理想だと考えているため、なるべくシンプルにすることが重要だと考えています。
そこで、ワークショップの結果から、価値の抽象度・時間軸ともに区切り方が分かりづらいこと、利用後・利用期間全体の生成AI活用事例は少なかったことを踏まえ、時間軸の区分を1つ減らし3区分に変更し、上位のバリューレイヤーを、時間軸を横断した「コアパターン」と定義しました。
先述したワークショップで出てきた価値を踏まえ、コアパターンを4分類し、計27個のUXパターンにまとめました。
UXパターンごとにスライドを作成し、事例とセットで分かるようにまとめています。随時新しい事例やパターンがあれば更新していきます。
UXパターンの活用イメージ
UXパターンの活用イメージについて、一例として、サービスの体験のステージと組み合わせてアイデア展開に活用する場面を想定しています。試しに「お客さまからの問い合わせ対応の業務効率化」をテーマにアイデアとユーザーシナリオを作成してみました。
例ではありますが、実用的なアイデアが展開できたのではないでしょうか。
また、UXパターンはテキストデータなのでChatGPTなどへのプロンプトにも取り入れることが可能です。パターンをすべて入れて網羅的に展開してもらうことも、プロジェクトやタスクの目的に合わせて意図的にパターンを選んでアイデアを展開してもらうこともできます。
まとめ
ここまで読んでいただきありがとうございます!
以上のように、マネーフォワードエックスカンパニーではデザイナー起点で生成AI活用を検討する活動にもチャレンジしています。
生成AIは新しい技術で変化が激しく、銀の弾丸のような手法はないかと思いますが、自分たちが普段やっている取り組みを応用して検討してみました。
今後はUXパターンを活用して、生成AIを活用した企画に役立てていきたいと考えています。
最後に、マネーフォワードエックスカンパニーやデザイン部についてより詳しく知りたい場合はカジュアル面談も可能なのでご覧ください。
マネーフォワードでは様々なポジションのデザイナーを募集しています。気になる方は「Money Forward Design」もご覧いただけると嬉しいです。