Web広告はどう変わっていくのか?デジタル広告を取り巻く市況を「過去」から「今」へ振り返る
時代の流れで変化してきたデジタル広告
1994年に最初のバナー広告が生まれた事により、画像をリンクで広告主のWEBサイトへ誘導するものが生まれてから市場に大きな変化が生まれました。
ここ10年間で人々が接触するメディアと時間は年代別で大きな変化がみられ、各メディアの状況を見てみると、TV、ラジオ、PCに関しては大きな変化は見られませんが
この10年でタブレットが普及、更には紙を使用した媒体が減少傾向にある状況になっています。
現在、電車の中でも新聞を広げている人はめっきり見なくなったのも納得の状態だと思われます。
その一方、最大のメディアへと成長したのが携帯電話(スマートフォン)で直近10年で約3倍にまでメディア接触時間が増えています。
天気予報から仕事のメールの確認、SNS、ゲームまでがスマートフォンに入り現在では生活に密接な関係となっており
携帯電話(スマートフォン)の増加に伴い、デジタル広告が増加し現在も主流となっている状態です。
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デジタル広告の始まりから現在までの推移
ここからは年代別にデジタル広告の隆盛を振り返っていきます。
1. 初期のインターネット広告 (1990年代)
バナー広告: デジタル広告の始まりは、1994年にAT&TがHotWired(Wired Magazineのオンライン版)に掲載した最初のバナー広告でした。
これは基本的な画像リンクで、クリックすることで広告主のウェブサイトに誘導するもので当初はとても画期的なものでした。
広告が開始した当初は高いクリック率で宣伝効果を記録していましたが、ユーザーがバナー広告に慣れるとともにクリック率は低下傾向へ向かいました。
2. サーチエンジン広告の登場 (2000年代)
Google AdWords: 2000年にGoogleがAdWordsを導入し、検索連動型広告(リスティング広告)が普及し始め
広告主がキーワードに基づいて広告を配置し、ユーザーの検索クエリに対応する広告を表示する仕組みでターゲティングし易いサーチエンジン広告が登場しました。
Pay-Per-Click(PPC): 広告主はクリックごとに支払うモデルが主流となり、広告の費用対効果が計りやすくなったと言われています。
3. ソーシャルメディア広告の拡大 (2010年代)
Facebook Ads: 2007年にFacebookが広告プラットフォームを開始し、ソーシャルメディア広告が急成長しました。
ユーザーの興味や行動データを活用してターゲティング精度を高め非常に精密なターゲティングオプションを提供できるようになった事で広告が拡大されました。
モバイル広告: スマートフォンの普及により、モバイル広告が急増、アプリ内広告やモバイルウェブ広告が主要な広告手段となっていきました。
4. プログラマティック広告とビデオ広告の成長 (2010年代後半)
プログラマティック広告: 自動化された広告取引システムにより、リアルタイムビッディング(RTB)を活用して広告インベントリを購入する手法が一般化し、これにより、広告の配信効率と精度が向上しました。
ビデオ広告: YouTubeやその他のビデオプラットフォームの人気が高まり、インストリーム広告(動画の前後や途中に再生される広告)が重要なマーケティングツールとなりました。
5. 現在のトレンド (2020年代)
データプライバシー: ユーザーデータの取り扱いに対する規制が強化され、GDPR(General Data Protection Regulation、一般データ保護規則)や
CCPA(California Consumer Privacy Act、カリフォルニア州消費者プライバシー法)などの法律が施行され、これによりサードパーティクッキーの使用が制限される事により、ファーストパーティデータの重要性が増してきています。
さらにAIと機械学習の技術が進化し、広告ターゲティングやクリエイティブの最適化がより高度になってきています。
またインフルエンサーを活用したマーケティングも発展し、ソーシャルメディアの影響力がますます増加しています。
メディア総接触時間の変化
時代の変化に合わせて、メディアごとの接触時間は大きく変わってきています。
各媒体でのメディア総接触時間を時系列で確認していきますと公共の電波を通じて配信されるメディアのTVは151.5から135.4と減少しており、直近10年で10%の減少している数値が確認されています。
同じく減少傾向としてはラジオとなっておりこちらも35.2から28.0と直近10年で20%の減少が見られます。
紙媒体の雑誌、新聞についても減少しており特に減少が著しい状態になっています。
逆に圧倒的に接触時間を増やしているものは携帯電話、スマートフォンであり10年で接触時間も約3倍にまで膨れ上がっている状況となります。
タブレットやPCについては大きな変化は見られず、大きな変化が出ているのは紙を使用したメディアと携帯電話という形になってきています。
メディア総接触時間(年代別)の変化
各メディアを年代別で見てみますと若い年代程、紙でのメディアに触れる時間が減ってきており
年齢が上がるほどTVやラジオ、紙でのメディアでの情報取得、接触時間が長い傾向となっています。
YouTubeやSNSで情報をとる10代〜30代までがスマートフォンの接触時間が多く40代を境目にWEB関連のメディア総接触時間が短くなる傾向が見て取れます。
その中で日本のYouTube利用者数に着目すると、現在では7000万人を超え日本で最も使われているソーシャルメディアの一つとなっています。
総務省が行った令和3年度の情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査によると、YouTubeの全年代の利用割合は88.2%となっていると発表されています。
自分が好きな番組や、好きな配信者をいつでも気軽にみる事ができる、YouTubeがメディア総接触時間に大きな影響を与えたといっても過言ではないでしょう。
1人あたり国や年齢によって異なりますが、1日平均で29分37秒を動画視聴に費やしているデータも出ていますのでTVや紙媒体の総接触時間が減りWEB関連のメディアの接触時間が伸びているというのは、納得の数値となります。
一方、減少傾向である新聞については日本新聞協会様がデータとして開示しているデータを確認しますと
直近10年の動きでは、2013年での新聞発行部数(夕刊、スポーツ紙含む)は46,999,468で、2023年では28,590,486となっており-184,089と減少しています。
減少傾向はやはり上記でも記載していますがWEBでの情報発信が多くなっており、スマートフォンの普及が一番の要因となっていると考えられます。
インターネットの利用時間(個人)の変化
上記で記載している通りスマートフォンが10年で3倍にまで普及したことでインターネットの利用率も比例し
10代から60歳までの利用時間は上昇傾向となっています。
令和2年から令和3年まではコロナ禍もあり、在宅勤務や外出を抑える事で更に上昇したと思われます。
現在では小学校から大学までの全ての教育の現場PCやインターネットを接続して授業を行うなど
生活においてインターネットの利用はなくてはならないもに既になっています。
直近10年で産まれた言葉、「ググる」という言葉は既に全国共通言語になっているのではないかとも言えます。
SNSサービス利用状況の変化
個人でのインターネットの使用時間が伸びているのはこの10年でのSNSサービスが充実してきた事も要因の一つとして挙げられ
LINEやX(旧Twitter)、Instagramの普及が急激に伸びた事が要因となります。
特にLINEにおいてはビジネスの場からプライベーまでをカバーし現在ではメインの連絡手段としている方も多いSNSツールになっています。
その他X(旧Twitter)やInstagramにおいても、ビジネス運用から友人を広げるための手段とし、様々なシーンで使用されているのが現在も続いており
ソーシャルメディアの使用は、今後のインターネットの主力となっていくのでは無いかとも考えられます。
一番最初にシェアを広げたSNSと言えばLINEこれは現在年齢問わず幅広い年代に支持をされています。
現在LINEについては日本国内で月間利用者数が9500万人(2023年3月時点)のSNSで性別、職業、年齢を問わず幅広いユーザーに使用されているツールになっています。
通信環境の変化
前述の過去から現在の大きな環境の変化の裏には、インフラの発展が欠かせませんでした。
最近では4Gから5Gへとさらにインフラの発展が進み、通信環境が進化しているのはニュースなどでご存知ではないでしょうか?
これまでの時代を固定電話が普及していた当時から振りかえります。
1. 固定電話が各家庭の主な通信手段(1980年代)
固定電話が各家庭のメインの通信手段でありFAXなども同様に電話回線をしようした通信手段がメインとなる通信手段でした。
2. 携帯電話の普及が始まりメール機能が搭載(1990年代)
各携帯電話会社から携帯電話が発売され、電話機能とメール機能が搭載された携帯電話が発売され
固定電話から一気に直接相手が誰かわかる携帯電話の普及が伸び、メインの通信手段となりました。
3. インターネットの需要が高まり、現在でもメインとなる通信手段が誕生(2000年代)
インターネットの需要が高まった事により社内システムの構築やメール、メッセージまたはファイルの共有などがインターネットを通じて可能になり、メインの通信手段として確立しました。
4. SNSやオンラインゲーム、動画視聴が、様々なデバイスで使用可能に(2010年代)
FacebookやX(旧Twitter)、Instagram等のSNSの運用が携帯電話を通じて活発化。
オンラインゲームやYouTubeなどの動画コンテンツも携帯電話で視聴できるアプリが登場し、一気に携帯電話(スマートフォン)が通信の手段のメインとして確立されました。
5. 5Gの登場で、高速且つ大容量のデータ通信が可能に(2020年)
最近では5Gの登場により更にデータ通信の高速化、容量のアップが図られ、更には同時に一つのアカウントで多接続が可能となり
通信環境の快適さが得られるようになり、様々なコンテンツが利用しやすい環境となっています。
前述の状況に裏打ちされ、動画広告市場は急速に盛り上がりを見せています。
動画配信、共有サービスの普及について
静止画などと比べると圧倒的にデータ使用量を必要とする動画。
再生速度の関係などで普及が遅れていましたが、5Gの時代になり、動画配信サービスも急激に伸びてきています。
日本における主要な動画配信共有サービスの利用状況(2023年)
1. YouTube- 利用率: 約90%
- 特徴: 年齢層問わず非常に高い利用率を誇り、特に10代~30代の若年層で人気。
2. Netflix- 利用率: 約50%
- 特徴: 映画やドラマを中心に幅広いコンテンツを提供し、特に20代~40代に人気。
3. Amazon Prime Video- 利用率: 約45%
- 特徴: Amazonプライム会員特典として提供されており、家族向けコンテンツも充実。
4. Hulu- 利用率: 約20%
- 特徴: 海外ドラマや日本のテレビ番組に強みがあり、幅広い年齢層に利用されている。
5. Disney+- 利用率: 約15%
- 特徴: ディズニーやマーベル、スター・ウォーズなどのブランドに強みがあり、子供から大人まで幅広い層に支持されている。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000952987.pdf
これらのサービスはそれぞれ異なる強みを持ち、ユーザーのニーズに応じた多様なコンテンツを提供しています。
利用率は年齢や趣味によって異なるものの、全体として動画配信共有サービスの利用は非常に高まっている状況です。
いつでもどこでも好きな番組や好きな芸能人、趣味や仕事、スキルアップまで様々な動画コンテンツがあり、時間をTVとは違い時間を問わず視聴できる所が支持を受け伸びていると考えられます。
最近ではレンタルDVDショップも減少傾向となっていますがこの動画サービスの風に煽られているのは間違いありません。
日本の総広告費
最後に全体のまとめとして、日本の総広告費の現在を見ていきます。
日本の総広告費用(2023年データ)
総広告費用
約6兆円
広告媒体別の内訳
インターネット広告 約3.2兆円
内訳
⚪️検索連動型広告 約1.1兆円
⚪️ディスプレイ広告 約1.0兆円
⚪️動画広告 約0.6兆円
⚪️その他(SNS広告など) 約0.5兆円
TV広告
⚪️地上波テレビ広告 約1.3兆円
⚪️衛星放送、ケーブルテレビ 約0.3兆円
紙媒体広告
⚪️新聞広告 約0.4兆円
⚪️雑誌広告 約0.2兆円
音声広告
⚪️ラジオ広告 約0.1兆円
その他広告
⚪️屋外広告、交通看板 約0.5兆円
広告費の成長要因
デジタルシフト : インターネット広告が急成長し、特に動画広告やSNS広告の需要が高まっています。
広告主側もデジタル広告にすることによって紙を使わず費用対効果も上げ、更には分析まで出来るといったメリットを享受できることも大きな要因になっています。
ばら撒きではない広告配信をすることで、より的確な広告宣伝ができる状態が整っているのは、WEBを利用した広告となっています。
コロナ後の経済活動の再開に伴い、広告市場が回復傾向に向かっている状況がデータにより読み取れます。
まとめ
私の主観も多分に含みますが、日本の広告費は、デジタル化やインターネット上の広告メディアの普及に伴い、今後も着実に成長していくと思われます。
特にスマートフォンの普及により、モバイル広告が急速に拡大しています。これは、企業がユーザーのスマートフォン利用に合わせて広告を配信することで、より効果的なマーケティングを実現できるということを意味しています。
また、データ分析や人工知能の導入により、さらにターゲットに合わせた広告の配信が可能になりました。
Google、Yahoo広告をはじめ、自動化が主流ですよね
こうした背景を受け、企業はより効果的な広告費の使い道を見つけることができるようになりました。
総じて言えることは、国内市場における広告費は前進しており、テクノロジーの活用や社会的なニーズに対応した広告への投資が増加しています。
これにより、企業は市場競争力を高め、ますますビジネスの成長を推進することができるでしょう。
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