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顔覚えが悪いんです

顔覚えが悪いんですと言っておけば、忘れたときにも許されるし、覚えていれば「それでも覚えていた」という恩着せができる。

「勉強が苦手」と同じで、言うだけ得である。

顔覚えや名前覚えに関してありえないミスをすることがある。ずっと前からわりと足繁く(遠方から!)会いにきてくれる方がわからなくなっていた(以前はわかっていた)とき、「終わった」と思った。

たちが悪いのは、覚えている顔は覚えているという事実で、記憶に不備があるたび全てを忘れて平等になりたくなる。

退路を断っておくと、顔覚えや名前覚えは多分悪くない。

僕の記憶力が悪いと言ったら主観的にも客観的にも嘘である。

名詞やビジュアルにおいて、何でそんなん覚えとんねんというものを沢山覚えている。自分はこの記憶容量を失いたくないがために死にたくないと思えるくらいだ。

課題として与えられる顔や名前が多すぎる。流石に何千人の同業とリスナーを覚えるほど頭が良くはない。僕の本業は曲書きであって、物覚えではない。

忘れられることのキツさはわかる。ありがちな話だが、祖父に忘れられたことは今も強烈なトラウマである。

のほほんと生きているだけで、それを配ってしまうリスクがある。

ああ怖い怖い。


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