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アクセル・ワールドの加速世界の実現性に関する考察

アクセル・ワールドとは

加速世界と呼ばれる空間で戦うゲーム(ブレイン・バースト)がテーマのアニメ(原作ラノベ)です。

加速世界構成要素

作中に登場する加速世界と呼ばれる空間です。
主な構成要素は以下の通り。

1.加速世界は、ソーシャルカメラの映像をベースに構築している。
2.加速世界では、思考が通常の1000倍まで加速される。

2はちょっと難しそうですが、1なら現在の技術でも実現可能なのではないかと思われます。

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カメラの映像をベースに加速世界を構築

基本的には3次元復元の技術を活用する想定です。
何かしらの方法でソーシャルカメラ(監視カメラや街頭カメラ等)のデータを入手することができれば、それほど難しくはなさそうです。

3次元復元の技術としては、フォトグラメトリなどの基礎技術であるSfM/MVSが考えられます。

SfM/MVS

SfM/MVSは、簡単に説明すると、多視点の2次元画像から3次元点群を復元する技術です。
概念的には、人間の視差による立体視と同じです。

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多視点画像といっても、単純に画像が複数あればいいわけではありません。
画像間で特徴点(上図青点)が重なっている必要があります。
この重なり具合をラップ率と言います。

ラップ率が高い画像が多ければ多いほど、精度の高い3次元復元が可能になります。

ソーシャルカメラ画像の想定

基本的に、ソーシャルカメラが複数箇所に設置されていれば、ある程度のラップ率が期待できます。
しかしながら、ソーシャルカメラを同様の場所に複数設置するメリットがないため、同一地点でもせいぜい2視点が現実的と考えられます。
または、定点カメラではなく360度撮影可能な全天球カメラの場合、より高いラップ率により精度を高められるかもしれません。

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不足視点画像を補うための技術

ソーシャルカメラの画像だけでは、SfM/MVSによる3次元復元のインプットとしては不足すると想定されます。
そこで、不足する視点の画像を補う手法を考えてみます。

まず考えられる方法としては、BIMデータに使われる3Dモデルです。
最初から使えればここまでの話は無駄骨に聞こえると思います。

BIMデータを低コストで活用できる方法があれば、これは現実的な解決方法になると考えられます。
しかし、現状全ての施設、屋外において活用するにはコストが高すぎて現実的ではありません。

次に考えられる方法として、1枚の画像から多視点画像を生成する方法です。
これはいわゆるGAN(敵対的生成ネットワーク)を活用して、回帰的に多視点を予測、生成する手法です。

実際にGoogle Researchが、1枚の画像からイメージビデオ風の動画生成に関する研究を発表しています。
Infinite Nature: Perpetual View Generation of Natural Scenes from a Single Image

この技術を応用すれば、2視点のソーシャルカメラからでも、3次元復元が現実的に可能であると予測されます。

最後に

アクセル・ワールドにおける加速世界を構成する要素である「ソーシャルカメラの映像をベースに構築している」という点に着目して、実現性を考察しました。

実際に、ある程度の3次元モデルを生成することは可能であると考えられます。
テクスチャの再現性に関しては疑問が残りますが、独自生成のテクスチャによって補えばアクセル・ワールドの世界観からそれほど乖離することもないでしょう。

以上のことから、屋内外の3次元情報を解説した手法によって継続的かつ精度を担保して取得できれば、アクセル・ワールドの加速世界を実現することが可能であると考えられます。

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