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THE補助金マニュアル 第7章 ~補助金申請のプロに依頼する場合のポイント~

 私はこれまで、中小企業診断士として、多くの企業の補助金申請をサポートしてきました。その経験から、補助金に関する正しい知識を持つことが、企業の成長にとってどれほど重要かを実感しています。

 しかし、補助金の仕組みや申請方法は複雑で、悪質なコンサルタントに高額な費用を請求されたり、不適切な助言を受けるリスクもあります。そこで、こうしたトラブルを避け、適切な補助金活用を自分の力で行えるように、このマニュアルを作成しました。

 全8章にわたる本マニュアルでは、補助金の基本から応用までを網羅し、正しい知識と実践的なノウハウを提供します。第7章では、「補助金申請のプロに依頼する場合のポイント」という誰も踏み込んだことのない禁断のテーマについて解説しますので、ぜひご覧ください。

全8章文の目次です。
*好きな章のリンクを踏めばその章に飛びます
1. 補助金とは?
- 1.1 補助金と助成金の違い
- 1.2 補助金のメリットとデメリット
- 1.3 主な補助金の種類(事業再構築補助金、ものづくり補助金など)
- 1.4 誰が補助金を利用できるのか?
2. 補助金申請前の準備
- 2.1 自社の課題・ニーズを明確にする
- 2.2 補助金に必要な条件を確認
- 2.3 事業計画書作成の準備
- 2.4 申請スケジュールの確認
3. 補助金申請に必要な書類
- 3.1 事業計画書の書き方
- 3.2 予算計画書・資金繰り表の作成
- 3.3 各種証明書・添付書類
- 3.4 よくある不備や注意点
4. 補助金申請のプロセス
- 4.1 補助金公募情報の収集
- 4.2 申請書の提出方法(電子申請の方法、郵送手続きなど)
- 4.3 審査の流れと評価基準
- 4.4 結果通知後の対応
5. 採択後のフォローアップ
- 5.1 補助金の実行・実績報告
- 5.2 補助金の支払いスケジュール
- 5.3 中間報告・最終報告書の作成
- 5.4 監査・事後チェックに備える
6. 補助金申請の成功事例と失敗事例
- 6.1 成功事例の紹介
- 6.2 失敗事例から学ぶべきこと
- 6.3 よくある質問(FAQ)
7. 補助金申請のプロに依頼する場合のポイント
- 7.1 補助金コンサルタントの選び方
- 7.2 依頼費用の相場とメリット
- 7.3 自社で申請する場合との比較
8. 今後の補助金申請に備えるために
- 8.1 定期的な情報収集と公募情報の把握
- 8.2 自社の経営課題に合わせた補助金活用
- 8.3 チーム体制の整備



7. 補助金申請のプロに依頼する場合のポイント


7.1 補助金コンサルタントの選び方


 補助金申請は、専門知識や経験が必要とされるため、初めての申請や時間がない場合は、補助金コンサルタントに依頼することが効果的です。しかし、補助金コンサルタントにも得意分野や実績の違いがあるため、依頼する際には慎重に選ぶことが重要です。ここでは、適切な補助金コンサルタントを選ぶためのポイントについて解説します。

1. 実績と専門知識を確認する
1.1 過去の採択実績を確認する
 補助金コンサルタントを選ぶ際に最も重要なポイントの一つが、過去の実績です。コンサルタントがどれだけの補助金申請を手掛け、どの程度の成功率を持っているかを確認しましょう。
 特に、自社が申請しようとしている補助金に対して、どのような実績があるかが重要です。例えば、事業再構築補助金やものづくり補助金など、特定の補助金に強みを持っているコンサルタントであれば、その分野での採択成功率が高い可能性があります。

1.2 補助金に関する専門知識を持っているか
 補助金は、種類によって目的や条件、評価基準が異なります。そのため、依頼するコンサルタントが自社が申請しようとしている補助金に関して深い専門知識を持っているかを確認することが大切です。
 コンサルタントが最新の補助金制度の情報を把握しているか、補助金の趣旨に沿った具体的なアドバイスを提供できるかを判断するため、面談時に直接質問してみると良いでしょう。


2. コミュニケーション能力を重視する
2.1 わかりやすく説明できるか
 補助金の申請には、専門的な用語や書類が多く含まれます。そのため、コンサルタントが難しい内容をわかりやすく説明してくれるかどうかが、依頼する際の重要なポイントです。
 特に、補助金の申請手続きや必要書類について、具体的かつ理解しやすい形でアドバイスしてくれるコンサルタントであれば、申請プロセスがスムーズに進みます。

2.2 依頼者のニーズを的確に把握できるか
 コンサルタントは依頼者の状況やニーズを正確に把握した上で、最適な申請プランを提案する必要があります。例えば、依頼者がどのような事業を行っているのか、補助金をどのように活用したいのかをしっかりと理解し、その内容に応じた具体的なアドバイスを提供できるコンサルタントを選びましょう。コンサルタントとのコミュニケーションがうまくいくかどうかも、成功の鍵となります。

3. 料金体系の透明性を確認する
3.1 料金体系が明確かどうか
 補助金コンサルタントに依頼する際の料金は、コンサルタントによって異なります。依頼前に料金体系が明確に提示されているか、追加費用が発生する可能性があるかどうかをしっかり確認しましょう。
 一般的には、着手金、成功報酬、経費などが発生します。成功報酬型の場合は、補助金が採択された際に報酬を支払う形式が一般的ですが、その割合や具体的な金額が契約前に明示されていることが重要です。

3.2 コストパフォーマンスを考慮する
 料金が高ければよいコンサルタントというわけではありません。自社の規模や予算に見合ったコストパフォーマンスを持つコンサルタントを選ぶことが大切です。
 特に、料金が高すぎる場合は、補助金が採択されたとしても、コンサルタント費用が補助金の額を超えることがないかを慎重に判断しましょう。一方で、安価なコンサルタントが必ずしも質が低いわけではないため、実績とサービス内容を総合的に評価することがポイントです。

4. サポート体制を確認する
4.1 申請書作成だけでなく、実行フェーズまでサポートしてくれるか
 補助金コンサルタントには、申請書の作成支援だけでなく、補助金が採択された後のフォローも重要です。
 補助金の支給を受けるには、事業実行中の中間報告や、最終的な実績報告が求められます。採択後の実績報告や監査対応のサポートまで行ってくれるコンサルタントであれば、安心して事業を進めることができます。

4.2 緊急時の対応が可能か
 申請手続き中や補助金の実行段階で、突発的な問題が発生することもあります。その際に、迅速かつ適切に対応してくれるサポート体制が整っているかを確認することも大切です。
 例えば、申請書の修正が必要になった場合や、補助金実施中の問題解決に迅速に対応してくれるコンサルタントであれば、スムーズに事業を進行できるでしょう。


5. 評判や口コミを調べる
5.1 口コミや紹介を参考にする
 コンサルタントを選ぶ際は、実際に依頼した企業からの評判や口コミを確認することも有効です。ネット上の口コミサイトや、業界内の知人からの紹介など、実際の体験談を聞くことで、そのコンサルタントが信頼できるかどうかがわかります。
 また、特定の業界や地域での評判が良いコンサルタントは、その分野に特化したノウハウを持っている可能性が高いです。

5.2 セミナーや相談会への参加
 多くの補助金コンサルタントは、セミナーや無料相談会を開催しています。これに参加することで、コンサルタントの知識や対応力を実際に確認することができます。
 また、セミナーに参加することで、補助金に関する最新情報を得られるだけでなく、自社の事業に合った補助金のアドバイスを直接受けることができます。


 補助金コンサルタントを選ぶ際は、過去の実績や専門知識、コミュニケーション能力、料金体系の透明性、サポート体制をしっかりと確認することが重要です。コンサルタントとの信頼関係を築き、補助金申請を成功させるためには、自社のニーズに合ったコンサルタントを選ぶことが鍵となります。評判や口コミを参考にしながら、最適なコンサルタントを見つけて、補助金申請を成功に導きましょう。

7.2 依頼費用の相場とメリット


 補助金申請を専門家に依頼する場合、コンサルタント費用は依頼する内容や補助金の種類、コンサルタントの経験・実績によって異なります。また、費用が発生する一方で、コンサルタントに依頼することで得られる多くのメリットもあります。ここでは、補助金コンサルタントの依頼費用の相場と、コンサルタントを利用するメリットについて解説します。


1. 依頼費用の相場
補助金コンサルタントに支払う費用は、一般的に「着手金」と「成功報酬」に分かれています。依頼内容や補助金の種類によって異なるため、以下はあくまで一般的な相場です。

1.1 着手金の相場
 着手金は、コンサルタントに依頼した段階で発生する費用で、申請が成功するかどうかにかかわらず支払うものです。着手金の相場は、補助金の規模やコンサルタントの経験によって異なりますが、一般的には 10万円〜30万円 程度が一般的です。
 中小企業向けの補助金の場合、規模が比較的小さいため、低めの着手金が設定されていることが多いです。

1.2 成功報酬の相場
 成功報酬は、補助金の申請が成功した場合に発生する費用です。成功報酬の額は、受け取る補助金額に応じて決まることが多く、補助金額の 10%〜20%が一般的な相場です。たとえば、500万円の補助金が採択された場合、成功報酬として50万円〜100万円が発生します。  
 高額の補助金申請の場合、成功報酬の割合が低く設定されることもあります。また、成功報酬型の場合は、申請が不採択だった場合には報酬が発生しないため、リスクを抑えつつ依頼することが可能です。

1.3 成功報酬なし・完全固定報酬のケース
 一部のコンサルタントでは、成功報酬を設定せず、完全に固定の報酬体系を採用している場合もあります。この場合、30万円〜50万円程度の固定料金が設定されていることが多く、申請結果にかかわらず一定の料金が発生します。
 成功報酬型に比べてリスクが高い反面、補助金の規模が大きい場合や、採択の確率が高いと見込まれる場合には、固定料金が割安に感じることもあります。

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