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あし-02. くだりざかスキップ-

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友だちの花形慎にもらった絵を見ながら書いたショートショート3篇
オンラインで話している傍で描いていた絵に、卒論や就活の傍で書いた物語で向き合ってみる。
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ぼくにはひみつのともだちがいる

なつにばーちゃんちにいくと
いっしょにあそぶんだ

そいつは足だけがある
足だけなんだ

そいつはいつもウラヤマにいて
ぼくが行くとひょこっと出てくる

そいつはしゃべらないから
いっしょに鬼ごっこをしたり川で泳いだりする

ぼくたちがいちばん好きなあそびは
ウラヤマのてっぺんから ふもとまで スキップすること

歩くよりも早いし、走るよりも高く飛べるからすごく楽しいんだ
ぴょーんぴょーんぴょーーーんと はねていく

はねたときの飛んでいっちゃいそうなかんじがきもちいいんだ
でも、ころぶと下までころがっちゃうから気をつけないといけないよ

ぼくが5さいのとき
ばーちゃんにあいつと あそんでるところ見られちゃった
ばーちゃんはびっくりして、ギックリゴシになっちゃった
それからしばらくはばーちゃんちにあそびに行けなかった
ぼくは小学校に入った

つぎにあそびに行ったのは7さいのとき
ばーちゃんのオソーシキだった
ばーちゃんはずっとベッドでくらしてたらしい
1日中うごかないでテレビをみたり本をよんだりしてたんだって!

いいなぁばーちゃん

ぼくもベッドに住みたいな

でもさ
ばーちゃんにもう会えなくなるのは
ちょっとだけさびしいな

久しぶりにウラヤマに登った

そしたらあいつがひょこっと出てきた
久しぶりだったからぼくもばーちゃんみたいにびっくりしちゃった
でもすぐに立って

昔みたいにスキップをして遊んだんだ
ぴょーんぴょーんぴょーーん

久しぶりだったから何回か転びそうになったけど
はねたときの飛んでいくかんじは
やっぱり気持ちよかった!

下までスキップして、ふりかえったら
あいつもすっごいイキオイでおりてきた

だけどね、そのうしろにもうひとり、足がいたんだ
あいつよりは細くて、女の人みたいな足だった。

それからは3人であそんだ
なんかいもなんかいも、山のくだりざかをスキップしたんだ

ことしも ぼくはばーちゃんちに行くよ
もしよかったら
きみも一緒に行こうよ

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