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薬は モノ+情報 の商品である
…というのは、私が社会人になってから受講した薬学部の大学院講義で何度となく聞いた言葉です。
どういうことかというと、
例えば、ガラスのコップを見て、使い方がわからない人はあまりいないと思います。
見れば、
何かを飲みたいときに、飲み物を注ぎ入れて使うもの
だとわかる。
そして、
うっかり落としたら割れてしまって、破片でケガをする可能性がある(リスク)
こともわかります。
ですが、何の包装もされていない白い錠剤を見たときはどうでしょう?
じっと見つめても、
いったいどんな疾患に対する薬なのか、
どんな頻度で飲むのか、
一回何錠飲むのか、
使い方はわからないですよね。
そして、
どんなリスクがあるのかも、まったくわかりません。
つまり、薬はモノだけでは商品として成り立たない。情報も一緒に渡されて初めて機能する商品である、という事なのです。
以前「添付文書」を是非見てほしい、という投稿をしましたが、この添付文書は英語で「package insert」と言います。つまりパッケージに挿入されている文書という意味で、商品の一部であるわけです。現在調剤薬局では患者さんには医療用医薬品を渡す際に添付文書は配布していないですが、この英語の定義で考えると、フルパッケージでない商品を渡しているようなものなのではないかと思います。
確かに、日本においては、添付文書は医療従事者向けに作成された文書です。内容が専門的だから、患者に共有しても理解が困難であろうから、ということだと思います。しかし、だからといって渡さなくてよいのでしょうか。
例えば、スマホやPCなどは多くの国民が使用しているアイテムだと思いますが、すべての人が使うのが得意なわけではないですよね。添付されているマニュアル(最近は電子化されているものも多いかもしれませんが)のすべてを解読できないような人もいるのではないでしょうか。それでも、製品にはちゃんとマニュアルを添付している。
であれば、医療用医薬品にだって、その使い方を含む基本情報が掲載された添付文書を患者に配布すべきではないでしょうか。
そして、添付文書の中身を読んでもらって、わからないことについては専門家である薬剤師に積極的に訊きに行っていただく。そういう流れをつくったほうが、先の投稿でも紹介した、薬機法で規定される「国民の努力義務」を果たせるのではないでしょうか。
薬は「モノ+情報」の商品である。
故に、ユーザーの方々にはモノだけでなく情報も商品の一部として受け取っていただきたい。
製薬会社内で、まさにその情報を集めてまとめて文書にする仕事をしている私は、そのように感じています。