見出し画像

【体験談】膿は海の香り

今回は、自分の体験談の共有です。謎なタイトルかもしれませんが、これ、わかる~!って思う方いませんか?
私は子供の頃、そんな風に感じていました。
私は子どもの頃よく転んでひざや脚をすりむいていました。そして、これも子どもあるあるではないかと思うのですが、せっかく出来上がったかさぶたをはがして、また出血、を繰り返していました。お蔭でその膝の傷はすっかり痕になってしまい、未だに私の膝に残っています(笑)。傷をつくった時はいつも面白く観察して、膿(浸出液)の匂いも嗅いでいたのですが、何か磯の香りがするなと思っていたのです。
大人になってからはあまり意識することはなく過ごしていましたが、数年前に久しぶりにそれを感じる機会がありました。それが、手湿疹の浸出液です。私は子どものころからアトピー性皮膚炎がちょくちょく出てしまう性質で、大人になってからも症状がひどいときは皮膚科に行ってステロイド軟膏を処方されて、使って、また症状が出たら皮膚科に行って…を繰り返していました。ですが、このコロナ禍をきっかけに、自分自身も薬との付き合い方を見直し、3年ほど前にステロイド軟膏をやめることに決めました。というのも、ステロイド軟膏を使っていても改善が認められず、気づいたら半年以上ずるずる使い続けるような場合もあったからです。こんなこと続けるのはもうやめよう、そう決心しました。
脱ステロイドを決めてから半年ほどは手の湿疹から浸出液が出続ける日が続き、なかなか生活は不便でした。その時期にふと浸出液の匂いを嗅いでみたら、何か懐かしい匂いがしました。子どものとき膝から漂っていた、あの磯っぽい香り。
ちょうどそのころ、代替療法に関する本を眺め読みしていたのですが、その中に「海水療法」というものがありました。輸血の代わりに海水を静注したら患者が回復した、という事例が載っていて、最初はそんなことあるの?と思いましたが、自分の身体から滲み出る液体自体が海の香りがするんだったら、海水を静注することは似たような液体を補充しているようなものだし、むしろ自然なのかもしれない、と納得したのです。
それ以降は、手から漂う懐かしい香りを楽しみノスタルジーに浸りながら過ごせるようになりました。そして手湿疹は半年ほど浸出液が出続けた末に落ち着き、今は何も薬剤を使わなくても(ちなみにハンドクリームもほとんど使っていません)、特に困ることもなく過ごしています。たまに湿疹がちょっと出ることがありますが、今は何か身体が吐き出したい時期なのだろう、くらいに考えて何もしていません。
もちろん、痛いのは嫌なものです。ですが、私の子ども時代は痛みも含めて、傷口を興味深く観察していました。こういう感性って、いいですよね。自分の身体も観察対象として、まずは味わってみる。子ども時代の自分に学ばされる良い機会となった出来事でした。

いいなと思ったら応援しよう!