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音楽朗読劇「HYPNAGOGIA 〜ヒプナゴギア〜」を観劇した話⚠︎ネタバレあり

先日、音楽朗読劇「HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜」を観劇しました。
牧島輝さん、有澤樟太郎さん、桜井玲香さんが出演されており、藤沢文翁さんが原作•脚本•演出•作詞をされている作品です。今までに藤沢さんの作品はキングダム、剣聖、VOICARION を観劇させていただいています。


HYPNAGOGIA のビジュアルポスター
左から有澤さん、牧島さん、玲香ちゃんです

私なりの言葉でお話をまとめさせていただくと、有澤さん演じるピアニストが玲香ちゃん演じる夢の中の女性の助けを借りつつ有名ピアニストになり、次第にその女性に恋に落ちていく。しかしピアニストの身体は徐々に衰弱していく。牧島さん演じるピアニストの幼馴染である医者は彼を助けたいが…というようなストーリー。本当にざっくりしてるので公式のあらすじを読むことをオススメします。

まず劇場に入ると、ピアノの上に楽譜が飛んでいるかのようなセットが見えます。セットだけでもう作品の世界観に浸れます。上手から有澤さん、玲香ちゃん、チェロの村中さん、ピアニストの白井さん、牧島さんという配置で本番が始まります。

まずは有澤さんの歌唱から始まります。有澤さんはキングダムで拝見していたのですが歌唱シーンはなかったため、今回初めて生で歌声を聞きました。伸びやかで、それでいて声量もあって心地よくて。どこか落ち着く、そんな感じの歌声でした。私の中で有澤さんは元気いっぱいのやんちゃな方、後輩から慕われる頼もしいお兄さん的存在という印象があったので、そのイメージとは良い意味で違った役でした。雰囲気が柔らかく儚げだったので、あまり有澤さんのこのような役を拝見したことがなかった私は新鮮に感じました。医者との会話パートは今にも倒れそうなのでか弱く儚く、触れたら消えてしまいそうな演技。夢の中の女性とは医者との会話パートと比較するとハツラツとされている演技。パートを行ったり来たりするのですが、声色の切り替わりが凄いなあと思いながら見ていました。

舞台「セトウツミ」では有澤さんが牧島さんを救う役でしたが、今回は逆でしたね。お二人の間に色んな引き出しがあるなと実感させられます。セトウツミは色々と思い出があるので自語りになりますが、最後の方に話させてください。

夢の中の女性役の玲香ちゃん。高校生の時は特に乃木坂に憧れて色々追っていたし、今でも歌番組を見るなど追える時は追っている私のことはお茶の間程度のファンだと思ってください(ここで年齢がバレそうですが…)。
そんな乃木坂時代から知っている玲香ちゃんを見るのをとっても楽しみにしていました。玲香ちゃんはピアニストの夢の中に出てくるため、1幕の後半あたりからの出番になります。彼女、マイク前に立つ姿から美しいんです。朗読劇は自分の出番になるとマイク前に立ち、出番を終えると椅子に座ります。座ってる時から姿勢が素敵だなあと思っていたのですが、立とうとしている姿、マイク前に立った姿がなんともまあ気品があること…見惚れてしまいました。夢の中の女性というくらいだから、ミステリアスな感じなのかな?と最初は思っていましたが、曲のアイディアが浮かぶと表情が嬉しさ全開になりお茶目な部分も見せてくれます。特に有澤さんとのデュエットである「静かの海」は鳥肌が立ちました。静かの海は最初はピアニストが実家の麦畑を想像しているため照明が金色に輝いています。金色だった照明が、曲が1番盛り上がるところからピンクの照明に変化していくのです。照明の切り替わりの美しさと、有澤さんと玲香ちゃんの歌声の重なりの美しさで胸がいっぱいになりました。

「消えている」「ここにいる」をお二人が同時に反対の意味の歌詞を歌われているのが印象的です。この後物語が進んでいくとわかるのですが、登場人物が会話している後ろで流れている音楽の中に「静かの海」のメロディーが結構な頻度で組み込まれています。音楽に疎いため現地では気がつかなかったのですが配信で改めて観た時、「ここに静かの海のメロディーが入るのか〜⁉︎」と驚きと感心の気持ちになりました。

そして医者役の牧島さん。推しさんなので私の中でかなり期待値高めだったのですが、期待値以上の演技をしてくださいました…。
私はマチソワで観劇したのですが、牧島さんに限らず演者さん皆様回ごとに違う演技されてるんですか…?と聞きたくなるくらいマチソワの2公演だけでも演技の違いが素人目でもわかりました。特に2幕の医者がピアニストを必死に生きて欲しいと伝える場面、マチネはしていなかったと思うのですがソワレ(千秋楽)では牧島さん、手を頭に当てていらしたんです。マチネとは違う演技、ここで興奮で私の脳に一気に血が上ります(おかげで終演後はまっすぐ歩けなくて壁伝いに歩いたり、一緒に観劇したお友達に助けてもらいました。お友達ありがとう。)さっきまで「生きていてくれ」という思いを必死にピアニストに伝えていた医者が、ピアニストが部屋から出ていくとポロッと一言口に出します。そして暗転するのですが、暗転の最中に牧島さん後ろに倒れてしまうんじゃ…?とこちらが思ってしまうほど、このピアニストと医者の掛け合いのシーンはお2人の熱量に当てられていました。
2幕は医者と夢の中の女性、医者とピアニストと緊迫する2つのシーンが続けてありましたが、どちらも俳優の皆様の演技力のぶつけ合いがとても面白くて。これを書いている今では1ヶ月立とうとしていますが、未だに思い出しては鳥肌が立ちそうです。

果たして医者が行ったことは正しかったのでしょうか。でも私が実際に医者の立場で、友達が死にそうで助ける方法が一つしかなかったのだとしたら、きっと生涯正しかったと胸を張って言えることはなくても、その選択をするのだろうなと思いました。

こちらの朗読劇、藤沢さんが私と同じくらいの年頃に書いた作品なのだそうです。これは観劇後に知ったのですが、この年齢だからこそ書けたものでもあるのだろうなあと思いました。藤沢さんの書く作品•文章が大好きなのでこれからも沢山観ていきたいです。スプーンの盾も発表されましたね、行けるといいなあ。


さて先程ちょこっと話に出した「舞台セトウツミ」。就活のために観劇は断念してしまったのですが実は5月末頃、初日前日の夜に母が倒れました(今は後遺症もなくとっても元気です。)。私は家族と離れた場所にいたため何もできずただただ泣くことしかできず。次の日もバイトがありましたが泣くのを堪えながら勤務をし、休憩中はずっと泣いていたのを思い出します。これがうつ症状が出始める前兆だったのかもしれません。母以外のことでも色々なことが重なり、6月末にはうつ症状が出できている、危険だと大学の先生に言われました。起きてる時間の殆どを泣いて過ごしていましたが、唯一笑えたのが舞台セトウツミのゲネプロ映像を見た時です。

この動画を見て、「久しぶりに笑ったなあ」と思えました。泣いてばかりいた数日、この舞台が私の光でした。今でも心が折れると円盤を引っ張り出してセトウツミを見ています。ちょうど配信が始まる頃、母が退院できることとなり一緒に配信を見ました。母が死ぬかもしれなかった時に始まり、私の涙ばかりを日々に光を差してくれた作品を、退院した母と一緒に見ることができたのは大切な思い出です。
素敵な作品を私の思い出と絡めてしまうのは大変申し訳ないですが、舞台に救われた人間がここにいるんだよ〜ということを伝えたく文章にしました。

最後に。また牧島さん、有澤さん、玲香ちゃんの3人が共演する作品に立ち会えたらいいな〜素敵でした。ヒプナゴギアありがとう。


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