【インタビュー】長岡京市
長岡京市は、京都府の南西に位置する市で、奈良時代末期の都城「長岡京」にちなんだ市名になっています。
今回はご縁あって、長岡京市の共生社会推進課にSOGIへの取り組みについて取材させて頂ける運びとなりました。
取材にお答え頂いたのは、共生社会推進課の高田さんと藤井さんです。
長岡京市の景色
-共生社会推進課の取り組みについて教えてください。
人権、平和、友好交流の3つを軸に取り組んでいて、SOGIに関する施策は「人権」の分野になります。
-他自治体と比べると行政サービスとの連携や他市との連携などに積極的な印象ですが、どのようなプロセスで進められていますか?
施策の制定にあたっては、各課にきちんとヒアリングを行うようにして、役所全体で取り組む姿勢を大切にしています。部署横断的に取り組んだ成果としては、例えば、介護サービスについて、同性パートナーを家族とみなして対応できるようなりました。一方で、税や社会保険は法律の絡みであったり、市職員の手当や休暇制度については近隣自治体との兼ね合いで導入が難しく、今後の課題になっています。
他市との連携については、京都市、亀岡市、福知山市、向日市と協力関係にあります。特に、京都市ではSOGIに関して積極的に取り組んでいるので、施策を参考にしています。 京都市のイベントにご参加されていた方が、長岡京市のイベントにも参加して頂いたり、自治体を越えて交互の行き来があるのが嬉しいですね。
-パートナーシップ宣誓制度の申請状況について教えてください。
現在は3組です(令和4年12月取材時点)市の広報紙への掲載、FMやコミュニティラジオでの啓蒙などを行なっていますが、今後はより制度を周知していくために、SOGI問題啓発イベントの実施やチラシなどの媒体配布を検討しています。
-今後、ダイバーシティ推進実現のために、中央官庁に求めるもの(必要なこと)はありますか?
先ほどもお伝えしたように、税や社会保険の施策を検討していくには法律面がネックになっているので、適切な議論を望みます。
-「京都まぁぶるスペース」について教えてください。
京都市が令和2年度からスタートしたイベントで、現在は長岡京市と亀岡市と3市の共催事業となっています。
毎回SOGIに関する団体の方がファシリテーターとして進行して頂いてみんなでお話をする、どなたでも無料で参加できるイベントとして好評です。 今後は長岡京市に拠点を置く団体が出てくれば、ファシリテーターとしてご参加頂けたらと考えております。
–LGBTQの認知や就労環境改善などに当たって、非当事者や企業の理解を深める必要があると思いますが、その点について何か実施されている(あるいは検討している)施策があれば教えてください。
札幌市や大阪市がパートナーシップの認証制度をしております。当市でも長岡京市内の企業にアンケートを行い何かできることはないか検討中です。
現在は個人の方を対象とした施策が主ですが、企業向けの研修制度などを整備していけたらと考えています。それによって、行政や民間のサービスとのより一層の連携やスムーズな運用を目指したいです。やはり中小の事業者様が多いので、事業主様にご興味を持って頂けるものを作っていきたいですね。
–LGBTQ関連で、自治体向けにあると望ましい民間サービスはありますか?(ex. 就職マッチングや学校教育のアウトソーシングなど)
パートナーシップや企業でのマネジメントに関する啓発セミナーや研修などを提供してもらえるサービスがあれば嬉しいです。
今回のインタビューを通じて感じたことは、地方のSOGI施策についても、メディアでは積極的に取り上げて欲しいということです。
大都市のSOGIの施策については取り沙汰されることが多い一方で、地方にはなかなかスポットが当たりにくいですが、むしろ地方に残って生活しているあるいは移住を考える当事者にとって、どんな制度があるのかは関心が高い項目だと思います。また、今後当事者が生活拠点を検討する上で、より重要な指標になっていくとも予測されます。
個性的な取り組みや便利なサービスが整っていることは、暮らしにももちろんプラスですが、企業にとってもメリットはあります。
例えば、当事者が働きやすい環境があれば採用や雇用の定着といった点で有利に働くと言えるでしょう。
長岡京市はSOGI施策について他市を参考にしながらも、独自で前向きに制度や企画を検討していらっしゃったので、その姿勢は他の自治体でも学ぶ点が多いのではないでしょうか。
今後も自治体の取り組みについては、継続して取材を続けて行こうと思います。
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