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山本粧子の Hola! ジャガイモ人間~ペルーからコンニチワ~┃第31回
ブエノスディアス! 山本粧子です。
2025年になりました。今年もよろしくお願いします!
さて、新年一発目の話題は「ペルーのポテトチップス事情」についてお届けしたいと思います。
みんな大好きポテトチップス
イカ市の街中では、ショッピングモールの入口前や人通りの多い道などで、揚げたてのポテトチップスを販売しているのをよく見かけます。
注文すると、買いたい分だけ、袋に入れてくれます。塩がたっぷりかかった揚げたてのポテトチップスは無条件に美味しいです。
ジャガイモを揚げた後、キッチンペーパーで油を吸い取ったりはしてくれませんので、摂取カロリーのことはあまり考えたくないザ・背徳グルメです。
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また、街の商店でも、一体いつ何処で揚げられたのかはわからない、製造日も賞味期限も製造場所も何の記載もない袋に入ったポテトチップスが、レジ横に置いてあったりします。
(ペルーでは賞味期限が記載されていないものを購入するのは日常茶飯事なので、私は「とにかく買ったらすぐ食べる」を心がけています)
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揚げたてのおいしさにはかないませんが、商店で売っているポテトチップスもジャガイモに甘みがあり美味しいんですよ。
通勤路を歩いていても、朝からおじさんが商店で買ったであろうポテトチップスを立ったままバリバリ食べているシーンによく遭遇します。
このように、ペルーではポテトチップスはとても身近な存在です。
健康的?なインカチップス
もちろん、ペルーにも日本のように、メーカーが製造して流通させているポテトチップスもたくさんあります。
私の周りでは「Inka Chips(インカチップス)」が一番人気です。スーパーマーケットでも、ポテトチップス売り場のかなりの面積をインカチップスが占めています。
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インカチップスは、2000年創業のスナック会社・インカクロップス(Inka Crops S.A)の看板商品です。
創業からまだ25年の若い会社ですが、「8000年以上の歴史と4000以上の種類があるペルーのおいしいジャガイモを世界に広めていくこと」というミッションを掲げて、国内の3つの地域の5000を超える農家さんが作ったジャガイモを使ってポテトチップスを作っています。
インカクロップスは、健康に配慮したスナックを作ることにも力を入れています。
ペルーでは「児童及び青少年の健康的な食事の促進に関する法律」により、2019年以降すべての加工食品に対して、ナトリウム、砂糖、トランス脂肪、飽和脂肪酸の含有量が基準値を超える場合、八角形のラベルを表示することが義務付けられています。
スーパーマーケットを歩いていると、至るところで八角形が付いた商品を見かけます。
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全部オーバーしていたら4つラベルがつくことになります
しかし、いかにもこの八角形のラベルが貼ってありそうなポテトチップスにもかかわらず、インカチップスはこの八角形が1つもないのです。
企業努力を重ね、すべての項目を基準値内におさえて製造しているのだそうです。
だからといって、インカチップスが薄味で美味しくないかというと、そうではありません。
インカチップスのフレーバーは、スタンダードな「海の塩」、ピリッと辛い「ハラペーニョ」、甘めがお好みな方に「BBQ &オニオン」、ちょっと風変わりな「チーズ&オニオン」、先祖代々の味「ネイティブ」の5種類があり、どれもしっかりとした味わいです。
これらのガツンとしたフレーバーの味を天然香料で表現しているんですから素晴らしいですよね。
日本でポテトチップスが市販されるようになったのは60年以上前。それに比べれば、インカチップスの歴史はまだまだ短いですが、インカチップスのPRを見ていると、世界に向けてペルーのジャガイモのおいしさをこれからドンドン広めていこうという気合いを感じます。インカチップスは日本へも輸出されているようなので、お店で見つけたさいはぜひ試してみてください!
手作りポテチ
ただ、インカクロップスの企業努力はじゅうぶんに感じているのですが、最初に紹介した街なかのポテトチップスやジャガイモそのものの値段があまりに安いので、インカチップスはちょっと割高だなと感じてしまいます。
インカチップスは一袋(135g)320円くらい。それに対して市場のジャガイモは、安いものなら1キロあたり40円、高い品種でも200円くらいの値段です。
種類も豊富で、私がいつも行くイカ県の大きな市場なら、イモの専門店には常に10種類ほどのジャガイモが並んでいます。
このいろいろなジャガイモをポテトチップにしたらどんな感じなんだろうとふと思い、自分でポテトチップスを作ってみることにしました。
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今回私は、黄色にピンク色の斑点がある「PAPA PERUANA(パパ・ペルアーナ)」、黒紫色の「PAPA NATIVA NEGRA(パパ・ナティーバ・ネグラ)」、ピンク色の「PAPA ROSADA(パパ・ロサーダ)」の3種類を使って、それぞれ厚みの異なる3種類のポテトチップスを作りました。
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パパ・ペルアーナは皮をむくと非常に濃い黄色が特徴で、味もしっかりとして濃いです。油で揚げると、ますます黄色みが強くなっているように見えませんか?
3種類の中で一番ポテトチップスとしてはイモの味が強く、強さの中にしっかりとした甘みのある美味しいものに仕上がりました。薄いものはカリッカリッと、分厚いものはほっくり感を楽しめます。
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黒紫色のパパ・ナティーバ・ネグラは、丸ごと蒸かしたり、茹でたりして食べると美味しい、ちょっとモソモソしたジャガイモなのですが、薄く切って揚げるとサクッと軽く、土の香りがほんのりしました。
このジャガイモ特有の香りなのかと思って、同じものを蒸して食べてみたのですが、不思議なことに土の香りは全くしませんでした。
油で揚げると出てくる風味なのかもしれません。
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パパ・ロサーダは、同僚曰く、デンプンの量が真ん中くらいのジャガイモと言われるもので、煮崩れしにくくもないし、ほくほくしてもない、どんな料理にも使える万能なジャガイモと言えるそうです。
男爵芋とメークインの間って感じのジャガイモです。
外側の皮はピンク色をしていますが、断面は薄いクリーム色をしています。どんな料理にも使えるだけあって、食べやすくはあるのですが、3種類の中で最も味や食感の個性が薄く、可もなく不可もなく、あまり印象に残らない出来栄えでした。
ジャガイモを揚げるだけの、素材そのものの味がダイレクトに出るスナックなので、ちょっとクセのある品種を選ぶ方がおいしいのかもしれません。
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個人的に、この3種類の中でもっともおすすめなのは、パパ・ペルアーナのポテトチップスです。
自分でポテトチップスを作ったのはこれが初めてなのですが、案外簡単に美味しく作れるので、ぜひ皆さんも一度手作りのポテトチップスを作ってみてはいかがでしょうか?
揚げたてのポテトチップス、美味しいですよ。
それでは、今回はこのあたりでアディオース!
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〈プロフィール〉
山本粧子(やまもと・しょうこ)
神戸市生まれ。大阪教育大学教育学部教養学科芸術専攻芸術学コース卒業。卒業後、国境の街に興味があったことと、中学生の頃から目指していた宝塚歌劇団の演出家になる夢を叶える修行のため、フランスのストラスブールに2年ほど滞在しながら、ヨーロッパの美術館や劇場を巡る。残念ながら宝塚歌劇団の演出家試験には落ち、イベントデザイン会社で7年半、ディレクターとして国内外のイベントに携わる。また、大学時代より人の顔をモチーフに油絵を描いており「人間とはなんだ」というタイトルで兵庫県立美術館原田の森ギャラリーや神戸アートビレッジセンターにて個展を開催。趣味は、旅行の計画を立てること。2016年からは韓国ドラマも欠かさず見ている。2023年秋より南米ペルーのイカ州パラカスに海外協力隊として滞在し、ペルーとジャガイモと人間について発信していく予定。