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山本粧子の Hola! ジャガイモ人間~ペルーからコンニチワ~┃ 第9回

ブエノスディアス!山本粧子です。


パラカスに到着してから1ヶ月が経ちました。

パラカスは海の音、風のささやき、鳥の囀る声がたくさん聞こえてきます。私が日本で、あまり聞いてこなかった音で溢れています。

太陽が19時頃に海に沈んでゆくのを見守るのが最近の日課です。大きく、まんまるで、真赤な太陽がゆっくり、しかし瞬きをしていたらあっという間に目の前からなくなってしまうような、そんな感じです。

平日の夜、何しようか問題

海辺は毎日、たくさんの観光客でにぎわっています。
私も、仕事が終わって家に帰ったら、少しボーッとしにビーチへ向かいます。いつも砂の上に直で座るので、遠足の時に持っていくレジャーシートを日本で買ってくればよかったなとちょっと後悔しています。パラカスには売ってなさそうなので、イカかピスコへ行った際に探してみようと思います。

あと、ペルー北西部のピウラに住んでいるお友達が最近ウクレレを練習しているらしく、オンラインで聴かせてもらったのですが、音色がとても美しく、癒されるのです。私もウクレレを購入してビーチで練習するのを、平日退勤後の日課にしようかな、とも考え始めています。
(そう言いつつ結局ボーッと数日過ごしてしまっているので、多分しないと思います。)

「しっとりした情景描写の割にめっちゃ元気ですね」と編集に言われた、
パラカスのビーチで夕陽に向かって跳躍する筆者。
太陽が完全に沈む直前に、紫色の世界が出現するのですが、私はこの瞬間が一番好きです。
今日も一日無事に終わって良かったと思うのです。

私はこれほど海の目の前に住んだことがなく、そのうえ日本では、仕事の後は1時間も満員電車に揺られて家に帰り、夜ご飯を食べ終わったら日付が変わって早く寝なきゃ、という生活でしたので、生まれて初めて「平日仕事終了後の過ごし方どうしようかな問題」が発生しているというわけです。

毎日ミュージアム閉館の17:00に仕事が終わり、その後同僚の車でお家まで送ってもらい、17:30には家に到着します。
そこから、22:30に眠るまでの5時間をいかに有効かつ楽しく過ごすかというのが、現在の課題であります。
ありがたいことに結構時間があるのです。
一週間に25時間もありますからね。

みなさんは、退勤後の時間どのようにお過ごしになっていますか?

クリスマスが今年もやってくる!

さて、毎日業後の過ごし方に悩むようなゆとりがあるとはいえ、12月14日にパラカスミュージアムに着任してからは、パラカス文化について考古学者から教えてもらったり、ミュージアムの館長からもらった本を読んで勉強したり、直近のイベントの準備や、翌年に実施するイベントを企画しプレゼンしたりなど慌ただしく業務に取り組んでいます。

イベントに向けて、部屋を飾りつけ中。
ミュージアムのインスタより。
イベントの運営をしている時は、日本もペルーもあまり変わりません。
真面目に来年のイベントのプレゼンをやっているのに、
編集者から「後ろの作品何ですか、めっちゃ気になります!!」と言われる筆者。


そうしてあっという間に日々が過ぎ、クリスマスシーズンがやってきました。

ペルー人は、クリスマスはファミリーで過ごすのが一般的だそうです。
今はまだペルーには一人も友達いないし、パラカスの広い海と砂の中でぽつんと一人で寂しく過ごすしかないなと思っていた矢先に、同僚の考古学者フリアさんから、館長が「クリスマスはうちにおいで」と言ってるよとお誘いがあったのです!
まさに天にも昇る心地でした。
ほんと、めちゃいい人だな、「役に立てるようにがんばって仕事します!」と心の中で誓いました。
私も日本に帰って、年末年始とか一人で過ごすのはちょっと寂しいなと思う時期に、近くに海外から来たお友達がいたら、うちへ必ずお誘いしようと思いました。

しかも、まさかの私と館長はクリスマスの日が初対面でした(笑)。館長は私が着任してからずっとバカンス中で、お会いできていなかったのです。

ちょっとフライングですが、クリスマスでの館長との初めの出会い

初めて会う、わけのわからん日本人をクリスマスパーティーに招いてくれるとは……(泣)という感じで、私のクリスマスは始まりました。

真夏の夜のクリスマス

私が館長のお宅に到着したら、ご両親が既にクリスマスフードの準備をされていました。1日かけて食事の準備をするそうです。
七面鳥、クリスマスサラダ、お米、温かいチョコラテ、パネトン(カラフルなドライフルーツが入ったしっとりとした生地のパン)が主なラインナップです。七面鳥は何時間もかけてオーブンで焼いていました。

クリスマスサラダは、ニンジン、リンゴ、サヤインゲン、ピーカンナッツ、桃のシロップ漬けを、全て細かく切って大きなボウルに入れたもの。最後にマヨネーズをかけて完成です。

彩りあざやかなクリスマスサラダ。
割と丁寧に作ってきたはずなのに、結局マヨネーズをぶっかけて食べるのには少し驚きました。

私はピーカンナッツの殻剥きをお手伝いしました。
ピーカンナッツは地元イカ州原産のものらしく、フレッシュで甘みがあって、非常に美味しかったです。
いつも私が日本で食べていた、殻を剥いてから既に何日も経っているであろう輸入ものとは香りが違いました。ナッツを食べて「あ~なんてフレッシュなんだ!」と思ったのは初めてでした。

地元イカ州産のピーカンナッツ。こんな殻がついているの、知ってましたか?
シンプルにハンマーで叩き割る! 館長のお母さんがお手本を見せてくれました。
殻を割ると見慣れた姿が。ピーカンナッツ、みんなで楽しく剥きました。

しかし、私が手伝い始めた時点で、時計は既に19時半を指していました。
いったい何時から食事するんだろうと思っていたら、22時ごろから、館長のお母様の親戚家族がぞろぞろとやってきて、総勢16人となりました。
そうして食事が始まったのは、なんと23時!

4人家族のこちらのお家に16席も椅子があるわけもなく、屋上から簡易椅子を下ろしてきて、なんとか16人座れる感じにセッティング。
それが終わり、七面鳥とクリスマスサラダとお米が盛り付けられたプレートが全員に行き渡ったら、特に「メリークリスマス!」という掛け声などもなく、おもむろにみんな食べ始めたので、私も食べ始めました。
ご飯のお供はアルコールとかなのかなと思いきや、いつもと変わらずインカコーラとコカコーラでした。

ぎゅうぎゅう詰めでテーブルを囲みます(料理があまり見えなくてスミマセン)

ペルーには日本語の「いただきます」に該当する言葉がなく、最近「いただきます」ってなんとなく便利な言葉だな、と存在にちょっと感謝することがあります。
「いただきます」を言うことで周囲に「私もう食べ始めますからね、いいですね、いきますからねー」ってアピールできるから、ありがたいなと思うのです。
何も言わずに食べ始めるのがなんとなく慣れずにいる今日この頃です。

さて、食事の後も、まだまだここからクリスマスのアクティビィティはたくさん続きます。少し長くなりすぎるので、続きは次回書きたいと思います。

それでは、この辺りでアディオス~!


~編集Oが選ぶ今週の一枚~



〈プロフィール〉
山本粧子(やまもと・しょうこ)
神戸市生まれ。大阪教育大学教育学部教養学科芸術専攻芸術学コース卒業。卒業後、国境の街に興味があったことと、中学生の頃から目指していた宝塚歌劇団の演出家になる夢を叶える修行のため、フランスのストラスブールに2年ほど滞在しながら、ヨーロッパの美術館や劇場を巡る。残念ながら宝塚歌劇団の演出家試験には落ち、イベントデザイン会社で7年半、ディレクターとして国内外のイベントに携わる。また、大学時代より人の顔をモチーフに油絵を描いており「人間とはなんだ」というタイトルで兵庫県立美術館原田の森ギャラリーや神戸アートビレッジセンターにて個展を開催。趣味は、旅行の計画を立てること。2016年からは韓国ドラマも欠かさず見ている。2023年秋より南米ペルーのイカ州パラカスに海外協力隊として滞在し、ペルーとジャガイモと人間について発信していく予定。