大好評『タロットの美術史』シリーズより、「巻末特別寄稿」の一部を特別公開!|5巻
■5巻 正義・隠者
寄稿者:蒼井翔太
(声優/歌手/俳優)
◆タロットが紡ぐ、僕の物語(ストーリー)◆
僕がタロットを知るようになったのは、子どもの頃に夢中だったアニメがきっかけである。そこではタロットをモチーフにしたカードが使われていて、“タロットって可愛くて綺麗なものなんだ”、という憧れに近い感覚を覚えた。けれども実際に本物のタロットカードを見たとき、“すごく怖い”、という印象に変わってしまった。もしこれに触れたら、指先から消えてしまうのじゃないか――。そうした印象から、幻想的な想像を掻き立てられていったようにも思う。
それから時を経て大人になり、街中で再びタロットカードを見かける機会があった。でもいつの間にか、それまで抱いていた“怖いもの”というイメージは消えていた。成長してさまざまな経験を積んだことも影響していたのだろう。今ならタロットに触れるかもしれない――そう思って何気なく手にとってみたのが始まりだった。
タロットを見つめていると、描かれているものが自分の中にふわっと入ってくるような、不思議な感覚にとらわれた。気がつけば、自分のことはもちろん、さまざまなことについてタロットに問いかけていた。さらにはカードの気持ちを知りたいと思い、1枚、また1枚と引いて、昼夜を問わず対話するようになった。そのときの自分の考え方や価値観にはない気づきを与えてくれるタロットは、今や僕にとって心から信頼できる話し相手だ。
タロットとの対話を続けようと思った背景には、ある特別な体験がある。…………
【この続きはぜひ本書で!】