人の数だけ、正義はある。けれど行き過ぎれば…
子どもの頃から時代劇好き。
今は、録り貯めたNHKBS時代劇『雲霧仁左衛門』の第5シリーズを連日観ているところ。
芸達者なキャスト揃いで、よりリアルに感じる人間臭さ
義理人情に厚く賢い大盗賊の主人公・雲霧仁左衛門は中井貴一さん。
対する、火付盗賊改方長官・安部式部は國村隼さん。
渋い。2人とも渋くて格好いい。
この2人の懐の深さや落ち着きと対比するかのように、盗賊側も役人も、若者は「若気の至り」の失敗を重ねる様子も描かれている。
それに、第5シリーズで新しく脇を固めるキャストさんが豪華!!
金と出世しか頭にないイヤなやつは筧利夫さん。イヤなやつもいい人も変幻自在な役者さん。
筧さんとやり合う大奥総取締・滝山にともさかりえさん。
あのかわいらしいともさかさんが、普段は冷製に抑えながらも迫力満点で役にぴったり。
悪徳商人には大地康雄さん。
昔、火曜サスペンスで良く観てたなぁ。
安部式部を兄と慕い火付盗賊改方になるも、無惨にも殺されてしまう役に、榎木孝明さん。
やっぱりサスペンスものの浅見光彦でよく観てて。
早い回で亡くなってしまうなんて、キャストを贅沢に使ってる!!(誰目線?(笑))
毎シリーズ少しずつ入れ替わる、雲霧一頭の皆さんももちろん渋くて好き。
芸達者な役者さんたちが作るドラマは、人間臭さをよりリアルに感じられる。
人の数だけ、正義はある
年齢、性別、育ってきた環境、今の仕事。
人の数だけその人なりの"正義"がある。
雲霧のように人から盗むのは悪いことだけれど、それでも誰もが"正義"を貫こうと必死に生きている。
正義を貫きながらも、汚い面があるのも人間。
清濁併せ呑む世界観が、違和感なく描かれているのが池波正太郎作品の魅力。
※雲霧仁左衛門の原案は、『鬼平犯科帳』や『剣客商売』でも人気の池波正太郎さんです。
正義は行き過ぎれば、悪となる
その『雲霧仁左衛門』での安部式部のセリフ。
「正義は行き過ぎれば、悪となる」
…まさに!
子育てにも通じるし、すべてに言える真理だと思った。
行き過ぎていないか?
このセリフが出てきた回の放送は数週間前。
私が録画を観たのはつい数日前。
なんというタイミング。
ウクライナへの侵攻が進んでいる。
どんな悪党に見える人にも、その人なりの"正義"はあるのだろう。
でも、それで奪われる命があっていいのか。
正義が相容れない時、どうするのか。
雲霧や安部は待ってても現れない。
離れたところにいる私たちに何ができるのか。
今はただ、逃げている人たちの安全安心が早く確保されるよう願っている。