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対談相手にエムスリー、コニカミノルタ、サイボウズ、さくらインターネットを選んだ理由

2019年10月10日に、私、及川卓也の著書『ソフトウェア・ファースト あらゆるビジネスを一変させる最強戦略』が発売となりました。このnoteでは、出版の経緯や書籍づくりの裏話、発刊時に削った原稿の公開など、制作にまつわるさまざまな情報を発信していきます。

こんにちは、及川です。

「ソフトウェア・ファーストを役員が読んでました」とか「役員に読ませました」「読んでいたら、上司に奪われました」(買ってください!)という報告をいただきます。この間も、某大企業の役員の方とお話させていただいた際に、書籍をプレゼントしようとしたら、もうすでに購入されて読まれていました。ありがたい限りです。

是非とも、書籍から得られた情報を元に、それぞれの組織に合ったIT活用を考えていただければと思います。

さて、今回は書籍を読まれた方々にさらに参考となる情報のお知らせです。書籍中で4社の方々との対談からの抜粋を紹介しているのですが、そのフル原稿が、ITmedia ビジネスオンラインに掲載されました。日経BPから出た書籍の一部ともいえる記事がITmediaという別媒体(ライバル)から出るというのがなんとも素敵です(大人の事情です)

対談させていただいたのは以下の4社です。

● エムスリー
● コニカミノルタ
● サイボウズ
● さくらインターネット

エムスリー 山崎さんと西場さん

エムスリーの山崎さんと西場さんにお会いしたのは、今年3月に行われた「Machine Learning Team Building Pitch」というイベントでのことでした。もともとは、一参加者として申し込んでいたこのイベントだったのですが、主催者であるLAPRAS(当時、scouty)の中の人に見つかり、「どうせ参加されるのならば、モデレーターをお願いできませんか?」ということでモデレーターとしての参加になりました。このイベント自体も機械学習と組織のあり方を考えるとても面白いものだったのですが、その懇親会で、登壇者でもあったエムスリーの西場さんや同じくイベントに参加されていた山崎さんと意気投合し、後日エムスリーに遊びに行くことになりました。

イベントの様子はこちらから。

機械学習エンジニアのキャリアはこれからどうなる? MLエンジニアたちのチームビルディング Part1 - ログミーTech
課題抽出は誰がやる? MLエンジニアたちのチームビルディング Part2 - ログミーTech
機械学習エンジニアの評価、どうしてる? MLエンジニアたちのチームビルディング Part3 - ログミーTech

後日エムスリーに訪問した際に、代表取締役の谷村さんともお話させていただきました。谷村さんは多忙な方で、なかなかお目にかかることができないとも聞いていたのですが、エムスリーの創業から今に至るまでをうかがい、深く感銘を受けました。

この経緯はエムスリーのブログ記事でも取り上げていただいています。

コニカミノルタ 江口さん

企画会議で、日本の歴史ある大企業を取り上げたい、出来れば製造業だと良いという話になり、いくつもの企業が選択肢にあがりました。私が顧問をさせていただいているデンソーも候補となったのですが、デンソーは良く知っているし、すでにいろんなところで取り上げられているので他にしたいと私が主張し、他企業を探しました。

私が直接存じ上げない企業も多く候補に挙がったのですが、その中から選ばせていただいたのが、コニカミノルタです。その理由は、私のマイクロソフト勤務時代の部下やチームメートが転職していたことと、採用ページに本気度が感じられたことです。

実は私が企業のソフトウェア開発の取り組みを見るときには、その企業の採用ページを見るようにしています。中途採用をしていなかったり、採用はしているものの、採用ページがハローワークの求人票レベルのものを無造作に載せているだけだったりするところは、話を聞くまでもないと判断しました。

デジタルトランスフォーメーション(DX)として名前が知れ渡っている企業でも、採用ページが私の食指を動かすものでなかったところは今回対象から外しました。

お会いした江口さんは初対面だったのですが、同年代だったということもあり、とても話が弾みました。

サイボウズ 佐藤さん

制作チームでは、サービスとしてのソフトウェアについて解説するときに、実例としてどこかを取り上げようという話になりました。スタートアップ企業を中心に、最初からサービス(as a Service)を開発・運用している企業もあり、その方々と話すのも良いとは思ったものの、日本の多くの企業が売り切り型のビジネスをしていることを考えると、売り切り型からサービス型に移行した企業が良いと思いました。

私の古巣のマイクロソフトもその典型例ですので、実はマイクロソフト社員やOBにも話を聞いています。また、アドビも同じように業態を変えつつも、この厳しいIT業界の最前線を走り続けている企業なので、その研究も行いました。しかし、日本の読者に伝えるには日本企業が良いだろうと考えた中で思い浮かんだのがサイボウズでした。

実は、私はマイクロソフト勤務時代にサイボウズに何度か訪問したことがあります。Windowsサーバーを開発していた際に、IIS(Internet Information Services)のユーザーニーズを把握するために、サイボウズの開発陣の方々にヒアリングさせていただいたこともあります。当時、マイクロソフトは小規模なオフィスでのグループウェア展開に苦戦しており、サイボウズは競合でした。しかし、基盤ソフトウェアを開発している私のチームはExchangeやOfficeのチームに睨まれながらも、サイボウズが開発しやすくするように、Windowsサーバーの改善を進めさせていたりしたのです。

それから15年近く経っているのですが、最近でもイベントでエンジニアやプロダクトマネージャーの方とご一緒したり、少しお仕事をお手伝いさせていただくこともあったりと、ずっと近い存在であり続けました。それもあり、今回、パッケージソフトからサービス(as a Service)に移行する代表例として、真っ先に思い浮かびました。

さらに、ajitofmというポッドキャスト(いつか出たいです!)で、今回対談させていただいたサイボウズの佐藤さん(teppeisさんというほうが分かる人も多いかと思います)のお話を聞いたこともきっかけとなりました。実は、このポッドキャストでの話だけでも、かなりのことがわかったのですが、書籍に含めるに際してはさらに深くお話を聞かせていただきたいと思い、今回の対談となりました。

さくらインターネット 田中さん

ITの変化を語る上で、技術基盤を提供する側からの意見も聞きたいと考えました。私は現在、自分の肩書をTechnology Enablerとしているのですが、組織や社会のテクノロジー活用を支える側は、ITの変化をどのように捉え、活用する企業に何を求めているかを聞きたいと考えました。

こちらもいくつかの企業が候補にはなったのですが、私が自信を持って、面白い内容になると推薦したのが、さくらインターネットの田中社長になります。

田中さんとは今までにも何度か対談させていただいています。

生涯「エンジニア」として食っていくには何が必要?及川卓也氏×田中邦裕氏の答え - エンジニアtype | 転職type

事業とエンジニアリングをテーマにした、株式会社NTTぷらら 板東社長、さくらインターネット株式会社 田中社長、Tably株式会社 代表取締役 Technology Enabler 及川氏の開発者向けトークセッションを公開しています。 | 【開催御礼】ABEJA主催 SIX 2019 | 2DAYS' AI CONFERENCE

つい最近でも、CROSS Party 2019で、自分の出番が終わってゆっくりしていたら、急遽クロージングのパネルディスカッションに登壇してほしいということで、田中さんとご一緒させていただいたりしました。

お話するたびに、私と目指しているものも、日本に対しての危機感も同じなことが確認でき、今回も是非お話させていただきたいと強く希望しました。

実は、田中さんと初めてお会いしたのは、2011年の東日本大震災直後のことでした。私が有志とともに、Hack For JapanというITによる震災復興支援活動を始めた際の一番最初のハッカソンに田中さんはいらして下さったのです。

東京が計画停電などで不安定な中、最初のハッカソンを京都で行うことに決め(なんと、震災の1週間後に行いました)、エンジニアを集める中、田中さん自らが参加し、他の関西のエンジニアや関東から駆けつけたエンジニアとともに知恵を出し合い、開発を進めたのです。

Google Developers Japan: Hack For Japan Hackathon を開催しました

今回の対談で、当時のことを話したわけではありませんが、改めて田中さんとの出会いから今までを思い起こす中で、2011年当時のことも思い出したりしました。

ITmediaへの謝辞

今回、私にはまったく理解できない大人の事情から、この対談の掲載先を探さなければならなくなったのですが、快く掲載を引き受けてくださったITmedia ビジネスオンライン編集部の土肥義則さん、後藤治さんに心より感謝申し上げます。多くの企業やエンジニアに、この貴重な対談が届きますように。

# ITmediaには、陣中見舞いとして甘いものとしょっぱいものと大量の『ソフトウエア・ファースト』をお渡ししてきました。

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