アラサーのマチアプ記録〜傷口に塩を塗りたくる編〜
3年間付き合った恋人と別れたとき、自分でも驚くほど、未練はなかった。
1ヶ月後には新しい恋人を探せるメンタルになっていた。
正直、結婚したいのか?と問われたら即答できないし、しばらくは一人でも良いかなと思う自分もいたけれど、少しでも若いうちに行動を起こして、必ず最高なパートナーと出会ってやるという謎の気合いが前を向かせてくれた。
そんなこんなで、大学生ぶりのマッチングアプリ。
数年前は褒められたものではなかったが、今や身近な人がアプリでの出会いを経て結婚するほど真面目な出会いの手段になったと感じる。
正直、恋人と別れた後も「まあ、今はアプリがあるからどうにかなるか」という期待があった。
マッチングした数人と真面目なメッセージのやりとりが続き、すぐに会いましょうと言われることは少なかった。
コミュニケーションを重ねて、本当に会いたい人だけ誘われたり誘ったりするような感じだった。
そしてその中から、お茶に誘ってくれた人と会うことになった。
恋人以外の男性と2人きりで会うのは本当に久しぶりで、直前は吐きそうだった。ちゃんみなを聴いて自分を奮い立たせないと立ってられないくらいには、緊張していた。
アプリの写真は清潔感があり、医療系の仕事をしている真面目そうな人だったが、やはりイメージ通りとはいかない。とても生命力が強い顔をしていて(私のタイプではない)、ハイブランドのバッグを持っていた。
互いに視界に入っている"その人"が"その人"だとわかっているのに、自分から話しかけられないマッチングアプリあるあるをかましたところで、痺れを切らして私から声をかけた。
合流後、『人気店でいつも混んでいるから入れるかな…』と先導されたカフェはチェーン店で、仕事の外回り中に休憩するような空間で拍子抜けした。
ケーキセットを頼んで、2時間ほど会話した。休日の過ごし方、仕事の話、友達の話など。
いかにも初対面、といったような当たり障りのない会話をしながら、彼が自ら『前の恋人と別れたのは、自分はまだ結婚したいとは思えなかったから』と言ったので、そっと省電力モードにした。
健康的で友達も多く、きっと安定した生活ができるんだろうなと思ったが、異性として特に惹かれる部分はなかった。
私がアプリのプロフィールに「趣味は旅行」と書いたからか、『最近はどこか旅行しましたか?』と聞かれてしまった。(そりゃそうだろ)
直近の旅行は全て元恋人と行ったものなので、相手をぼやかしつつエピソードトークを話すも、色々な思い出がよぎって吐きそうになった。
決して嫌な思い出というわけではないが、ただ、まだ人に笑顔で話せるほどの消化はできていないんだなあと悟った。
後日友人にこの話をしたら、『そんなの全部友達と行ったことにするんだよ。話しながら、自分の記憶も書き換えるんだよ』とケロッとした顔で言われ、ほお…となった。
その友人は同じく3年間付き合った恋人とかなりひどい形で別れ、2ヶ月後にアプリで出会った彼と付き合って3ヶ月で同棲を始めた。格好良すぎる。
結局、その人ともう一度会うことはなかった。
きちんと向き合うことができなかったのは自分のせいだから、申し訳ないと思っている。
別れてからあまり時間が経っていなかったので、気合を入れて出陣した割には傷口に塩を塗るような感覚だった。
何を話しても蘇ってくる記憶、思い出、目の前にいる人と元恋人を無意識に比べてしまっていることが自分でもわかって、落胆した。
もう少し休息期間が必要だと感じつつ、半年後にはまた再開することになるのであった…。