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ソファ屋目線で、おすすめなソファの選び方は「座り心地」

ソファの選び方は人それぞれです。ここでは、ソファメーカー(作り手)の視点から、お勧めな選び方を紹介します。

お客さまのお話を聞いていると、ソファ選びで迷うポイントは、様々ですが、作り手としては、とにかく「座り心地」で選ぶのがお薦めです。なぜかというと、同じソファを長年使っている人は「座り心地が好き」という方が多いからです。

-「見た目」で選ぶ?-

探し始めて最初の選ぶポイントは「デザイン」ではないでしょうか?最近ではInstagramやPinterestなどの画像検索を使う方が増えているようです。

しかし実際には、人がソファに対して感じる印象の内「色」が大きな割合を占めています。国産のソファーメーカーでは、オーダーメイドで色を選べるのが一般的です。

デザインを気に入った場合は、ぜひ他の色で仕上げた場合の写真を見せてもらってください。もしも色を変えると好みでないのなら、自分が色で選んでいるということなので、違う視点でソファを探してみてはどうでしょうか?

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(写真のソファ:リマ

-「サイズ」について-

ソファをデザインしていて、幅が大きなソファは見た目のバランスが良いなぁと思います。広い店舗で見るときもそう思います。しかし、実際に家に届いたら一回り大きく感じるので、部屋の大きさに対して大き過ぎないサイズがおすすめです。経験豊富な販売員やコーディネーターに相談してみてください。

背の高さや脚の長さでも印象が変わります。背の高さが5cm低くなるだけで、お部屋が広く感じてもらえます。近年では、窓の大きいリビングが多く壁が少ないので、ソファはお部屋の中央にレイアウトされることが増えています。そういった、テレビとダイニングテーブルとの間にソファを置く場合には、背の低いソファをお勧めしています。

また、高さが同じくらいであれば、脚の長いソファの方が、比較的ボリューム感が抑えられた印象を受けるため、部屋が狭くるしくなる心配をされている方にお勧めです。お掃除ロボットも通れるので、ソファの下にホコリがたまる心配もなくなりますし。

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(写真のソファ:ゼンウッド / ベイス

-「価格」と「品質」について-

国産ソファブランドだけで価格を比べて見ると、3人掛け布張りソファで15~40万円、総革張りで35~70万円が一般的という感じだと思っています。その価格差を出している大きな部分は、使っている材料の差です。特に張地やクッション材はコストに占める割合も大きいのです。

東南アジアで作られた安いソファから、ヨーロッパブランドの高級ソファまで、価格の開きが大きくて適正価格がよくわからないかもしれませんが、国内で製造しているソファーメーカーの価格は、概ね適正価格だと思います。

ですので、やっと見つけた気に入るソファが予算オーバーだったら、妥協して買えるソファを購入するのではなく、気に入ったソファが買えるまで待つことも選択肢に入れてみませんか?妥協せずに選んだソファは、きっと長い期間愛用されます。そうしたら、一年当りは安いものではないでしょうか?

-「座り心地」での選び方-

座り方は人それぞれクセがあり、座り心地の好みも十人十色です。ですので、どれがベストとは言えませんが、15分くらい座り続けられて、立つ時に身体が疲れてなければ問題ないです。

ただ、より良い「座り心地」のために知っていただきたいことがあります。ソファ設計のため人間工学を学んでいるときに、悩んだことが2つありました。

1つは、身長や体格によって適正な座面の高さや奥行きが違うのに、子どもから大人まで家族で共有する「ソファのサイズはどうあるべきか?」です。私が出した結論は「調整できる」のが良いということです。日本人男性の平均身長は170cm程度で、殆どの椅子やソファはその基準で設計されています。ですので、身長150cmの方は、いつも座面が高すぎて、奥行きが深すぎるソファに座っているのです。ホテルのロビーで観察していると、背の低い人は背にもたれず、座クッションの前寄りに、ちょこんと座っています。やはり座りにくいのでしょう。ですので、背もたれの前に様々なサイズの置きクッションを置くことで、自分の体型に合った座り心地を作るのが良いと思います。

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(写真のソファ:リマ

もう1つは、「座るのは、下半身を楽にして、上半身に負担を掛けている」ということです。実は、立っているときより上半身の筋力を使っています。リサーチしてみると、ソファの座クッションに足を上げて座ったり、床に座ってソファを背もたれにしたりしていることが分かりました。映画館でも、脚を組み替えたりしますよね?実は、腹筋や背筋を使って、座る姿勢を維持しています。ですので、使う筋肉を変えようと、姿勢を変えたくなるからです。ソファ屋としては、床に座って背もたれにされると、なんだか床にソファが負けた気持ちになりました。じゃあ、ソファの上でいろんな姿勢で座れたら、より快適になるのではないかと考え、奥行きが深くて背の高さが低いソファを考えました。

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(写真のソファ:ゼンウッド

-張り地の選び方-

また「張り地」も、見た目と機能とに大きく影響を与えます。中でも悩まれるのが、布か革かです。張り地それぞれにメリットとデメリットがあります。


布は色や柄の選択肢が多く、インテリアのコーディネートが容易です。通気性があって快適ですし、革と比べて摩擦係数が大きいので、座っていて疲れにくいです。糸の素材によって特性が様々で、自分の求める機能に応じた素材が選べます。
コットン(綿)は四季のある日本の気候に向いています。夏は人から汗を吸い取って、気化熱で布がひんやりとします。冬は人の体温で暖められて温かいという素材です。リネン(麻)は洗濯に強く、夏にはサラッとして快適です。ウール(羊毛)はチクチクしますが、キューティクルがあることで汚れにくく、伸縮性があるため皺になりにくいです。

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ソファに張る革は、一般的には革は塗装されているタイプが多く、塗装膜が革の汚れや色褪せを防いでくれるため、小さいお子さんやペットが汚すことを気になる方におすすめです。布と比べて耐久性もあり、経年変化が少ないことが、日々のストレスを軽減してくれます。当社には塗装されてない、経年変化を楽しめる革もラインナップに加えていますが、とても長くなりますので、別の記事を書きますね。

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長々と書いてしまいましたが、ソファは見た目ではなく、自分の好きな「座り心地」で選んでもらえると、長く使ってもらえて一年当りは安いものになります。たくさん座り比べて、自分たちにとってベストなソファを見つけてください。そうして末永くご愛用ください。

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