相手の目を見て「フルート吹けます!」と言えるまで

サックスプレイヤーはフルートの持ち替えを必要とされ、自分はかつて運指が似ているのとサックスを数十年練習してきたんだからフルートにも応用できるだろうという恐ろしいほどに浅はかな過信で楽器を入手し、素人同然、ファッション感覚でフルート仕事を始めたわけだが、結果的に様々な現場で思い出したくもない程のツメ痕ならぬキズ跡を残してきた。

あゝ、もうダメだ。数々の現場をクビになる前にそもそも自分のメンタルが崩壊してしまう。日々生産されていく生々しいキズ跡に耐えかねて2017年の1月からフルートを斎藤光晴さんに師事している。出身高校の大先輩で芸大卒業後、数々のオーケストラで演奏され現代音楽にも精通しているスペシャリストで無類のビール党。

弟子入り3ヶ月で師匠が取り組んでいる白尾彰さんのデイリートレーニングと同様のメニューを指示される。最初はそのフレーズさえ全く吹けなかったし、そもそも師匠の言っていることが自分の経験の引き出しにはカスリもしないところから投げかけられるので理解できることが少なかった。それでもとにかく盲信してその課題を続けて1年半。トレーニングメニューのできない部分はほぼ解消されてクオリティを上げていく段階へ移行し、現場でキズ跡を残すこともだいぶ減ってきて師匠の言うこともだいぶ理解できるようになった。なにより演奏前に吐きそうだった恐怖心が自信に変換されつつある。

人間の成長というのは本当に面白い。脳内のアプリケーションは自分でバージョンアップしていける。クリエイティブだし快感。年齢を重ねるとこの感覚は忘れがちだし”覚えが悪くなる”みたいに言われるけどまだまだ全然いける。この快楽を手にしない手はない。

そういえば先日宮嶋みぎわさんとお話した時、ニューヨークでのみぎわさんのビッグバンドのリードアルトを吹いているBen Konoさんは素晴らしい即興演奏家でシングルリードとフルート系はもちろんダブルリードも吹くし、フルートでオーケストラに乗ってると聞いて絶句。アルバムも聴かせてもらったが強烈だった。(ついでにルックスもクールでナイスガイらしい)

光晴さんもかつて「副田くんが上手くなってオーケストラのエキストラをお願いできたら面白いね。」と言っていた。当時は恐ろしくてスッと聞き流してしまったけど、最近は”面白そう”だなと思うようになった。それには人一倍努力を続けてまずはリハトラを目指すことだ。

”面白い”基準で行動を選択するというのが最近の指針。
面白い挑戦をしていきたい。

♪たった今も聴いてるこのアルバム良すぎるので是非↓


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