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副田整歩サックス四重奏団としてレコーディングした音源で、作曲家宮嶋みぎわがNYの作曲アワードを受賞🏆

長くなるが今回の受賞に至るストーリーを簡潔に(簡潔じゃない)まとめたのでご覧ください。

宮嶋みぎわとの出会い

宮嶋みぎわ(敬称略🙇‍♂️)とはかれこれ20年近い付き合いである。
出会いは彼女が主催するビッグバンドにリードアルトとして招かれ、吉祥寺のリハーサルスタジオ壱之助で会ったのが初対面だ。
(その時マウスピースを忘れ、ほとんど音を出すことはなかった)

Miggy+(ミギーオーギュメント)と名付けられたそのバンドは主に社会人のメンバーで構成されポイントで当時の若手プロが在籍し、当時から基本的に彼女が作曲した曲のみを演奏していた。彼女は音楽大学ではなく一般大学を出てリクルートを脱サラした異色の経歴の持ち主だ。今考えればアレンジメントや譜面の拙さはあったかも知れないがなにより彼女の作風、特に”情緒”が曲に織り込まれている点に惹かれた。オーバーに聞こえるかも知れないがラヴェルやドビュッシーを聴いた時のような、繊細で美しい景色に触れた時のような、懐かしい友人に会ったような、そんな感覚を持ったのだ。

その後、メンバー全員がプロミュージシャンのビッグバンドになり(引き続き私はリードアルトをつとめさせてもらった)しばらく活動したが今から10年ほど前、彼女が拠点をニューヨークに移したため日本でのMiggy+は活動休止となった。定期的な共演の機会は失われ疎遠になってしまったが、彼女の帰国時は連絡を取り合って一緒に演奏した。

コロナ禍を機に一緒に作品作りがスタートした

そして2020年のコロナの年、お互い忙しく突っ走ってきたそれぞれの音楽活動が完全にストップしたことを機に密に連絡を取り合うようになった。
ウィルスに怯える心と、明るい未来への希望と、有り余る時間と、公演キャンセルによるフラストレーションと、やり場のない創作意欲を持ち寄り、東京とニューヨークで遠隔の作品作りが穏やかにスタートした。

Winter to Spring

宮嶋みぎわ(作曲・ピアノ)、副田整歩(サックス、ミックス、映像制作)
彼女のニューヨークの自宅での演奏をiPhoneで撮影したものにサックスを合わせてミックス、その音源にSachiko Blanca氏が撮影した当時のニューヨークの街の映像を重ねたものだ。

いつかコロナが明け、安全で活気ある生活が戻ってくることをなぞらえた作品である。そして、、、

Exploring Dscovering

作曲:宮嶋みぎわ
演奏:副田整歩

別案件用に書いた曲だという話でデモを聴かせてもらった時に一気に虜になってしまった曲。彼女に頼んでサックス四重奏の譜面を用意してもらった。

私のジャズサックス四重奏における挑戦

この時期は音楽ジャンルの違いを言語の違いとして捉えることを研究しはじめた時期だった。私はジャズもクラシック両方の専門教育を受けておりどちらも好きでどちらも自分の言葉として発することができるので、両要素を一つの作品に落とし込めないかずっと考えていた。その実験をするにはこの曲はうってつけだった。

自分に備わっているジャズとクラシックの演奏方法の違いを明確にし、ジャズとクラシックの配分をエフェクターのパラメーター(つまみ)のようにシームレスに混ぜ合わせ、箇所箇所で配分を変えていくということに挑戦しながらの多重録音だった。音色・ニュアンス・タイム・発音・ヴィブラート、様々なパラメーターをミックスしていった。コロナ禍の有り余る時間を生かし、納得いくまでひたすらテイクを重ねた。
(東京都のアートにエールを!の動画作品として提出)

この映像(演奏)を彼女はとても喜んでくれて、ニューヨークのジャズジャイアンツ達に聴かせて回ったらしい。そしてあえて名前は書かないが誰もが知るジャズレジェンド達が大絶賛してくれたと知らせてくれた。

自分は東京の片隅で活動するローカルミュージシャンのつもりだったが、これを機に(宮嶋みぎわの作品が素晴らしいというのは差し引いたとしても)自分が自信を持って制作した作品は世界で通用する可能性があるという感覚が芽生えた。特にジャズの中にクラシックスタイルのアンサンブルが聞こえることは彼らにとって大きなインパクトになるという体験も新鮮だった。

一人多重録音としては成功したと思われるこの作品だが、本来サックス四重奏は4人で演奏すべきであって一人多重録音はあくまで簡易的な制作手法で本来の姿ではないという点が引っかかっていた。そこでちゃんと4人で録音し作品を残そうと考えたのがこのストーリーのはじまりである。

サックス四重奏の録音に向けて

どうせ録音するならと彼女は無償で新曲を書き下ろして提供してくれた。
普段ビッグバンドというおよそ16人編成の楽団の譜面を書いているので、4人の編成は早く書けるし、音の数が最大4つであるという制約の中で表現するという点も彼女にとっては刺激的だったようだ。
加えて自分達が想像しているよりもはるかに高い評価を得られるプロジェクトだったという”手応え”が強烈に後押ししたとも思っている。

私もジャズとクラシック両方の素養を持つメンバーを集め、ナチュラルな響きを収録できるスタジオを選び、生楽器の録音に長けたレコーディングエンジニアを手配し、音楽性にマッチした動画を撮影してくれるカメラマンを見付けた。そして全ての経費を負担した。

受賞について

試行錯誤しながらトータル3度のレコーディングを経て、宮嶋みぎわからコンテストに作品を提出したいという意向を聞いた。
まだミックスが完全に終了していない状態だったが、手持ちの作品をまとめて数曲送って今回の受賞ということになった。
本当に忙しい時期でのできごとだったのであれよあれよという感覚だった。

副田整歩サックス四重奏団
ソプラノサックス:副田整歩
アルトサックス:佐々木はるか
テナーサックス:後藤天太
バリトンサックス:東涼太、竹村直哉
ゲストボーカル:KOTETSU
レコーディングエンジニア:箸本智
ビデオ撮影・編集:斎藤拓郎
レコーディングスタジオ:副田音楽工房

どの曲が受賞ということではなくプロジェクト自体を評価してくれたらしい。そう言う意味でコンセプトを持って今回のサックス四重奏をプロデュースしてきたことのお墨付きを憧れのニューヨークからいただいた感覚だ。
非常に嬉しいし自信になった。

同時に彼女の作品はもっと広く世の中に知られるべきだと思うし、微力でも知られるきっかけを作れたなら本望である。

が、このストーリーにはまだまだ続きがある。

それはまたの機会に。

宮嶋みぎわ https://miggymigiwa.net/history

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