見出し画像

がんと宣告されたらどうすのか? 三冊

がんと診断されたらどうすればいいのかという問題は切実である。

最近、近親者ががんで亡くなって、戦々恐々の心境にいる自分としては他人ごとではないのだけれど。

西洋医学という現在の医学のメインストリームに頼るのか、それともオルタナティブな道を探すのか、それともその中間ともいえる道をさがすのかということだ。

がんについて論じるよりも、実際に宣告されたらどうしようか、という切実な事態に関心がある。一般人は医学のことをしらない。また、現代人は医者に頼ることを覚えてしまった。そこには、極端な生死への感情が働く世界であることをミシェル・フーコーは指摘したけれど、それは素人だからだ。情報を自分なりに判断できないのに、自己責任で選択させられる世界だからだ。でも、その素人ががんと言われたら、お医者様にすがるしかないというのは、当然と言えば当然のことなのだろ。

そこで偶然出会った、3冊はいずれも医師免許のある著者たちではあるけれど、それぞれの言い分が違う。

そのいずれに頼むのかということではなく、自分はどう判断するのかということが一番の関心になる。

それには、これしかないという思い込みではなく、やはり冷静に考えてみることであり、その場その場での最良の方法を選べばいいのだと思う。それが付和雷同と呼ばれようとかまわなくて、情報が変われば行動もかわるということだからだ。

崎谷博征『がんは安心させてあげなさい』(鉱脈社)

崎谷こそ、まさにメインストリームの現代医学のオルタナティブであり、本人はフェイクサイエンスからリアルサイエンスと呼んでいる。がんは滅ぼすべき敵ではなく、もとは自分の細胞の変質であるから、安心させてあげれば、正常細胞に戻ってくるという。何らかのストレスで、栄養と酸素の不足により細胞が変化したモノであり、それは心因性のストレスから不飽和脂肪酸によるアルテヒドの毒、内因性のエンドトキシン、アテロームなどの血管のつまり等々といくらでも要因はありうるという。

詳しいメカニズムは本書と並びに崎谷の多数出版されている本に譲るとして、問題は具体的にじゃぁどうするのかという点だろう。

まとめてみると次のようになるだろうか

Ⅰ ストレスホルモンを鎮める
①抗コルチゾール作用 ナイアシノマイド(ビタミンB3)、ビタミンB6、ビタミンA
②抗エストロゲン作用 ビタミンB1、B2、B3 ビタミンA、D、E、K、カフェイン、メチレンブルー(色素の一種)
③抗セロトニン  ビタミンB2
④抗アドレナリン 糖・果糖をしっかりとる
⑤食塩 12g~15gは必要。抗アルドステロン作用がなくなる。

Ⅱ エンドトキシンを抑える
内毒素と呼ばれるエンドトキシンは、消化菅で消化できなくて、腸内細菌が発酵できるタイプのものから出る。

消化の悪い食物繊維はひかえる。一方、ニンジン,キノコ類、タケノコなどのセルロースは小腸内のバクテリアの増殖を抑え、エンドトキシンも排出してくれるので、有効。

Ⅲ 細胞内をアルカリ性から安定した酸性へ
乳酸を抑える。ゆっくり鼻呼吸してCO2濃度を高める。
過呼吸にならない。(一週間に一度ぐらいは口をとざす日をつくる)

バッグ呼吸も有効とある。バッグ呼吸というのは紙袋に自分の呼吸を出したり入れたりして二酸化炭素濃度をあげていくもので、過呼吸症候群などの時に使われる。実際にはもう、こんな野蛮なな方法はつかわないとWIKIにはあるけれど、これは紙袋を頬に密着させすぎないこと、逆に酸素濃度が低下しすぎて低酸素状態にならないように注意することが肝要だとされている。(私の経験でも、恥ずかしながら過呼吸症候群で搬送されたとき、この紙袋をくわえて呼吸してと渡されたものだ。確かに呼吸性アルカローシスによるしびれ、動悸、めまいが解消されていった経験がある。)

薬剤:アセタゾラマイド(@ダイアモックス)、ビタミンB1がある。

Ⅳ 還元ストレスの本丸、プーファー(不飽和脂肪酸)の脂肪中毒を止める

・クアイノン ハーブに含まれる成分。ビタミンK、テロラサイクリンの仲間
・アスピリン 有効成分であるサリチル酸は果物に含まれるエステル体として入っている。
@バイエル アスピリン
@ケロリン
@ケロリンA錠
@エキセドリンA錠
・パルチミン酸(飽和脂肪酸)
・ミルドロネイト(メルドニウム、カルニチンの合成を阻害し、酸素を多量に消費する脂肪酸の酸化を抑制する。かってシャラポワが接種していたとして有名。ドーピング問題で)

また、アルテヒドとセットになる、鉄、水銀、カドミウム、ヒ素などにも摂取しないように留意する必要がある。
特に鉄の取りすぎには注意。

Ⅴ 糖・果糖の代謝を高める
細胞へのブドウ糖の取り込みからミトコンドリアで完全にATPが産生されるまでの完全燃焼を高めること。中心は甲状腺ホルモンとミトコンドリアに入るピルビン酸脱水酵素を活性化すること。

・果糖
・サイアミン(ビタミンB1)
・ライボフレミン(ビタミンB2)
・パルミチン酸(前掲、体内合成もある飽和脂肪酸の一種)
・電子伝導系での電子の渋滞を防ぐためにも、電子受容体は非常に重要。
前掲のクワイノン・メチレンブルーなど。

Ⅵ 意識を高い場に置く
細胞レベルの治療だけでなく、個体としての心的なレベルにおいてもヘルシネックス・フィールド(健康の場)に置くことだと言う。
次のように表現している。

意識レベルの低い人たちや環境に身を置くと、知らず知らずのうちに自分もそのエネルギー場に巻かれていきます。羞恥心、罪悪感、無気力、恐怖、欲望、怒り、プライドなどが渦巻いている環境に身を置いてはなりません。これらの低い意識レベルはエゴ(幻です)から発せられるシックネス・エモーション(病気の感情)です。またそのような意識レベルの低い治療者からはすぐに離れないといけません。
 

p-180

意識レベルを高く置くことと治療者にも気をつけろと続く。細胞レベルだけでなく、心的な環境も重要ということだ。

国立がん研究センター編『「がん」はどうやって治すのか』(講談社ブルーバックス)

崎谷の見解がマイナーだとすれば、現代医学のメジャーはどう治療するのかということが気になる。そこで、現時点でどう考えているのかを知るために、読んでみた。

まさに崎谷が批判するように、医学のメインストリームは[「がん悪玉説」であり、撲滅するものになっている。これは敵を作ってそれをたたくという思想に裏付けされている。
いわゆる標準治療というのは、ネットで言われている「切る、焼く、盛る」だ。つまり、手術と放射線と薬物(抗がん剤や免疫療法)という治療になる。

ところで、がんの分類はがんの種類によって分類されるといい、上皮細胞からできるがんを癌(ひらがなではなく漢字で)書くという。または癌腫と呼び、上皮細胞以外の細胞から発生するがんを肉腫と呼ぶとある。血液細胞のがんは造血器腫瘍と呼ぶとある。本書では固形癌を固形がんと呼ぶと記している。「がん」なのか「癌」なのか「ガン」と表記するのかはそれぞれ表記だけの問題ではなく、分類されているのだという。

ここではひらがなの「がん」とした。
英語でよぶ「キャンサー」という語も本書では使っている。

読んだ印象では、5年生存率の低いきわめて危険ながんから、比較的生存可能ながんまで一様に解釈してはいけないだろうと感じた。
どのようながんなのか? 本当にがんなのか? という検査は必要だろう。崎谷によれば、CTもマンモグラフィーも放射線を使うのは危険と言っているので、放射線も最低限にすることも考えないといけないだろう。

本の帯にがん治療の決定版とあるけれど、標準治療の決定版だろう。

様々な民間治療が跋扈するなかで、標準治療の地位は揺るぎないのだろうけれど、その標準治療というのも変わってきていると感じた。

和田洋巳『がん劇的寛解』(角川新書)

実は近親者ががんと聞かされて、初めて手にしたのがこの本だった。
その見解に驚くとともに、がんがなんであるかを知った初めての本になる。それまでは、細胞の突然変異とうっすらと考えてきたのが、そうじゃないということがわかり、その発生の機序がわかれば、そこから対策を考えればいいということは当然だからだ。

さきの、現代医学のメインストリームがすでにできたがんを前提にしていて、なぜがん化するのかについての記述がないというので、説得力が薄い。
がんは生活習慣病ですといっても、何の生活習慣病なのかわからない。生活習慣病という以前は、はっきりと食生活習慣病だと言っていた。

では、和田はどう考えたのかというと次のようだという。

「がんとは何者なのか」について言えば、臓器細胞が酸素欠乏によって栄養をエネルギーに変えられずに次々とアポトーシスしていく中、「酸素が欠乏している状態でも解糖系だけで栄養をエネルギーに変えて生きていくことのできる細胞」が出現します。そして、このように酸化的リン酸化を用いずに解糖だけで生きていくことのできる細胞こそ、分子生物学の分野から見た「がんの正体」なのです。

p-66

酸素がなくてもATP(アデノシン3リン酸)を産生できる解糖系だけで生きていけるというだけでなく、水素イオンを細胞外へ放出してアルカリ化して周りの酸性との電位差をも利用しようというのががん細胞だ。これはむかし、安保徹さんが言っていた、細胞が危機に出会って原始細胞に戻って生きぬこうとする変化なのであろう。それゆえに自身の細胞を増やそうと細胞分裂が活発になり、どんどん水素イオンを放出して、まわりを酸性化していく。

そこでの、和田の戦略は、細胞外液をアルカリ化にすることになるのだ。

そうすると電位差によるエネルギーが得られないので、細胞分裂は抑制されるというのだ。あくまで、和田は治るとはいっていない。寛解する、寛解させると言っている。

アルカリ化には食生活であるから、食生活の提案へと舵を切っている。

このがんの正体についての見解は、崎谷でも引き継がれているのであるが、もう一歩進んで、ではなぜそのようなことが起こるのかについて、不飽和脂肪酸によるアルテヒドの有害作用、ストレスホルモンであるコルチゾール、セロトニン、アドレナリン等々の糖代謝を阻害する要因を抑えろという。

和田の見解とま反対なのは、魚油であるEPA,DHAを接種しなさいという和田にたいして、崎谷は最悪だということと、食塩を控えろという和田にたいして崎谷は取れという。これだけではないけれど、がんの正体にかんして近い見解にいるのに対処法はま反対になっている。

実際の和田は、抗がん剤も使うが、それは10分の1ぐらいだという。細胞外液をアルカリ化する@ウラリット(クエン酸ナトリウムとクエン酸カリウムの合剤)も処方している。ビタミンではCの大量療法を紹介している。

和田は、崎谷と標準治療の中間にあたるのだろうか。

とりあえずの結論

現時点で、がんと宣告されたらどうしようかと考えた。
まずは、そのがんが何であるかをしらべて、体質改善をはかり、食生活を変える。そして、細胞外液のアルカリ化を図る。先に挙げたビタミン類を積極的にとってみる。サプリメントなどはだめで、in vivo試験のある医薬品をとる。飲んだとしても吸収されないと意味がないから。そして運動と不飽和脂肪酸の完全フリーを目指す。
これぐらいのものだろうか。

すでに植物油脂はひかえており、別の疾患から@ウラリットは使っているので、尿中のPHは時々測っている。朝起きたら、PH7.5以上だけれど食事をすると酸性化しやすい。お酒をのむともっと酸性に傾くことがわかっている。
アルコールはやめないといけないかも。

関心があるのは、がんに対する議論ではなくて、私が宣告されたときにどうしようという実存のことだ。他人様のことはどうでもいい。私のことだということだ。その視線に立って考えてみた。


いいなと思ったら応援しよう!