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AIがコーチングに革命を起こす?~脅威か、それとも新たな可能性か?~


はじめに

こんにちは、コーチの袖川です。
近年、生成AIの成長は著しくOpenAIが開発したChatGPTを皮切りに多くの生成AIが生まれています。

わずか数年前まで、AIと言えば主にデータ分析や画像認識などの特定タスクに特化したものでした。しかし、今や生成AIは人間のような自然な文章を書き、リアルな画像を作り出し、さらにはプログラミングコードまで生成することができます(!)

僕も初めて知ってから細々と触っていましたが、コーチとして活用できる場面があまりにも多いなと感じました。

そこで今回はコーチングにおいてAIは、脅威となる存在なのか、それとも新たな可能性を開く存在なのかを考えていきます。
本記事では、AIがコーチングにもたらすインパクト、具体的な活用例、そしてAI時代におけるコーチの役割について考察していきます!

AIがコーチに与えるインパクト

①セッションログ作成の効率化

AI音声認識技術を用いた自動文字起こしツールにより、セッションログ作成の時間を大幅に短縮できるようになりました。

従来、手書き・タイピングや録音によるログ作成は時間と労力を要しました。僕もエクセルシートにタイピングをしてセッションログを作成していましたが、セッション中だと集中力が削がれますし、セッション後だと記憶が曖昧な部分があったりしました。
しかし、AIツール導入による効率化は、コーチの貴重な時間を解放し、より多くのクライアントにサービスを提供することを可能にします!

やり方

  1. Zoomなどでレコーディングしたセッションの録画データをダウンロードする

    1. https://www.zoom.com/ja/blog/so-youve-made-a-zoom-recordingnow-what/

  2. レコーディングデータをNottaでテキストファイルとして生成する

    1. nottaでそのままAI要約してもらうことも出来ますが、完成度は生成AIを通した方が高いと感じます。

  3. Claudeにテキストファイル、コーチングのフィードバック元となるファイル(ICFコアコンピテンシーなど)を読み込ませ、要約させる

セッション内容について概要、主要トピックに分けて出力してくれます。

②質の高いコーチングフィードバックの提供

コーチの皆さんはコーチングセッションの質向上のためにどんなことをされていますか?
今だとメンターコーチングや練習会が主流だと思いますが、これからの時代はAIからのフィードバックも選択肢になるかもしれません。

やり方

  1. Zoomなどでレコーディングしたセッションの録画データをダウンロードする

    1. https://www.zoom.com/ja/blog/so-youve-made-a-zoom-recordingnow-what/

  2. レコーディングデータをNottaでテキストファイルとして生成する

    1. https://www.notta.ai/

  3. Claudeにテキストファイル、コーチングのフィードバック元となるファイル(ICFコアコンピテンシーなど)を読み込ませる

  4. 下記のようなプロンプトを作成。

    1. 「あなたは最高のコーチです。添付のコーチングセッションについて、ICFのコアコンピテンシーに沿ってフィードバックをしてください。
      その際、具体的に何分何秒のやり取りからそう判断したのかを明記し、今回のコーチングセッションをさらに良くするために、具体的にどこの場面でどうクライアントと関わるかもコメントしてください。」

そうすると、こんな風に結果が返ってきます。
具体的な秒数の指定、改善案も出してくれるため、この後個人で録画を聞き返す時によりスピーディーに振り返りをすることが可能です。

Claudeによるフィードバック例、コアコンピテンシーの項目ごとに見てくれます。

③ICF試験対策の支援

ICFの資格取得において難所として知られているExam。
ただ、このExamについては受験者が事前に受験者秘密保持誓約書にサインする必要もあり、テスト内容についてはICFの所有物で許可なしにコピーや共有は許されていません。
上記の背景から、ICFジャパンとしても「試験対策」のような講座を開くことはできません。
ですが公開されている情報と生成AIを使うことで、想定される問題を作ってもらう事ができます。
当然そこにどれだけの質や精度が担保されているのかという疑問は残りますが、解説付きで一定の正当性はあるように感じますし、考え方のインプットにはちょうど良いと思います。

やり方

  1. ICFの公式サイトより、ExamについてのページをPDFでダウンロードする

    1. ICFのExamページ(内容・例題)

      1. https://coachingfederation.org/credentials-and-standards/credentialing-exam-content

    2. WebページのPDF化

      1. https://shop-pro.jp/yomyom-colorme/70398

  2. ClaudeにICFのコアコンピテンシーと先ほどのPDF読み込ませる

  3. 下記のようなプロンプトを作成。

    1. こちらは試験問題の例題と試験についての説明文です。
      また添付資料はICFのコアコンピテンシーです。
      これらを元に、試験問題を作成してください。

そうすると下記のように質問と回答が生成されます。

AI活用における課題と倫理的な問題

さて、そんな便利なAIですが、何も課題は存在しないのかというとそんなことはありません。
考慮、検討をしないといけない点はいくつかあります。

  • AIの倫理的な問題点

    • AIが倫理的に正しい判断を下せるのか?

      • AIは倫理的な判断を「模倣」しているだけで、真の理解はない?

    • AIによるプライバシー侵害や情報漏洩のリスク

      • 機密性の高いクライアント情報を読み込ませても良いのか?

        • 僕も調べましたが、現行のICFの倫理規定ではカバーし切れないのかなと思いました。

  • 人間的触れ合いの希薄化

    • 感情への理解、共感の限界

      • AIによる共感や慰めは心には届かない?

        • 受け手の認識はあくまで「非人間から機械的なメッセージを受け取っている」の域を出ないんじゃないか

    • コミュニケーションにおける「効率至上主義」の横行

      • 「全部録音してAIに要約させて回答も考えてもらえばいいでしょ」と言う考えが進む。

個人的には、今後AIがより感情理解や共感能力で成長をしていき、もはや感情を持つAIが生まれるんじゃないかっていう可能性は気になっています。
人間によるコーチの役割は果たして何になってくるのか…。

AIとコーチングの共存

さて、AIとコーチングにおいてどんな共存が可能になってくるのか。
先日のICF主催のサミットにおいて、ICFグローバルはAIはあくまでツールであり、人間のコーチの役割を完全に代替することはできないと考えています。
その上で、人間とAIが協力することで、より効果的で質の高いコーチングを実現できる可能性はあると思います。

AIを使う中で僕が感じる可能性は以下の二つです。

①感性と創造性の強化

AIを使う事で、ロジックやフレームに沿ったコーチングは一瞬で再現できるようになっていきます。
今後、アバターなどを作ってVR上でコーチングを受けることもあるかもしれないと言われます。
僕は、まだそんな時はすぐ来ないだろうと思ってましたが、昨今のAIの進化スピードを踏まえるとそんな事も言ってられないなと思います。

いずれにせよ、AIを使いこなし活かす過程でより人間にしか出来ないことを尖らせていこうとすると、それは感性と創造性なんじゃないかと思います。
人間ならではの経験からくる直感や、感情の影響、抽象的な思考…。こういったところは大量のデータ処理を得意とするAIより強みを発揮出来ると思います。

②より深い気づきや変容が起きるコーチング

AIに対してコーチングを依頼することは可能であり、僕も継続的にコーチングを受けていますが、あくまでセルフコーチングの延長線でしかないなと思います。
セルフコーチングは自分で調べ準備した問いに対して回答していきますが、そこにAIを入れることで「第三者からの問い」を用意することが可能です。
そうすることで、問いに対する新鮮さは生まれますし、気づきに繋がるような瞬間も増えるでしょう。
ただ、これはコーチングに対するリテラシーが高い人であったり、普段から内省することに慣れている人限定だと思います。

そして何より、そこに「愛」はないです。一番重要なことですが。
コーチングはクライアントとの協働関係であり、利便性を追求していくものではないと思います。
そういった点で人間のコーチングだからこそ提供できる価値があると思います。

その他に使えるAI×コーチング集

ここからは、上記では紹介し切れなかったAI活用例について簡単に記載していきます。
(なんか書き出してみたら意外と量が多くなってしまいました)

クライアント分析

コーチの皆さんはクライアントの情報をどのように回収していますか?
僕はGoogleフォームを使うことが多いですが、いずれにせよ「なぜコーチングを受けに来たのか」や「コーチングを受けたことがあるか」などを聞くと思います。
実はこういった情報をAIに投げてしまえば、コーチングの事前準備として様々な情報を提供してくれます。

・プロンプト例①
コーチングセッションの準備のため、下記のクライアント情報を元に想定質問を作ってください。
・プロンプト例②
下記のクライアント情報を元に、想定されるクライアントのコミュニケーションタイプとコーチングする上での注意点を提案してください。

上記は便利ですが、コーチングセッション中にAIをチラ見するようなことはクライアントからの信用を失うことにもなります。
セッション中は「今、ここに」集中して、直感を働かせていくことをお勧めします!

note記事の案

noteを書かないと!けど何書けばいいの、案がない!
そんなときもAIの出番です。

大雑把に「コーチングをテーマにnote記事案を出して」でも回答は出ますが、それでは具体性がなく、あなたならではの記事案にはなりません。

・準備
今まで書いてきたnoteで、特に伸びた記事の文章を全てコピペ(3~5記事あると良いです)
プロンプトには「いったん記事の情報だけ送るから何もコメントしないで」と書き、その上で記事全文コピペしていきます。

・プロンプト例
先ほどの複数の記事の内容を踏まえ、今後書くべきnoteの案を複数提案してください。その際、ターゲット読者についても教えてください。

コーチングの集客方法

コーチングの集客については、コーチは誰しもが悩むポイントですが、それもAIに相談できます。
集客は地道な部分も大きいですが、自力でやるよりもAIの力を借りればもっと上手くいくかもしれませんよ。

・準備
ここまでやってきた集客方法とその結果(どのくらいの期間で何人集客できたのか)の情報をまとめて、AIに読み込ませます。
集客目標があればそれも読み込ませた方が精度が上がります。

・プロンプト例
上記の集客方法と結果についてフィードバックをし、今後取るべき集客方法、また検討すべきことを教えてください。

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