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ICF資格ACC認定試験のまとめと考察

こんにちは!
ICFジャパンで理事を務めている、コーチの袖川です。

ICFの資格の一つであるACCについて、独実に認定試験が作られました。今年の11月18日から受けることが出来ます。
以前からICFジャパンの方でも話には聞いていましたが、タイミングについては知らされていなかったため、今は情報を集めつつどのような対策が必要になるか検証中です。(グローバルの方針についてオープンになっていないもの、タイムリーじゃないものが多い)

今回は自分自身の理解を深めるためにも、調べてきた内容をまとめ皆さんに共有させていただきます。
あくまで個人的にまとめていたものなので、公式見解とかではないので悪しからず。


ACC Examの内容

ICF Examとの比較

ICFの公式HPによると、下記のような内容になっています。
また、比較を分かりやすくするためにこれまでの認定試験を「ICF Exam」、今回のACCの認定試験を「ACC Exam」と表記します。

特に違いがある部分は赤字で表記しています。試験時間と問題、そして構成において大分違いがあるそうです。

こうして見ると、よりACC向けに難易度を下げ、試験自体を受けやすいものにカスタマイズしたことが分かります。

ちなみに、ACCを受ける際に必要な認定試験がACC Examであり、PCCやMCCを受ける際は相変わらずICF Examにクリアする必要があります。

試験で評価されているポイント

公式によると、ICF Examは状況判断に関する質問で「個人が実際の状況にどのように対応するかを評価する」「通常、正しく回答するにはより多くの熟考が必要」のに対して、ACC Examは「特定の事実または概念に関する知識と理解を評価します。」とあります。

つまり、状況判断を求められるのではなく、正しい知識があるか?を問われるそうです。

例題を元に比較してみましょう。

・状況判断の例題
あなたはクライアントのプロジェクトに取り組んでいるグラフィック デザイナーです。クライアントは、金融サービス会社に信頼感と信頼性を伝えるデザインを要求しています。色の選択に迷っています。どうしますか?

  1. デザインを目立たせるために、明るく鮮やかな色を選択してください。

  2. さまざまな色を組み合わせて、視覚的に興味深いデザインを作成します。

  3. 信頼感を喚起するために、青やグレーなどのプロフェッショナルな色を使用することをお勧めします。

  4. あなたはデザイナーなので、個人的に好きな色で進めてください。

(正解:3. 信頼感を喚起するために、青やグレーなどの保守的でプロフェッショナルな色を使用することをお勧めします。)

・知識ベースの例題
色彩心理学では、どの色が信頼、信頼性、プロ意識と関連付けられることが多いですか?

  1. 黄色

(正解:4. 青)

ICFグローバルのサイトに載っていた例題ですが、ここから分かるのはICFのExamは「複合的、文脈依存的」であるのに対し、ACC Examは「直接的、事実ベース」であることです。
知っているかどうか、分かっているかどうかが見られているということでしょうか。Examと比べるとかなりシンプルで答えやすくなっています。

試験内容

ACC Examの試験内容はどんなものなのでしょうか?
これも公式HPによると、下記の通りに説明されています。

分野: コーチング倫理 – 30%
①職業倫理規定に関する知識。
②利益相反を構成する要素についての知識。
③機密保持に関する関連法、規制、組織のポリシーと手順に関する知識(例:機密保持違反が必要となる要因)。

分野: コーチングの定義と境界 – 30%
①コーチングの定義に関する知識。
②コーチングのプロセスと、それが他の関連職業(セラピー、カウンセリング、メンタリング、コンサルティング)とどのように異なるかについての知識。
③いつ、どのように精神保健専門家に適切な紹介を行うべきかについての知識。
④コーチングの進歩を妨げる可能性のある精神疾患の兆候に関する知識。

分野: コーチングの能力、戦略、テクニック – 40%
①クライアントとの契約方法に関する知識(コーチング契約の重要な要素など)。
②ICF コア コンピテンシーに関する知識。
③目標設定とモチベーションに関する知識。
④さまざまなコーチングのテクニック、ツール、リソースに関する知識。

三つの分野からそれぞれバランス良く出題されるそうですね。特に「コーチングの能力、戦略、テクニック」は少し割合多めになりそうです。

それぞれの分野を見てみると、コーチとして活動する上で抑えておくべき基礎という印象です。
そういう意味ではICF Examに比べて意地悪な問題や、理解に苦しむ問題文もかなり減るんじゃないかと思います。

試験対策

ACC Examの対策は何が必要となるのか?
これも公式HPに記載がありました。

  • コーチング教育プログラムの資料を再度確認してください。

  • ICF コア コンピテンシーについて理解を深めましょう。

  • ICF ACC の最低スキル要件を確認します。

  • 主要な定義や解釈の記述を含むICF 倫理規定基準を学びます。

  • 典型的なコーチングの状況と効果的な対応について考えます。

  • コーチングのクライアントをセラピーやその他のサポート専門家に紹介するためのガイドラインを確認します。

個人的に「ICF ACCの最低スキル要件」というのが気になったので、調べてみましたが、これも基本的な内容であり、コアコンピテンシーや倫理規定に関する内容でした。

こうして見ると、Examと試験対策の方針とそんなに違いはないように思います。
少なくとも、Exam向けに勉強している内容は決して無駄にはならないことは分かりました。

基本的には上記に示されている内容が試験対策になると思いますが、Examの試験対策にも興味をお持ちの方はぜひこちらからどうぞ。

補足ですがExamの2023年の統計を見てみると、Examの初回合格者は75%と3人に2人は受かる計算となっています。

試験が簡単になることを考えると、ACC Examはこれ以上の合格率になりそうな気はしますが、試験自体が受けやすくなる影響も考えると、受験者も急増して合格率はそこまで変動ないかもしれません。

ACC認定試験が生まれた背景とその影響の考察

ここからはACC Examに直接かかわる話ではありません。

どうしてACC Examが生まれたのかその背景と、影響について考えてみます。

コーチの数が増えている

グローバルの統計によると、コーチの数は順調(?)に増え続け、特にアジアの上昇率は高いです。
日本で活動されるコーチの方々も肌でそれは感じているのではないでしょうか。

ICFの目的はざっくり言ってしまえば、コアコンピテンシーと倫理規定を広めていくことです。
その視点から考えると、コーチとコーチングスクールが増えている状況はとてもポジティブなものです。

より難易度を下げた試験であるACC Examをつくることで、裾野を広げる目的が強いんだと思います。

さて、それではACCの数が増えることでどんな影響があるか考えてみましょう。

コーチング業界の質の全体的な低下に繋がる懸念

個人的にはACC Examには疑問があります。
なぜなら、ICFの組織利益を優先しているように思えるからです。

コーチングはそれこそ「複合的、文脈依存的」であり、実践的なスキルと高度な倫理的判断能力を求められる仕事です。

知識の暗記に焦点を当ててしまう事で、スキルや倫理的判断能力を見定めることができず、国際資格自体の価値を下げてしまうのではないでしょうか。
(ACCの資格取得のために申請パスによっては自分のコーチングセッションの録音提出もありますが、それはこれまで通り変更はありません)

恐らく、この先はACCの位置づけも変わってくると思います。
PCCも専用のExamが設けられる可能性もあるのではないかと危惧しています…。

いずれにしても、ACC Examはあくまで通過点とし、継続的な能力開発のためのサポートをICFは行うべきと思います。
今は特にアナウンスはありませんが、続報があればまた情報まとめてみますね。

また、個人としては高い倫理観とスキルを持ったコーチを増やすため、さらに頑張っていこうと思いました。
この先の時代のコーチに必要なものは「高い倫理観とスキル」です。国際資格はあくまでも資格であり、コーチとして高めていくことは絶えず努力していきましょう!

追記 公式の例題が公開されました

先日、ICFよりACC Examの例題が10問公開されました。
改めて確認したところ、知識ベースの問題であることが分かります。
気になる方はHPでチェックしてみてくださいね。

そして、HPでは回答だけしか記されていなかったため、僕の方で解説をしたnoteも公開しているので、ACC Examに向けて準備を進めたい方は是非トライしてみてください!

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