アイドルオタク、ムビナナ(劇場版アイドリッシュセブン)を見る

 わたしはオタクです。アイドルの、アニメの、マンガの。

 生まれながらに、何かを好きで、その「好き」のエネルギーで動かされている・生きている、オタクです。だからこそ、自らを「オタクです」と開示するのはとても難しく、隠れてこっそり、日陰の岩の下にいるダンゴムシのように、静かに生きています。

 そんなわたしが、一本の映画をきっかけに、アイドリッシュセブンという世界を好きになっていることを、文字にしたいと思います。
 簡単な記録及び日記でございますので、お時間ある時にお読みいただけますと幸いです。

※表記や間違いなどございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。


 アイドルのオタク(普段は「ファン」と呼びますが、今後の話に繋げるために「オタク」と表記させていただきます。)をして数年。

 わたしの好きなアイドルは、星というより灯台のような人です。まっすぐに愛や感謝を伝えて、その言葉がまるで灯台のひかりのように荒れ果てた大海原のようなわたしの心を照らしてくれます。一番星のようなきらめき、というより「みんなを照らす道標」のような人です。

 そんな素敵な人を応援し続ける日々のなかでも、人生は常に疲れるもので。仕事に勉強、病気に介護。そして先の見えない人生。人生ってままならないな、と思うことのほうが年齢を重ねるごとに増えていく気がします。どんどん思考が下がり、見えない壁が高く聳え立ち、わたしはどうすればいいのだろうと途方に暮れるような気持ちにもなります。

 しかし、「アイドル」を見ているとき。

 わたしはその苦悩から解放される気がします。夢中で「好き」を浴び続ける時、自分だけではなく、誰かにとっての「好き」を見つめるとき。キラキラ眩いひかりを浴びることで、投げ出したい気持ちにストップがかかり「また頑張ろうかな」と思えるのです。

 アイドルは「救い」であり「希望」であり「ひかり」そのものなのです。例え人間性が〜など何らかの大きな欠点があったとしても、その翳りを見せなければ良いのです。見せない、ことこそ最大のファンサービスなのです。自分やグループのコンセプトを理解し、うまく「魅せる」ことができる人こそ、わたしが求めるアイドルなのです。
※過激なことを書きましたが、要約しますと「ちゃんと隠せばオッケーだよ」派という意味です。
 わたしは、アイドルの「うつくしさ」に圧倒したいのです。曇りない宝石のうつくしさに心を狂わされ、そのまま生きていたいのです。

 そんなアイドルオタクであることは、気の知れた友人や家族、そして有難いことに何名か職場の方が知ってくれています。わたし個人の意見ですが、〇〇のオタクという意識が自らにある人間は、自然と「もしやあなたも?」と思うと少しだけ心が開ける気がします。

 しかし、大切なものを相手に伝えるというのは大変リスキーな行為でもあると思っています。誰しも「好き」を傷つけられることは怖いですし、もし貶されでもすればわたしの心は荒れ狂った獣の如く大暴れしてしまうこと間違い無いのです。

 だからこそ、誰かにとっての大切な「好き」を開示してもらうたびに、心の底から「大切な宝物を教えてくれて、ありがとうございます」のきもちになります。そして何より、その宝物をわたしも大切に扱わせていただきます、という手袋をはめて恐る恐るふれるようなきもちになるのです。


 上記のような出来事が、職場でありました。

 職場で「アイドリッシュセブンが好きで」と言われた時、「名前だけ知っています」と伝えた時。思えばあの時から、何か始まっていたのかも知れません。

 わたしの中で同作品は、名前を聞いたことがあってもアイドルの皆様の顔は知りませんでしたし、職場の方(以下Aさんとする)に「この方が二階堂大和で」と見せてもらった時に、Aさんはメガネの男性に弱いですね〜あはは〜みたいな感想しか持ちませんでした。

 このように、「わたしの周りでは何やら『アイドリッシュセブン』というものが流行っている」という認識を持ち始めたとき、Aさんから「アイドリッシュセブンの劇場版が1周年で限定公開するので、一緒に見に行きませんか?」というお誘いを受けました。

 わたしは何も知識もなく、アイドルのお顔さえ知らないのに良いのかとお尋ねしたところ、「知識なしでOKです」とのお返事をいただき「行きましょう」と即答しました。


 結果から申し上げて、ものすごい「体験」をしたな、と思いました。

 映画、というより「普段追ってない他界隈の事務所の合同ライブのライブビューイングに、職場の人に誘われていった」という感覚に近かったです。


 明るく楽しげな曲調から、やや切なく歌い上げる歌まで幅広かったIDOLiSH7さん。初見でわたしは赤い子が好きだなぁ〜と思っていたので、後にアニメで七瀬陸くんの「訴求力が〜」と解説があった時に「ライブでめちゃくちゃ気になったのも、そ、訴求力……なのですか……」となりました。なんだか見ていて、楽しくなるようなワクワクした気持ちをずっと感じられるのは、この7人でした。ちょうど元気がない時に見たのもあって、アイドルから元気をもらうってこういうことだ、と思えたグループでした。


 映画後に明るくなった館内で、真っ先に「あのタレ目のお兄さんは、お名前、なんて言うのですか」と聞くことになった巳波くんがいる、曲調が最も好みだったŹOOĻ。きらりというより、ギラリという印象の4人組。激しいパフォーマンスと荒々しいギラギラとした輝きのなかに、美を感じました。1曲聴いただけで虜になっていました。(デイ1の感想がこれです)

 デイ2では初めて「ササゲロ」を聴いた時の衝撃、忘れられません。本当に衝撃的で、脳の回路がばちばちっと焼き切れたような感覚でした。デイ1・2を続けてみるという幸運がAさんのお陰であったため、その結果的にまんまと巳波くんに心を奪われてしまいました。


 TRIGGERは「ジャンルの違ううつくしい男が3人揃った」という印象で、歌声がかなり好きでドキドキしました。氷のような冷たさと燃え上がる炎のような熱を両立する、今までの2グループとは全く違う路線だなと感じました。グループの印象は冬のような3人でした。

 3人というバランスの取れた編成とダンスパフォーマンスなので、見ていてとても綺麗でした。全体的にペンライトを振りやすい曲調と、声のバランスが大変よく聴いていてドキドキするのがこのグループでした。個人的には「隙のない美」という印象で、徹底して作り上げられているパフォーマンスだと感じました。


 そしてRe:valeさんはMCとパフォーマンスの切り替えが大変よく、かなり現場慣れしたアイドルの方なのだなぁと思ったところ、後に王者と知り「なるほど」と納得しました。特に百さんの切り替えがかなり印象的だったため、求める「アイドル」ってこういう人かもなぁ(切り替えが上手いという意味で)とひっそり思ったりしました。またお二人の髪色が白黒だったので、かなりいいなぁと思いました。まだ名前を覚えられないアイドルの現場では、人数多いと顔より髪色で覚えがちなので、あの白と黒の二人組ですが、と話しやすかったです。


 じんわり、ああいいライブだなぁ、終わってほしくないなぁ、と思ったまま終わり。その後も「行きます?」「行きましょう」とAさんと5、6回ほど映画に行き。「まだハマっていないのに申し訳ないのですが」と感想を語りだすわたしに、「え!?」と驚かれるいうやり取りを何度車内でしたことでしょう。

 元気ない時に見るアイドルほど刺さるものはなく、やっぱりわたしは「アイドルが好きだ」と何度も何度も思いました。


 じわじわと「アイドルの皆さんが素敵だなと思ったので」と前置きしアニメを見出したところ、一周年記念ライビュを見たり、一気に3期まで見終えました。わたしはお蕎麦屋さんにメロメロになってしまったので、何度だってお蕎麦屋さんに再登場してほしい気持ちがあります。巳波くんは何を隠し、何を思うのか、3期までだと何もわからないままだったので「続きはアプリで見れますよ」と囁かれるまま、アプリをDLしました。

また、あまりに劇場でモン(というぬいぐるみ)をお見かけし、あまりに可愛くて慣れないゲームセンターで入手したり、Aさんのご友人の方のおかげでアニメ鑑賞会をしたり、なんだか充実した日々を過ごしていました。


 今、すでに映画は公開されていません。(わたしの近隣では)

 でも、3期まで見終えたわたしで、また映画館で見たかったなと思いました。同時に、アプリ配信分を全て見終えたわたしの状態でも、彼らにまた映画館で会いたいな、と思いました。


 アニメのアイドリッシュセブンの世界は、わたしがオタクをしている「アイドル」がいる世界となんら変わりませんでした。

 デビュー前の古参もいれば、悪口を言うファンもいる。応援していると伝えるファンもいれば、言いたい放題いうファンもいる。ファンでもない無責任で、むしろ大多数な「世間の声」もある。オタクの盲信的な声だけじゃない世界。

 わたし達が「アイドル」という「見える部分だけを全てと思い込む」ように、あの世界の人々もそう思い込み、時には愛し、時には心無い言葉に傷つきながら、「アイドル」のいる世界はどろりとした感情と共に回っていました。


 アニメを3期まで見て一番印象が変わったのは、三月くんと八乙女さんでした。


 三月くんは映画では明るく元気でまっすぐニコニコな印象があり、かなり元気な「可愛い」担当なのかな、と思っていました。
 しかしその印象に辿り着くまでの、オーディションに落ち続けた過去や自分自身を鼓舞する姿。兄としてのかっこいいお姿。どの瞬間もすてきな、人としてすてきな方で「こういう人がアイドルになってくれて、アイドルとしての道がひらけて良かった」と思いました。
 マイナスな意見に囚われる姿には、わたしは我慢できず禁酒を破り、酒をあおり泣きました。三月くんの良いところはたくさんあるのです。それを知らないなんて、勿体無いとまで思いました。また、一織くんの「兄」としての姿はとてもかっこよく、小柄ながらに存在感のある、頼れるお兄さんなんだな、と思いました。背丈ではなく、魂の器が大きいと感じているのです。

 映画だけ=アイドルとしてのキラキラ部分でも、魅力は十分に伝わります。可愛くかっこいい、笑顔がいっぱいの人はとても魅力的です。カメラに映る時もすごく表情豊かで、何も知らなかったわたしが7人の中で目を引かれるのは三月くんと陸くんでした。
 でも、彼の背景を知れば知るほど「ああ、いいアイドルだな」と思ってしまうのです。あと動きが可愛い、と思うのは環くんでした。三月くんは動きが可愛い、というより表情が可愛いなという印象です。

 しかし、裏側としてマネージャー(アニメでは紡ちゃん)目線・第三者目線で彼を見ると、なんて人間味があり魅力的なのだろうとひしひしと感じました。7人はそれぞれに過去や背景、家族関係がありますが、わたしは三月くんを応援するよ……とひっそりとうちわを掲げるファンになっていました。本当にアニメを見て良かったです。


 八乙女さんは、というよりTRIGGERは本当に「宝石」のようなチームだと感じています。硬度の高い宝石、キラキラ美しく、完璧な美。でもその美は、3人の努力と絆と「TRIGGERが好き」という3人の強い意志があってこそだと感じています。

 このように3人のファンとなったわたしですが、抜きん出て八乙女さんが好きなのは彼の感情的な激しさが人間らしいと思うからです。(同時にお父様である社長は言葉が少ないので、あら〜と思っています。)
 そして何より、はっきりとした物言いや態度には好感が持てます。男前だな、と思います。3人とも男前ですが、それぞれ違う男前だなと思います。

 一方で紡ちゃんへの口説きを見るに、かなり情熱的な方なのだな、と思います。映画では一見冷たそうな、一番無口そうな印象でしたが、全く真逆だったのでいい意味で驚きがいっぱいの人でした。季節でいえば、真冬のような。凍てつくような寒い季節に思えたのに、アニメを見ていたら「夏!」という印象です。明るく燦々と照らす太陽のような、ギラっとしつつも爽やかな風も感じることのできる、そんな方だと思いました。映画とアニメ視聴で一番印象が変わったのは、八乙女さんをはじめこの3人だなと思います。

 同時にアニメ視聴時にわたしは八乙女さんが好きなのか、お蕎麦屋さんが好きなのか?と悩むほどお蕎麦屋さんが大好きです。きりりとした涼やかなお目元が、好きな人間というか自分の手の中にある人を見るときはかなりお優しく緩み、穏やかなお顔をされる印象の方です。今後も歌を聞きたいな、と思えました。


 巳波くんは!あの!ちくちく!されています!ね!

 3期まで拝見し、ハリネズミ以上のちくちくとした棘を持った巳波くんは、いったい何を隠し、何を思い、何を今後わたしに見せてくれるのか楽しみで仕方がありません。

 「アイドル」としてのキラキラ巳波くんがきっかけでアイドリッシュセブンの世界に入ったため、驚きがかなり強かったです。しかし、長年オタクをしているので「どんな態度をされても、今後『彼を知れる』という喜びが強い」ため、どんなちくちくでも全然楽しく見ているところです。長年オタクやっていて良かった!

 同時に、現在アニメの3期世界線にわたしはいるのですが、ŹOOĻのみんなは「ŹOOĻというグループ」をこの先愛してくれるのだろうか、と心配とハラハラさがあります。

 アイドルのオタクをしていて、ファン・オタクよりも俺たちの方がこのグループが好きですとはっきり態度で表すアイドルが好きなので、どうしても「この先彼らはグループを愛するのだろうか」といういらない心配で胃が痛いです。愛してほしいな、グループを。楽しいなって思ってほしいな。

 アイドルのオタクをしていて、アイドル自身が「たのしい」と思ってくれていることが何より嬉しいからこそ。グループを愛して、楽しんでくれたらいいな……と勝手なオタク心で思います。

 でも、どんな気持ちであれ、経緯であれ、「アイドル」という道にいる今をありがたく思います。アイドルが好きで、アイドルであることに意味を見出すわがままなオタクなので、巳波くんがアイドルで良かったなと思います。


 さて、長くなりました。

 アイドリッシュセブン、アプリを週末から始めたいと思います。アニメでは描ききれなかった余白を、見つけに行こうと思います。

 それではみなさま、ごきげんよう。

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