リコープロジェクト×育て上げネット「若者向けデジタル支援プログラム」インタビュー
■SDGs の推進
こんにちは。育て上げネット広報チームです。
SDGs は経済や社会等の分野における17の目標で、世界全体で2030年までの達成を目指します。この17の目標のうち、主に4つが育て上げネットが推進している事業に当てはまります。
私たちは「若者支援が当たり前に存在している社会を作る」ことで、SDGs 目標達成へ貢献しますが、企業と協働することによってそのスピードを加速させることができると考えています。志ある企業の皆様と若者支援の道を伴走することは、ひとりでも多くの若者たちに、より多様な機会を提供することができるということ。
noteでは、育て上げネットのパートナーとして共に伴走する企業を紹介していきます。第二回は日本を代表する事務機器やデジタルサービスを提供する、リコーグループです。
■「若者向けデジタル支援プログラム」インタビュー
(株)リコーの岡野麻衣子さん(ESG戦略部)とリコージャパン(株)の赤堀久美子さん(経営企画本部 コーポレートコミュニケーション部)にお話をうかがいました。
■若者支援を支える理由・支援のきっかけは?
(岡野)リコーグループは「“はたらく”に歓びを」の使命を掲げています。社会貢献も使命に沿った活動をしようと、働くことに困難を抱える人を支援する「はたらく人のインクルージョン」という重点分野を2020年度に新たに設定しました。
企画のため調査やヒアリングを進めるうち、若者の就労課題に着目したのが最初のきっかけになります。
(赤堀)背景として、2019年にグループとして格差解消に取り組む企業連合「Business for Inclusive Growth(B4IG)」に参画したこともあります。
そこに参画する中で、グローバル視点のデジタルディバイドでは、特に課題感を持っているのが若者と高齢者だということがわかりました。
重点分野に設定した「はたらく人のインクルージョン」のプログラムの検討内容と一致したので、では若者支援に取り組んでみようという話になりました。
■育て上げネットとの協働事業「デジタル支援プログラム」とは?
(岡野)急速なデジタル社会の進展で、就労に困難を抱える若者に、リコーグループのリソースを活用したデジタル支援を実施し、若者の就労を目指すプログラムです。
2022年度は若者40名が参加し、参加者の81%がプログラムに参加することで「就労に向けて一歩踏み出す勇気が出た」と回答し、73%が参加後半年以内に就労や専門学校への入学など次のステップへ進みました。
2023年度はメタバースをテーマに、社員による講義・メタバース空間用のオブジェクト作成・メタバース空間の擬似体験等を行い、次世代の働き方を体験しました。
また、社員によるトークセッションや対面での会社訪問も実施しています。会社訪問は初年度に東京、2022年度は東京と長野、2023年度は大阪や名古屋で実施しています。
■「デジタル支援プログラム」を協働するに至った理由
(岡野)赤堀を通して育て上げネット理事長の工藤さんを紹介してもらったのがきっかけです。話していく中で団体のミッションに共感しました。
また、若者支援のノウハウを持っていることも心強かったです。リコーグループの強みであるデジタル支援や、社員を巻き込んでの協働事業が実施可能ということで、育て上げネットとタッグを組みたいと望んだ背景があります。
――赤堀さんはどのようにして工藤と知り合ったのでしょうか?
(赤堀)私はNGO業界にいたこともあって、もともと工藤さんのことは知っていました。若者支援のNPOを探しているときに、その領域だったら老舗である育て上げネットに話を聞きたいと思って、共通の知り合いに工藤さんを紹介してもらいました。
■多様な社会貢献活動をしていますが、NPOとの関係構築や協働事業を続けるためのコツは?
(赤堀)NPOと連携するときに意識することは、我々企業側の掲げているミッションと、NPO側のミッションのベースが一致できるかどうかということ。それが最初に団体を探すポイントです。
NPO側も企業のミッションを重視していると思うので、私たちの最初の視点としてはミッションや目指す姿が一致できるかどうかがとても重要です。
もうひとつ、目指すゴールにプラスして、目標値があります。このプログラムは何をゴールとしてお互い目指していくか。最終的な目標値をスムーズに合意できるかも大事です。
また、こうした議論の前提として、担当者が相互に信頼できるか、知見や経験があるか、お互いに歩み寄れるかが大事だと思っています。育て上げネットは企画の段階からきちんと対話ができました。
工藤さんにはまだ会う前の段階にチャットで、「リコーさんは、連携プログラムで何を目指していますか?」と問われました。「あ、こういうことを問われるのか…」と、その問いだけでちゃんとコミットしてくれるだろうと確信しました。企画段階で、リコーはデジタルを使いたい・社員を参加させたいという想いがありました。育て上げネットは、若者のスモールステップと呼ばれる、最初に自信をつける取り組みをもっと作りたいニーズがあることを知りました。
就職だけがゴールでなく、自分で小さな仕事を見つけることも今の時代ならできるはずだけど、なかなかプログラムとして提供しにくいという課題。そんな中で「では何か一緒にできることはありますかね?」というそれぞれが目指す姿や課題を持ち寄ったなかで「何かできること考えましょう!」という前向きな話をできたのがありがたかったですし、進めやすかったです。
また、3年間継続していくなかでは、毎回プログラムの企画をゼロから一緒に作り上げているというチーム感があり、うまく連携できていると思っています。
(岡野)かなり頻繁にオンライン会議やチャットをさせてもらいますが、ここ3年間、的確に意図を汲み取ってもらえています。私はそれが協働する点では本当に助かっています。
また、ありがたいなと思っているのは、私たちはかなり要求が多いと思うのに(笑)実現のためにNOとは言わないこと。無理という発信がないのはありがたい。
――若者のためにならないご提案がないからでしょうか。リアルな社会人のお話を聞けるなど、私たちだけではできないことですから…
(赤堀)我々が意図していなかった価値を見出してもらっています。協働事業の醍醐味で、面白いなと思います。
■デジタル支援プログラムに感じている可能性や想いは?
(岡野)デジタル支援プログラムは毎年プロボノとして40名ほどの社員に参加してもらっています。2021年の協働以来100名近くの社員が参加し、年々参加人数の輪は拡大しています。
参加した社員が事業部の中で共有することによって、社内のデジタル戦略部から「一緒にプログラムをやらないか」と提案を受けて、2023年度はメタバース編をテーマに掲げて一緒に取り組む運びとなりました。
今後も参加社員を増やしたいし、協働する事業部が増えたらと思っています。
(赤堀)私はリコージャパンという日本の販売会社に所属していますが、全国に拠点があり、社員がいます。お客様の多くは、地域の中小企業や自治体です。
地域では雇用不足が深刻です。困難を抱える若者がプログラムを経験することで、“はたらく”に参画できるようになると、それぞれの地域で働く人材が増えていく。我々がデジタルで何らかのサービスを提供することで、若者が働きやすい環境が地域の職場に増えていく。このようにさまざまなステークホルダーを巻き込みながら、進化していくプログラムになったらすごく嬉しいです。
■これまでのプログラムで印象的な出来事は?
(岡野)これまで5回若者向けデジタル支援プログラムを実施しました。
参加している若者には、初日にオンラインで自己紹介をしてもらうのですが、最初は照れて、カメラをオンにして顔を出すことさえ躊躇する方がいらっしゃいます。でも最終日のプレゼンでは、みなさん二週間で学んだことを堂々とお話されていて、成長と変化に感動して勇気をもらっています。
(赤堀)私のお気に入りは社員とのトークセッションです。実はひきこもっていたとか、メンタルを崩して休職していたという社員もいて、若者たちに自分の経験を語ります。どのように苦労を乗り越えてきたかという話は、我々にとっても学びや気づきになることが多いです。いつも多様な人が働いていることを実感します。参加者の若者からも「話を聞いて前向きな気持ちになれた」「リコーにも自分と同じ人がいたんだと勇気をもらった」と言ってもらえて嬉しいです。自分の経験談が若者の力になることが、社員のモチベーションにもなっています。
(岡野)最初はプロボノとして手をあげてくれる人はいないのではないかと懸念しましたが、予想とは裏腹に募集人数以上の社員が参加してくれてとても嬉しいです。
(赤堀)プロボノの社員は全国から参加してくれています。地域も部門もバラバラで、技術部門や営業など社員も多様。グループ全体で応援していこうという機運があります。
――プロボノの参加率も高い印象です。
(岡野)社員の多くは、何かやりたいと思っているのだと思います。でも自ら外部のボランティアやプロボノに飛び込むのはハードルが高い。まずは会社内で・・という気持ちで参加してくれるのだと思います。
(赤堀)参加時間も1〜2時間とハードルが低く、自分のリソースを使って社会貢献できるのが良いのかもしれません。とはいえまだ認知度が低いので、もっといろいろな社員に知ってもらいたいです。
若者のために、自分たちも業務を通じて何かできないかな?という流れになればいいと思っています。それはまた次のチャレンジです。
今回のメタバース編では関わってくれた事業部は、かなり時間を使ってもらえた分、必然的に若者に向き合う機会になったと思いますが、もっと多くの社員を巻き込んでいきたいです。
インタビュー は以上です。お読みいただきありがとうございました!
▼インタビュー動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=ccdDFnWIdF4
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