啓発と警察の狭間 「このバイトどう思いますか?」の一言で、闇バイトから若者を守れるか
若者を闇バイトから離す
毎日のように「闇バイト」という文字を目にします。若い世代のみならず、中高年や高齢者にも広がっているようです。借金を含めた経済面での苦しさが背景にあることが多いように見えています。
どんなことであれ、困った状況になった場合には、さまざまな福祉制度が活用できるかを検討したいところですが、制度利用は往々にして時間がかかります。
今日の食べ物、明日のお金という即時性を求める方にとっては、「即金」のようなスピード感のある方を選んでしまうのでしょう。それが危ういことであるとわかっていても。
この数か月の間に「闇バイト」を切り口にした話が、国や自治体関係者、学校の先生方から来ています。仮に一歩踏み込んでしまったとしたら、それは警察へ連絡するというのが次のアクションになりますが、その当事者がひとりだけでその判断をできる心理状況になれるのでしょうか。
そうなると違法薬物などと同様に啓発・啓蒙で予防的な取り組みが最善策となり得ます。テレビやネット、チラシなどで広くその危険性や、気が付かずに闇バイトの入り口に立っているというのはどういうことなのかPRしていきます。
実際に加担してしまった後には、どのような人生になってしまうのかという恐怖訴求的な手法も採用されるかもしれません。
先日、Xにて、友人と応答しているときに #福祉を速くする ことが大切ではないかという話になりました。何らかの事情で即時的な対応が必要なひとに対して、福祉政策もまた対応速度をあげていくためには、どうしたらよいだろうかという視点でした。
非常に重要かつ、これまであまり語られなかった切り口でありますが、そのためには少なくない労力と時間、関係者の動きが必要になります。
若者を闇バイトから離していくためには、啓発も大切、警察にも頼るだけでなく、啓発と警察の狭間(距離)を縮めていくことにも取り組んでいかなければなりません。
自然と「このバイトどう思いますか?」の一言が出せる環境、関係性
ある男性が、職員に「このバイトどう思いますか?」と、さらっと聞いてきました。普通にある一風景かもしれません。ただ、それが、働き先として正しく表現されているとはいいがたい。
いや、むしろ、「危ないように」見えたと言います。
それが直接的に闇バイトとつながるとは言い切れないものではあったそうですが、少なくとも10代の若者がその情報だけで申し込んでしまう前に、もう少し調べた方がよさそうということでした。
すべての危なさそうなバイトが、昨今報道されている闇バイトであるとは思いません。しかし、一般的なアルバイトと比較して時給や日給単価がかなり高かったり、労働者側に求めるものではないお金、例えばミスによる金銭的ペナルティで働いている話を聴くことがあります。
「それはおかしい」とダイレクトに伝えることもできますが、知識的な不足はあるにせよ、本人がそれを指摘されたことにネガティブな感情になれば、関係性が壊れてしまうかもしれません。
つながりをゼロにするのは、いまとても簡単です。
そのため、他の職場の例を出したりしながら、やんわりと伝えることもあります。
多くの若者たちが、明らかに危ない仕事の情報を探しているわけではないでしょう。即時性を求めざるを得ないこともありますが、一方、スマホとSNSで仕事を探しているのも事実です。
その仕事、その職場、その企業を深堀りして探せば、精緻な情報を得られるかもしれませんが、スクリーンには一押しで応募行動に移れる導線も貼ってあります。何気なく進めてしまえるだけの手軽さがあります。
啓発によって、危ない仕事に誘うリスクがあることを知ってもらう。一歩踏み込んでしまったら警察に連絡をする。その狭間で重要だと思っているのが「このバイトどう思う?」の一言が出せる環境や、関係性です。階段でだべりながらでも、ソファーで寝っ転がりながらでも。
夜のユースセンターもひとつの防波堤に
育て上げネットが2022年5月から開設している「夜のユースセンター」も、闇バイトへのひとつの防波堤になり得る、なっているかもしれないと考えています。
考えているというより、実際に闇バイトの周縁にあるような話が出ています。利用者の一部には、日常生活において何かしらの即時的な解決を求めざるを得ない環境の若者も存在しています。
もちろん、それは一部でしかないかもしれませんが、親や家族に頼れなかったり、友人や知人がいない(孤立)、ひとりぼっちだと感じている(孤独)、という背景や、現実的に安定的に食べることや、手持ちのお金がかなり厳しいという若者もいます。
そのため、多くの方々からの寄付を原資に、無料で夜間帯に集え、ご飯が食べられ、食糧を持ち帰れる環境を作っています。
夜のユースセンターは、問題を解決する場ではなく、信頼できる大人の存在を知ってもらい関係性を築くことや、「これどう思います?」と気軽に一言出せる空間としています。
本人が望むことがわかれば、夜のユースセンターから離れて、福祉制度や医療、教育や就労につなげていく個別の伴走になっていきます。
毎週のように同業者や公的機関の担当者からの視察・見学がありますが、ときどき「ここを利用するような若者がなかなか来てくれないんですよね」とお話があります。
もちろん、来やすい環境や状況を作る創意工夫もやっていかなければなりませんが、地域資源のひとつとして若者たちと出会うことができる場があるのであれば、専門特化型の公共施設の役割は非常に大きいです。
公共機関の相談員、学校の先生、社会的養護のもとで活動するワーカー、地域の方々から、夜のユースセンターに若者を紹介していただいています。
夜間帯の居場所機能は、役割分担のひとつであり、みんなのチカラで作っていきたいと思っています。
こころからご寄付のお願い
2024年12月31日まで、育て上げネットでは、2025年度の夜のユースセンターを運営するための寄付を募っています。
ひとつは月額1,000円からのマンスリーサポーターです。1,000円は、若者約2名分の夕食になります。これらは地域の個店に注文をして提供しています。
私たちだけでやるのではなく、地域の方々にもかかわって、知っていただきたいと思っています。若者約2名分ではありますが、空腹状況によっては、1名分(2食分)になることもあります。数に限りはありますが、「お腹いっぱい」になってもらうことも大切にしたいことです。
もうひとつは、2024年12月31日までの、2024年ふるさと納税による寄付です。ふるさと納税ですが、いわゆる返礼品をお渡ししていません。
返礼品に相当する分は、必要な手数料を除いてすべて若者たちのために使わせていただきます。夜のユースセンターは、若者との接点づくりの拠点ですができることは限られています。
今年は、プロフットサルクラブである立川アスレティックFCに参画していただき、プロスポーツの力を活かして体験格差・経験格差の担い手になっていただいています。
今後も協力者を増やしながら、各地域で「夜の居場所」が必要と考え、その運営に立ち上がっていかれる方々のひとつのモデルとなれるようにしていきます。
孤独・孤立から若者、子どもたちを守れる、家でも学校でもない居場所を作ります。ひとりでも多くの若者たちが、安全に、安心できる環境と関係性のもとで、安定した日常と、楽しい将来を送れるよう、一緒に機会・環境を作っていただけませんか。
育て上げネット 理事長
工藤 啓
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