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Magic of Straw in リトアニア⑥2日目


2019年7月23日(火)、藁フェス2日目朝。思いのほかすっきり目が覚めた。理由はわかっている。楽しい、心地よい疲れだからだ。こんな目覚め、一体いつぶりだろう。

さて、今日の予定は以下の通り。

8:30 - 9:00 朝食

9:45- 12:30 国立博物館とゲディミナス塔見学

13:00 - 13:45 昼食

14:30 - 17:00 ワークショップ

17:30 - 18:00 夕食

18:15 - 参加者による講演(7名)←!

国立博物館は、街の中心、ヴィリニュス大聖堂に隣接して立っていて、その裏手の丘の上からゲディミナス塔が街を見下ろしている。つまり、私の宿からすぐの場所(中庭を抜け通りに出たら目の前)にある。そのため今朝は、私は朝食会場の芸術学校へは行かず、国立博物館で皆に合流することをエグレに昨晩、伝えてある。そんなことで今朝は時間的に余裕があるので、近所のコーヒーショップに行き、朝食をとってから向かうことにした。

夏休みでまばらな出勤する人々を眺めながらのコーヒータイムを終えて、大聖堂の裏を抜け国立博物館に向かう。その昔リトアニアを統治していたゲディミナス大公が13世紀ごろからヴィリニュス中心にある小高い丘に築きはじめたのがゲディミナス城で、市街地を見渡す丘の上の塔だけでなく、ふもとに広がる国立博物館、大公宮殿や大聖堂もこの城の一部(現在ある大公宮殿などは再建されている)だったそうだ。堂々たる佇まいの国立博物館は長らく武器庫として使われていた建物で、石器時代から近現代に至るまでのリトアニアの歴史にまつわる、80万点を超える文化遺品を収蔵、展示しているとても興味深い博物館だ。これがかつて武器庫だったと知ると、今は外壁を淡い白に塗られ柔らかい雰囲気を醸し出しているがにじみ出る峻厳さに合点がいく。

博物館の正面玄関前広場は開けていて、どの方向から待ち合わせの人が現れてもすぐ分かる。藁フェスボブーテ一行は人数が多いし、すぐ分かるはずだけれど、待てど待てどそれらしきグループは現れない。予定の時間が迫りさすがにおかしいと思い、リョウコさんに連絡してみると、どうやら博物館に向かっているようではないという。エグレに正確な場所確認のため電話してみると、国立博物館そのものではなく、近くだが別の場所にある、普段一般公開されていないアーカイブ館に行くのだという。

昨日の会話を思い出す。「明日は国立博物館で合流するねー」「了解ーじゃあ明日ねー」。プログラムにも「国立博物館見学」としかない。確かに国立博物館の一部だけど・・・おおらかである。と感心している場合ではない。広大な国立博物館の建物の外側をぐるっと周り、エグレの言う方向へ向かいかけていると、私のようにドミトリー泊ではないリトアニア人参加者が数人、同じように一行を探しているではないか。彼らも私に気づき、どこへ行ったらいいか分からないと言う。エグレから得た情報を伝え、一緒にアーカイブに向かうことにしたが、一瞬呆れつつも文句をいう様子はなく、歩き始める。日本だったら苦情発生、人によっては由々しき事態だ。おおらかである。事務局スタッフの笑顔の理由がわかってきた。

15分ほど歩いたり電話したりでようやく一行に合流し、アーカイブ館見学。リトアニアの古代から近代まで、様々な時代の民芸品がぎっしり展示してある(収蔵してある)部屋を見学する。木彫りの置物、寄木細工風の宝箱、素朴で美しい模様の描かれた壺などの焼き物、切り絵、おとぎばなしに出てきそうな巨大な木靴形の藁靴、麦藁でできた帽子や飾りもの、ドレッサー・・・ボブーテたちも私たちも大好きな類の民芸品たちがぎっしり並んでいる。学芸員による説明の後、しばしの大撮影大会。

みんな目を輝かせながら見ているけれど、ボブーテたちだってこれくらいあるいはこれ以上の精度で藁作品を作るプロたちだ。「ほー」「へー」と無邪気にバシャバシャスマホで撮影しながらも頭に乗っている見たこともない豪華な麦藁帽子や、日本の洒落たブティックで夏になったら並んでいてもおかしくなさそうな麦藁バッグやアクセサリーも、実は自作なのである。そんな中に楽しく混ぜてもらっている私。こんなものを見せてもらえて不思議だなあ、ありがたいなあ、来てよかった。

と幸せに浸っていると「やばい、時間が押しているから急いで!」とエグレやミグレ(エグレの同僚。ギリシャの血の混じった、ちょっとミステリアスな、同じくボヘミアン美女。年齢はおそらくエグレと同じ20代前半くらいである)が急にあわてはじめた。急かされながらもスマホ撮影の手を止めないボブーテたち。みんなお構いなしにおしゃべりしたり写真撮影したり盛り上がっている。さすがにこの調子だと全てのプログラムを終えたら夜中になりそうだとエグレたちも気づいたのか、アーカイブ館から後ろ髪を引かれる私たちを押し出し、次の目的地であるヴィリニュス観光の大定番、ゲディミナス塔に登る。そしてじわじわと、ますます時間が足りなくなり国立博物館本館を大急ぎで見学、芸術学校の食堂に歩いて戻り、昼食をとる。

さっと昼食を取り終えたら10分ほど歩いて午後からのワークショップ会場へ。今日のワークショップはリトアニアのライモンダによる扇づくり(パート2)、ウクライナのマリアによる麦藁の馬作り、リトアニアのニヨレによる伝統的な結婚式に男性がかぶる帽子作り、ベラルーシのマリナによるモザイク葉書作り、スイスのアンドレイによるスイス編みの5つ。私はスイス編みと迷ったけれどニヨレによる帽子作りにした。ああ、悩ましい。時間が足りない。

写真はニヨレ先生作帽子をかぶるウクライナのアンドレイ。今日はラフにポロシャツ。ここまでの大作は2時間半のワークショップでは作れないので、私たちはこのミニバージョンを作る。

(まだまだ2日目は続く・・・)

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