Magic of Straw in リトアニア①藁フェスを知る
参加を決める
2019年3月上旬、休みをとって毎年この時期ヴィリニュスで開かれる民芸市、カジューカス祭に出かけていた。長らく行ってみたいと思いながら仕事や育児でなかなか叶わなかったカジューカスへ、ようやく前年の2018年にひとり出かけてみると楽しくて、2019年は初リトアニア訪問の娘、母、母の友人と私の気心しれた女4人で、ヴィリニュスの旧市街に民泊サイトでアパートを借りそこを拠点に賑わうヴィリニュスの中心地を歩き回った。そんなヴィリニュス滞在中、SNSで流れてきた情報で、4ヶ月後の7月にヴィリニュスで約1週間、「国際藁フェスティバル(International Straw Festival -Magic of Straw-)」なるものが開催されることを知った。知り合いに聞いてみると、どうやらそのお祭りはリトアニアのソダスの作り手のみならず、世界中の藁で作品を作る人々が集まり、お互いの知識や技を見せたり教えあったり、一緒に作品を作ったり展示や販売をする、という主旨のようだった。
仕事で頻繁にリトアニアと日本を行き来するわけでもなく、前後の移動なども考えると10日間、8月に子供の夏休みに合わせて休暇も取るつもりなのにまた休みが取れるのか、家族はいいと言うのか、はたまた年に2度の自腹ヨーロッパ往復の費用はどうするのかなどなど、一瞬頭をよぎったが、どうやら毎年リトアニアで開催されるイベントではなさそうだしなんとかして参加したい、と腹をくくった。
申込みと出発まで
2019年7月22日から27日にかけてほぼ1週間、リトアニアの首都ヴィリニュスにある国立チュルリョーニス芸術学校を会場に開催されるInternational Straw Festival -Magic of Straw-(以後略して「藁フェス」)。募集要項に目を通すと、主旨は「ヨーロッパ、アジア、北米など世界各国の藁細工文化を共有、周知、知見を広める」とある。参加条件はプロアマ問わずのようなので、門戸は広く開いているようだった。開催は今のところ2〜3年に1回で、開催場所(国)はその時々で違うらしい。リトアニアでは今回が初開催で、ホスト(事務局)はリトアニア文化省下にある民族文化センターとのことだった。民族文化センターには2018年に立ち寄ったり、ソダスについてインタビュー(その内容も折を見てこちらへ別記事でアップしたいと思う)させてもらったりしていたので、ああ、なるほど、それは参加せねばと思った。
参加希望者は6日間すべてのプログラムまたは1日単位での参加を選ぶことができ、さらに宿付き(芸術学校内のドミトリーの相部屋またはひとり部屋)、宿なしの計4つのオプションから選ぶことができた。私は6日間全て参加の宿無し(昼食のみ会場で提供される)にすることにした。前後の日や空いた時間に現地で会いたい人が何人かいたので、移動が便利な旧市街地に宿をとることにした。押さえた宿から会場へも片道1.5キロなので歩いて通えば日頃の運動不足解消にちょうどよい距離だ(実際はいざ参加してみたら朝から晩までハードスケジュールで、期間中誰かに会うなんて体力的にも時間的にもとてもじゃないが無理。ドミトリー泊でも良かったと思うのだった)。
参加費は私の選択内容だと135ユーロ。1日あたり22.5ユーロの計算になる。日によってプログラムは異なるが、日帰りのバスツアーや、昼食代も込みなので、決して高くない。結果として朝から晩までみっちりプログラムが組まれており(朝は9時から夜は大体21時くらいまで)、朝食も夕食も「食べていいわよー」とのことでご相伴に預かったのでそれを加味すると破格の参加費と言っていいと思う。日本と違いそのへんのおおらかさはありがたかった。
その後何度か事務局スタッフとやりとりをしていたある日、一斉メールで「参加費が高いとの声があったので、年金生活者は費用を割引します」とお知らせが来た。日本人の感覚からしたら高くないと感じていた費用を割引く、しかも対象は年金生活者のみ、ということは参加者の年齢層が高く、東欧圏の人が多いのかな、と添付されていた約30名の出席者名簿をみると、予想通り主催国リトアニア、ロシア、ベラルーシ、ウクライナなどの旧ソ連諸国からの参加が多く、次いでアメリカ、セルビア、ハンガリー、スイス、オランダ、オーストラリアから、アジア圏からは中国2名、日本から私ともう1名参加者がいるようだった。そうか、東欧からの参加者がメインなのだな・・・ステレオタイプなほおかむりをした東欧のおばあちゃん達が集まる姿が浮かんできて、そんな貴重なチャンス、逃すわけにはいくまいとワクワクしてきた。